スローウォーキング30「ホーホケキョ!」 | メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

今年は、春が早い。

一幸庵のウグイス餅が食べたい!

思ったら矢も盾もたまらなくなって、車に乗った。


車を駐車場に停めて、一幸庵に急ぐ。

あれっ!

1人、2人。一幸庵に、お客が入って行く。

店内は狭いから、玄関前に立って、待つ。

しばらく、待つ。


ウウム。

先客が出てこない。

もう、しばらく、待つ。


1人、出てきた。

大きな紙袋を、2つ提げている。


ジイサンは、一幸庵の玄関扉を開けた。

1人が買い物をしていて、もう1人が、後ろで順番を待っていた。


・・・やっと買えたヨ。

ずいぶん待って、買ったのは、名品のわらび餅1つと、季節のウグイス餅1つ。


西六奇庵にて。

コーヒータイム。

コーヒー豆を挽き、ペーパードリップで落とし、2つのコーヒーカップに、コーヒーを注いだ。

老夫婦は、わらび餅とウグイス餅を、それぞれ半分に切って、シェアして食べる。


一幸庵の名品として名高いわらび餅は、薄い皮に、緩めの漉し餡が、たっぷり詰まっている。

大ぶりのウグイス餅は、厚めの皮に、粒餡が、たっぷり詰まっている。

コーヒーを飲み、ウグイス餅を一口食べ、

ジイサン「ホーホケキョ。ホケキョ」

バアサン「また、バカを、やってる。よしなさい」

ジイサン「ケキョ、ケキョ」

バアサン「バ〜カ」

風狂の春。

春になると、人は狂う、と云うではないか。


(注)相変わらず、年金暮らし(長くサラリーマンをしていたので「厚生年金」です)の、ぬるま湯ビンボーの、「中流老人」の生活と意見を書いています。

倹約節約暮らしであっても、時に、自分で淹れたコーヒーと、美味しい和菓子を頂くひと時を楽しみ、弱者貧者病者の方々へのドネーションを忘れず、豊かな心で暮らすように、心がけておりまするゥ。

人は、「豊かな心」を心がければ、それなりに豊かな心でいられるものでは、ないでしょうか。


・・・ジイサンが、若い頃、赴任した中近東の国々は、革命と戦争が続いていた。

その中で、戦後の貧しいわが国を、欧米の如き豊かな国にしようと、石油や天然ガスをわが国にもたらそうと、中近東の砂漠地帯で昼夜汗水垂らして働いた。

戦争と内乱。

戦乱と、激しい外国人排斥の中、同胞全員を帰国させた最後に、自らはフランス航空機にもぐり込んで、命からがら脱出した。

中近東では、今もなお、アラブとイスラエルの戦争が起き、憎しみと殺戮が渦巻いているけれど、

ジイサンには、もはや再び、中近東に雄飛する気力体力がない。

やんぬるかな。 


私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。

(一幸庵。白い暖簾、佗びの佇まい)

(ショーケース)
(写真向かって左がウグイス餅、右がわらび餅)