『突風』
前を歩く女の子の
黒いカーディガンが
マントみたいに浮き上がった
こんなに風が強い日に
遠出してしまったことを
少しずつ後悔し始めながら
えらく凝った造りのオブジェを
目指して地図をたどる
正午の
地下道を抜ける
視線を逸らさない
染み付いた下水のにおい
ひどく孤独を感じて
階段を一気に這い上がる
スーツ姿や観光客や
主婦や老人や学生
めまぐるしく
橋から見下ろす川は
真緑でヘドロ
一人 二人
全身黒ずんでいる
壁に寄りかかって目を閉じる人
大きくよけて歩く
足並み
靴ずれをかばう
見に行った物はたいした感動なかった
突風
そこにいた皆の髪を風が吹き上げる