2022年11月27日(日曜日)
壷坂の観音は、桓武天皇の眼病を治したことで知られており、西国六番の札所である。
そして壺阪寺は『壷坂観音霊験記』の舞台でもある。
『壷坂観音霊験記』のあらすじ
目の見えない沢市は、妻のお里が毎晩七ツ(午前四時)になると家を抜け出していくことに疑念を抱く。
他の男の所へ行っているのではないかと。
ある日、その疑念を妻お里に打ち明けたところ、お里は涙ながらに事の真相を明かす。
お里は毎日、壷坂の観音様へ沢市の目が見えるようになってほしいと願掛けをしに出掛けていたのだった。
そして今度は2人でお参りをしようと沢市と連れだって壺坂へと出かけた。
山を登ってきた沢市は、ここで三日間断食をして願掛けをするという。
お里にはいったん家の用事をしに帰る。
ひとりになった沢市は、きっと自分の目は良くならないと悲観し、谷に身を投げてしまう。
一方、お里は嫌な予感がして山へ引き返し、谷底で動かなくなった沢市姿を見つけ、
後を追って身を投げてしまう。
そこに観世音が表れ、2人は蘇り、沢市の目も見えるようになっていた。
三つ違ひの兄さんと、言うて暮らしてゐるうちに、
情けなやこなさんは、生まれもつかぬほうそうで、
目界(めかい)の見えぬその上に、貧苦にせまれどなんのその、
一旦殿御の沢市様。たとへ火の中水の底・・・
(床本写し)
『壷坂観音霊験記』の有名な一節で、
沢市に疑われたお里が涙ながらに語る場面である。
そうだったのかっ!!
「三つ違いの兄さんと」とか「たとえ火の中、水の底」っていうのは
よく聞いた台詞だったけど、この話がネタ元だったとは知らなかった(^。^;)
と、文楽の授業を受けたときに思った私であった。