スローウォーキング21「大きな病院は時間がかかる」 | メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

数年来、スローウォーキングでも、スロージョギングでも、散歩でも、後から腰骨がちょっと痛くなり、かかりつけ医でもらってきたシップを貼っている。

痛くなるのは年とったせいかと思うが、シップといえども市販品はけっこう値段が高いから、ぬるま湯ビンボーは懐が寂しくなる。

かかりつけ医に処方箋を書いてもらえば、保険がきいてシップも2割負担で済むから、医者代を払っても、トータルはだいぶ安くつく。

それ故、2ヶ月に1度、かかりつけ医に通って、処方箋を書いてもらう。


かかりつけ医や接骨師によれば、私の腰骨の痛みは、加齢化による骨の歪みが原因という。

とはいえ、運動後の痛みが続くと、素人は (なんとかならないか?) と思うんだ。

或いは、(実際は、別の病気が原因じゃないか) と疑って、心配になるんだ。


というのも、

親友のI教授が、腰骨の痛みで、散々、按摩揉み療治に通ったあげく、

実際には、腰骨のガンで亡くなったことを知り、

ひょっとしたら、自分も、I教授と同じ病気かも知れない、と考えて、

大きな病院で診てもらおう、と思った。


1週間前に、血液採取し、MRI(磁気共鳴コンピューター断層撮影)を撮って、

今日は、午前11時に、専門医の診断を聞く予定で、地下鉄を乗り継ぎ、午前10時45分に来院した。


待合室は、たくさんの人で、全ての長椅子は満席状態だった。

診察の順番は、電光掲示板に受診番号が表示されて、わかる仕組みだった。

12時。

まだ、私の番号は表示されない。

まわりに座って順番待ちしているオバサン二人が、ずっとお喋りを続けていた。

「患者さんが多いのネ。もう、2時間も待っているワ!」


ナルホド。

まだ1時間じゃ、私の順番はまわってこないんだ。

私は、席を起って、ロビーに行き、タリーズコーヒーで、紙コップコーヒーを買って飲んだ。


午後1時15分。
電光掲示板に私の番号が出た。
すぐに、診察室のドアをノックして、入る。
担当の専門医は、大きな写真を見ながら、丁寧に説明してくれた。

要するに、I教授みたいな病変は、無い。
骨と骨が一部近接して、その部分が、時に痛む、ということだった。
但し、治療したり、薬を飲んだり、手術したりする程のことは、ない。
今のように、適当にシップを貼って、今程度の運動をして宜しい。
もっと痛くなったら、また来なさい。
改めて対策を考えましょう。
・・・そういうことだった。

病院ロビー脇の支払機で、診察代金を支払い、
ロビーに置かれた森鴎外の胸像を眺めて、病院を出た。
胸像の説明文によれば、この病院の前身は、大日本帝国の陸軍病院で、
当時、森林太郎医師が勤務していたそうだ。

自宅に帰って、ワイフに診断結果を報告した。
ワイフ「良かったわネ」
私「ウン」
ワイフ「何か、感想は?」
私「大きな病院は、時間がかかって、くたびれたヨ」

私は、運動着に着替えた。
ワイフ「どうするの?」、「ちょっと、軽くスローウォーキングしてくる」
・・・私ども夫婦の日常は、斯くの如く、たんたんと続く。

私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。