『風車』

なにごともなかった
悔しくて心を閉ざす
わたしにはなにごともなかった
傘を引きずって歩く
ガリッガリッと
歩道とこすれる音を
最大限の反発として

歩みの速いお婆さんが
手押し車に薄汚れた荷物を
満杯に詰め込んで
まだ何かを手にして
わたしを追い越して行く
花壇で回る風車が
赤や青で装飾されて
風を受け巡る
ぐるぐる
ぐるぐる と
反対側へ渡る
わたしがたてた風も
ささやかな反発も
受け流すように
誰かが作った手作りの
風車は今日も
花壇のふちで
ぐるぐるぐるぐると回って
なにごともないよと
わたしの背中を押す