北信州・神山の森の中の一軒家、
新聞の配達もなく、電波も届かないせいでテレビも写らない「凡夫荘」。
朝まだき、目を覚ますと、
思い付いて、愛車を田園の中に走らせてみる。
明けきらぬ空に、沈んだ山なみ、棚引く雲。
車窓を少し開けると、田園の香りが、車内に吹き込んできた。
純粋な空気ではない、
微かに人間の営みを感じさせる風。
田んぼに入れた肥料の微かな臭い、農家で飼う牛や豚や鶏が食べる雑穀のような臭い、牛や豚や鶏が発する動物臭など、を含んだ風だ。
カーステレオをかけた。
ベートーヴェンのシンフォニー第6番が車内に流れる。
少しずつ明るさが増してきた。
夜が明けきると、実り始めた黄緑色の田園に、黒姫山と妙高山が黒くクッキリと形を現し、空が蒼(あお)く映える。
わが国土は、かくのごとく美しい。
・・・私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。
以上


