記憶の後退 | 高井戸の住人のブログ

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読書、植物・野鳥観察、犬、ドラマ、音楽、旅行などの記録です。
本は歴史ものとSF、ミステリーときどき文学。
No more whale & dolphin hunting!
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先週、叔母の施設ケアマネジャーさんから「◯子さんの夏用の着替えが足りなくなって来ました。保証人会社の人に連絡して◯子さんのマンションに行って着替えを取って来てもらってもいいですか」と電話がありました。

叔母は子供が居ないので叔父が7年前に亡くなったあと、腰の圧迫骨折で入院する際に保証人会社に結構な入会金・預託金を払って保証人契約を結んでいます。

もうふだんは食事と入浴、デイサービスのとき以外は施設のベッドの上でラジオを聴きながらの寝たきりです。


前回は今年一月に行ったあと、三月に不動産屋さんに叔母を会わせる予定でしたが、叔母がマンションを整理するかどうかについては「叔父さんがここにいるんで相談する」と言ったり、当日雨で車椅子の叔母を連れ出すのも大変だったので考えあぐねて施設訪問を延期していました。


日曜日に愛知まで行って、叔母のマンションで半袖上着、半袖肌着、ズボンをかき集めて施設に持って行き、食堂のテーブルで名前書きをして、介護士の人に使えそうなものを選んでもらって、足りない物は叔母を連れ出して一緒にショッピンセンターに買い出しに行って来ました。


施設に到着したとき叔母は私の顔を見るなり「叔父さんがここに居るから車で迎えに行ったのにー。」「きょうはうちに泊まって行って。マンションに叔父さんがおるで行って訊いてみて」と言って来ました。


それで「叔父さんはもう亡くなったじゃないですか」と言わずに「叔父さんは車の運転はうまいけど、もう高齢者ですからね、運転は危ないですよ」とか「今日は駅のそばにもうホテルを予約してあるから大丈夫ですよ」と言うとニッコリするので買い物の話に戻るのですが、ちょっとするとまた同じ事を言ってそれが5〜6回繰り返されました。


その日は叔母を夕飯間際に施設に送って施設長さんに叔母を預けてホテルに戻りました。


翌朝今度は信用金庫に連れて行こうと施設に迎えに行くと驚いた顔をしていました。

「私ですよ」と言うと「、、、、うんわかるよ、、、きのうどこ行っちゃったのー?」と。

ホテルに泊まったと答えても「どこ行っちゃったのー?」という会話を何回か繰り返して出発。


それで信用金庫で定期預金の解約と叔母がマンションで持っていた現金を預入れしました。

定期預金の通帳は結局マンションのなかで探し切れなかったので喪失届を書くことになったのですが、叔母は氏名と住所をほとんど書けなくなっていました。

叔母に用紙のここに書いてと促しても「ここー?ここー?」と訊いてなかなか書き出せず、ペンが動いたかと思うとほとんど判読できない字でした。

それで急遽わたしが代筆して手続きしてもらいました。


お昼前に施設に送って「今度は涼しくなったら母を連れて来ますからね」と言うと、ちょっとか細い声を出して頷いていました。



駅前広場でツバメたちが「ピチクチパチクリ」言いながら低空飛行していました。

一軒家、低い建物が多く見晴らしがいい田舎な街なので、ツバメたちもこういう場所を好むんだろうと思います。

アウェイの土地に知り合いを得た気がしました。


新幹線から流れる景色を見ているといつもいろんな人の営みを感じます。