たくさんあるメニューの中から、しょっぱさの極みの進開屋の「天とじそば」を選んで食べてしまったハズバンドが、言う。
「ヒ〜ヒ〜! コーヒーを飲み、甘いものを食べて、ヒ〜ヒ〜! 口の中を、中和させたい。・・・ミューに行こう。ヒ〜ヒ〜!」
ハズバンドは、先に立って、ずんずん歩く。「ヒ〜ヒ〜!」
正して選択をして、美味しい「とろろそば」を楽しんだワイフは、涼しい顔で、ついてくる。
夫婦は、不忍通りを渡って、「カフェ・ド.ミュー」へ。
夫婦は、カウンターに並んで腰かけた。
ハズバンドがワイフに、「私は、コーヒー。ヒ〜ヒ〜! それと、ケーキを1つ取って、ヒ〜ヒ〜シェアしようヒ〜ヒ〜」
ワイフ「ケーキを食べるなら、いつものカフェラテじゃなく、私もコーヒーにする」
若いママが、ケーキ4つを盛った大皿、を持ってくる。
(大皿の中から、好みのケーキを選ぶ仕組みである)
ハズバンドがワイフに、「ヒ〜ヒ〜、君が好きなヒ〜ヒ〜、ケーキを選んでいいヨ。ヒ〜ヒ〜!」
ママ「ヒ〜ヒ〜って、何ですか?」
ワイフが、訳を説明した。
ママ「マア! たいへんでしたネ」
ハズバンド「ヒ〜ヒ〜ウンヒ〜ヒ〜!」
隣で、ワイフが笑い出した。
ママが思わずクスリとした。
「あら、すみません」ママがハズバンドに謝った。
ワイフがケーキを選ぶ。
赤色チョコレートでまわりを覆い、イチゴ味の生クリームとイチゴ果実をのせたチョコレートケーキだ。
ママは、一旦、大皿を下げ、
改めて、
カウンターの上に、ケーキ1つと、コーヒー2つ、を並べた。
ケーキ1つに、フォーク2本を添えてくれた。
ハズバンドは、早速、コーヒーを、がぶりっ。「ウマイ!」
たて続けに、もう、ひと口。「ウマイ!」
続けて、「お先に」
ハズバンドはフォークでケーキを一片、掬い取る。「ウマイ、甘い!」
ワイフが、ニヤニヤ笑う。「中和できるように、沢山食べて、いいわヨ」
その日の午後と夜、ハズバンドは、ずいぶん水やお茶を飲んだ。
ベッドに入ってから、何度も何度もトイレに起った。
・・・翌日、ハズバンドは、寝不足だったヨ。
「選択の自由」とは、「自己責任を伴う」と知った。
私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。