メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

おバカなジイサンが散歩していたら、古い空家の前で、

二人の警察官が、黄色のバリケードテープを展張していた。

ジイサンは、(すわ、事件か?)と、興味津々、警察官に尋ねた。

ジイサン「何をされているんですか? なぜ、立入禁止なんですか?」

警察官「壁が落下するなど、通行が危険なので・・・」


ジイサンは、空家を見上げた。

てっぺんの方の壁が欠けて落ちた跡があった。


窓が傾いていた。

建屋全体の建て付けも、歪んでいるようだ。

(これは、ホントに、危ないナ!)


総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、

高齢化が進むなか、全国で誰も使用せず放置されている「空家」が増加していて、

倒壊や朽廃のリスクが特に高い空家の数は、

1998年〜2018年の20年間で、182万戸から347万戸へ、2倍になり、

今後も増加し、2030年には、470万戸に達する、

と予測されている。


この空家のある住所は、多分、文京区だろう。

JR山手線巣鴨駅のほど近くに、これほど朽ちた家屋が残っていたのだ。


そういえば、この町は、最近、若い家族が越してきているが、

もともとは、お年寄りの多い町だった。


そのジイサン夫婦も老人であるが、

まわりはマンションが多く、

マンションには、若い家族が多く住み、

一戸建てには老人夫婦や、老婆の独り住まいが多い。

なぜか、老爺の独り住まいは、見かけない!

ハズバンドを亡くした女性は長生きし、ワイフを亡くした男性は、またたく間に、寿命が尽きてしまうからであろうか?

ジイサンは、空家を封鎖している警察官に、

「ご苦労さま!」

と声をかけて、散歩を続けた。

振り返ると、木造の空家は、いかにも頼りなくみえた。

家も、人も、歳を取り、役めを終え、やがて迷惑な存在となる。

時の過ぎ行くままに。


As time goes by

信じ合える喜びも、傷つけ合う悲しみも、いつか、ありのままに愛せるように。


私どもを生かして下さるなにものかに心から感謝します。