メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

1、老馬はヒンヒン嘶く

アメリカの国土は広い。

日本のどこの町にでもあるような・住宅地に密接した商店街や、駅前のスーパー・小売店はないから、

買物は車に乗ってスーパーへ行き、1週間分買い込んできて、大きな冷蔵庫、冷凍庫で保存する。

長女「ニューヨークはいざ知らず、地方都市はホントに不便よ。東京と違って、徒歩で行けるところは、なにもない。歩いて行けるカフェもない。幼稚園も車、買い物はスーパーであろうと個人商店であろうと車、子どもを遊ばせる公園に行くのも車、車がなければ、生活できない。・・・水道の水は硬くて飲めないから、水入りのペットボトルを常時1カートン買い置きして使う。知り合いの日本人と情報交換すると、マンションも、一戸建も、水回りがちゃんとしてなくて、トイレの水が詰まったり、溢れたりする。日本人のようにキッチリ修理することがなくて、いい加減なの。多少の不便は当たり前。それでも、この国の基本は、すべて自己責任、一人ひとりが勝手に、自由に、自分流に暮らしている。皆んな、そんなだから、誰も不満は言わないヨ」


ナルホド、日本にいてアメリカ生活に憧れているのと、実際に住んでみるとは、違うもんだナア!

何でも、すぐに、政府が悪い、政治が悪い、と言い出す日本人(特にマスコミ人やテレビコメンテーター)には向かない社会だね。


アメリカ人は、おおむね、政府が悪くても、政治が悪くても、

「民主主義とは『民が主人』という意味ではない。『自分たちの手で政府を作り、政治をやる』のが民主主義である。政府が悪い、政治が悪い、と言うことは、『自分たちが悪い』ことを示している」

と考える。

「政府を作り、政治をやっているのは、自分たち自身だ。その政府・政治を悪く言うのは、自分たちの顔に唾を吐きかけるようなもんだ」


「住んでいる村や町の地域を良くするために、まず身の回りの政治をやる。村や町の議会に自分が立候補したり、(自分と同じ意見の持ち主の)立候補した隣のオジサン・オバサンや友だちを応援し、政治をやる。・・・隣のオバサンが郡の議会に立候補するときは、友だちと手弁当で応援する。学校を建てたり、学校教育を改革するのは、政治家ではなく、まず自分たちとオバサンの手でやる。・・・オバサンが州議会に出るなら、州知事に出るなら、やはり手弁当で応援する。・・・オバサンが大統領選に出馬するときも、手弁当で応援する。オバサンが政治をしくじったとしたら、それは自分のしくじりだ」


「生活が不便なのは、それを自分たち市民が選択しているからだ。

政府が悪いせいではない。政治が悪いせいではない。

投票に行くことが、イコール民主主義、ではない。

投票に行くことは、民主主義のごく一部に過ぎない。

もし、悪いと思ったら、投票だけで変えられると思うのは間違い。

政府・政治を自分たちの手で作りかえる。

それが民主主義のやり方だ」


アメリカ人は、そう信じている。

それが、建国以来のアメリカの『草の根民主主義』というもんだ。


日本的民主主義では、政治とは、自分たちの手でやるものとは、決して考えない。

総理大臣も政治家も、やりたい人たちがやっているものだ。

やりたい人がやっているから、しくじりは、自分たち国民のしくじりでは、ない。

総理大臣や政治家のしくじりだ。

→だから、(民主主義とは、自分たちで政治をやるもんだ。とは思わないから)、テレビでや新聞で、総理大臣や政治家を叩く。非難する。悪口を言う。

テレビでは、マスコミ人もテレビコメンテーターも、「必ず選挙に行こう!」と言う。選挙に参加することが「民主主義」だと思っている。

ドバイかどこかで参議院議員選挙に立候補した人物に投票し、当選させる。それでも「民主主義」と信じているようだ。民主主義=選挙、と思っていると、そういうことになる。


世界は、広い。

国民も、いろいろだ。

いいところもあれば、そうでないところもある。

ことされ卑下することも、尊大ぶることもない。

それが、心の豊かさ、というもんだ。


2、老馬は森の中で嘶く

妻「ご大層なこと言ってるわね。それで、自分自身は、どうなの? 政治に参加しているの?」

私「ジイサンがでしゃばれば、老害サ! 老兵は消え去るのみ。若い人たちに道を譲る」

妻「さっきの勢いは、どこへ行ったの?」

私「私は、子どもの頃から、まわりと変わっていた。10人いれば、たった一人の変わった奴だった。私の意見だって、いまだに変わっているだろう? 選挙に出ても、とても当選はできない。だから、神山の森の中で嘶いているんだ」

妻「自分を、よくわかっているのネ」

ウウム、妻の言うことは、いつも正しい。


3、おやつタイム

妻「ご高説を聞かせて頂きました。それより、日本はアメリカより便利な国なんだから、そろそろ、水道の水を沸かして、コーヒーを淹れて、おやつを食べましょ!」

とは言っても、水道の水を沸かして、コーヒーを淹れて、おやつを用意するのは、私だ。

(日本の便利さも、わが家も、民主主義の賜物ではなく、夫の犠牲と奉仕で、出来上がっている)

妻「何をブツブツ言ってるの?」

私「何も!」

私は黙って、コーヒー豆を挽いて、コーヒーを淹れ、サンディエゴ旅行に持っていった「ごま好き」を取り出した。


外国へ行って、「おせんべい」を食べると、実にウマイ!

「ごま好き」は、栃木県日光市の丸彦製菓で作っている黒ごまがたっぷり入った「ごません」である。(スーパー「サミット」でもスーパー「三徳」でも、安売りの「お菓子のまちおか」でも売ってます)

噛めば、ごまの香りが立ち、口中に、ごまの味が広がる。

妻「美味しい~! 『ごま好き』も、コーヒーも、いい香り、いい味」

そうでしょ、そうでしょ。

人の作ってくれたものは、美味しいものだ。


・・・三度三度の食事を作ってくれる妻と、私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。