スローウォーキング20「ヒ〜ヒ〜の後、甘いものが食べたくなって」 | メトロガイド「いい店見つけた」椎名勲の凡夫荘便り

たくさんあるメニューの中から、しょっぱさの極みの進開屋の「天とじそば」を選んで食べてしまったハズバンドが、言う。

「ヒ〜ヒ〜! コーヒーを飲み、甘いものを食べて、ヒ〜ヒ〜! 口の中を、中和させたい。・・・ミューに行こう。ヒ〜ヒ〜!」

ハズバンドは、先に立って、ずんずん歩く。「ヒ〜ヒ〜!」

正して選択をして、美味しい「とろろそば」を楽しんだワイフは、涼しい顔で、ついてくる。

夫婦は、不忍通りを渡って、「カフェ・ド.ミュー」へ。


夫婦は、カウンターに並んで腰かけた。

ハズバンドがワイフに、「私は、コーヒー。ヒ〜ヒ〜! それと、ケーキを1つ取って、ヒ〜ヒ〜シェアしようヒ〜ヒ〜」

ワイフ「ケーキを食べるなら、いつものカフェラテじゃなく、私もコーヒーにする」


若いママが、ケーキ4つを盛った大皿、を持ってくる。

(大皿の中から、好みのケーキを選ぶ仕組みである)

ハズバンドがワイフに、「ヒ〜ヒ〜、君が好きなヒ〜ヒ〜、ケーキを選んでいいヨ。ヒ〜ヒ〜!」


ママ「ヒ〜ヒ〜って、何ですか?」

ワイフが、訳を説明した。

ママ「マア! たいへんでしたネ」

ハズバンド「ヒ〜ヒ〜ウンヒ〜ヒ〜!」

隣で、ワイフが笑い出した。

ママが思わずクスリとした。

「あら、すみません」ママがハズバンドに謝った。


ワイフがケーキを選ぶ。

赤色チョコレートでまわりを覆い、イチゴ味の生クリームとイチゴ果実をのせたチョコレートケーキだ。


ママは、一旦、大皿を下げ、

改めて、

カウンターの上に、ケーキ1つと、コーヒー2つ、を並べた。

ケーキ1つに、フォーク2本を添えてくれた。


ハズバンドは、早速、コーヒーを、がぶりっ。「ウマイ!」
たて続けに、もう、ひと口。「ウマイ!」
続けて、「お先に」
ハズバンドはフォークでケーキを一片、掬い取る。「ウマイ、甘い!」
ワイフが、ニヤニヤ笑う。「中和できるように、沢山食べて、いいわヨ」

その日の午後と夜、ハズバンドは、ずいぶん水やお茶を飲んだ。
ベッドに入ってから、何度も何度もトイレに起った。
・・・翌日、ハズバンドは、寝不足だったヨ。

「選択の自由」とは、「自己責任を伴う」と知った。
私どもを生かして下さるなにものかに、心から感謝します。