今年は、春が早い。
一幸庵のウグイス餅が食べたい!
思ったら矢も盾もたまらなくなって、車に乗った。
車を駐車場に停めて、一幸庵に急ぐ。
あれっ!
1人、2人。一幸庵に、お客が入って行く。
店内は狭いから、玄関前に立って、待つ。
しばらく、待つ。
ウウム。
先客が出てこない。
もう、しばらく、待つ。
1人、出てきた。
大きな紙袋を、2つ提げている。
ジイサンは、一幸庵の玄関扉を開けた。
1人が買い物をしていて、もう1人が、後ろで順番を待っていた。
・・・やっと買えたヨ。
ずいぶん待って、買ったのは、名品のわらび餅1つと、季節のウグイス餅1つ。
西六奇庵にて。
コーヒータイム。
コーヒー豆を挽き、ペーパードリップで落とし、2つのコーヒーカップに、コーヒーを注いだ。
老夫婦は、わらび餅とウグイス餅を、それぞれ半分に切って、シェアして食べる。
一幸庵の名品として名高いわらび餅は、薄い皮に、緩めの漉し餡が、たっぷり詰まっている。
大ぶりのウグイス餅は、厚めの皮に、粒餡が、たっぷり詰まっている。
コーヒーを飲み、ウグイス餅を一口食べ、
ジイサン「ホーホケキョ。ホケキョ」
バアサン「また、バカを、やってる。よしなさい」
ジイサン「ケキョ、ケキョ」
バアサン「バ〜カ」
風狂の春。
春になると、人は狂う、と云うではないか。
(注)相変わらず、年金暮らし(長くサラリーマンをしていたので「厚生年金」です)の、ぬるま湯ビンボーの、「中流老人」の生活と意見を書いています。
倹約節約暮らしであっても、時に、自分で淹れたコーヒーと、美味しい和菓子を頂くひと時を楽しみ、弱者貧者病者の方々へのドネーションを忘れず、豊かな心で暮らすように、心がけておりまするゥ。
人は、「豊かな心」を心がければ、それなりに豊かな心でいられるものでは、ないでしょうか。
・・・ジイサンが、若い頃、赴任した中近東の国々は、革命と戦争が続いていた。
その中で、戦後の貧しいわが国を、欧米の如き豊かな国にしようと、石油や天然ガスをわが国にもたらそうと、中近東の砂漠地帯で昼夜汗水垂らして働いた。
戦争と内乱。
戦乱と、激しい外国人排斥の中、同胞全員を帰国させた最後に、自らはフランス航空機にもぐり込んで、命からがら脱出した。
中近東では、今もなお、アラブとイスラエルの戦争が起き、憎しみと殺戮が渦巻いているけれど、
ジイサンには、もはや再び、中近東に雄飛する気力体力がない。
やんぬるかな。
私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。
(一幸庵。白い暖簾、佗びの佇まい)