池井戸潤氏の作品、7冊目。
タイトルを見た時、町工場が集まって苦労して小型ロケットでも作って打ち上げる話かと思いましたが違いました。
今度は、特許を巡る戦いの話。
エンジンバルブを製造する"佃製作所"。
従業員は200名、年商100億円あまりの中小企業。
43歳の社長は以前ロケットの打上げにも関わったことがある研究者だった。
ある日大口の取引先から製造契約が無くなることを打ち明けられる。
さらに大手企業から『特許侵害』で訴えられてしまう。
特許侵害はしていないと自信を持つ佃社長は裁判に巻き込まれる。
前半は大手企業が中小企業を相手した法廷闘争、法廷戦略。
『この世のなかには二つの規律がある。
それは倫理と法律だ。
。。。
だが会社は違う。
会社に倫理など必要ない。
会社は法律さえ守っていれば、どんなことをしたって罰せられることはない。
相手企業の息の根を止めることも可能だ。』
どう切り抜けるのか読んでいてハラハラします。
後半は別の特許を巡ってやはり大手企業との駆け引き。
大手企業はロケット技術に佃の優秀なバルブを使いたいが、特許の買取りか、特許使用許諾を得て使用料を払うか、あるいは、、、という選択肢を巡ってきわどい駆け引きが繰り広げられます。
『オレはサ、ウチの社長はなかなかオモシロイと思ってるわけだよ。あの年になってやりたいことがあって、まだそれを諦めてなくて、それに向かって純粋に努力してるわけさ。そのバカなところがウチのいいところじゃん。それを応援してやろうと思わないのかよ』
今まで呼んできた池井戸潤の作品の中では一番うまくまとまっていると思います。