野村萬斎劇場を堪能…「アンチヒーロー」第9話、最終回 | 連ドラについてじっくり語るブログ

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ラスト2回の野村萬斎演じる伊達原もスゴかったですね。

まさに野村萬斎劇場って感じで、そのラスボスとしての敵役っぷりの良さはこの日曜劇場枠では、「半沢直樹」の香川照之にも匹敵するものがありました。





舞台で鍛えた滑舌の良さと、千変万化の顔芸!堪能させてもらいました。




TBS  日曜21時

「アンチヒーロー」第9話、最終回


主演…長谷川博己

脚本…李正美、山本奈奈、福田哲平、宮本勇人

演出…田中健太(9、終)、宮崎陽平(9)




このドラマは海外ドラマのように4人の脚本家がすべての回、手分けして書くというスタイルが取られ、初回の撮影前には全話分、書き終えていたようです。




つまり、緻密に全話の構成が組み立てられており、伏線などもきっちりと散りばめられ、それらをどこでどう回収するかなど目配りがなされた脚本になっていました。




恋愛ドラマは大抵、最終回前にペアが一旦別れて最終回にまたヨリを戻すというのが王道ですが、




このドラマのような勧善懲悪ものは、プロレスと同じで、ヒーローが散々ひどいめにあって絶体絶命のピンチから大逆転して手ごわい強敵を倒すというのが常套パターンです。




…なので、最終回前の第9話は、前回ラストで肝心な志水(緒形直人)の冤罪を証明する動画データが伊達原の手に渡り、破損されてしまうという事態を受けて、

新たな証拠になる物を探す苦しい状況が

描かれました。





あわせて、明墨(長谷川博己)と緑川(木村佳乃)の同期検事だった桃瀬(吹石一恵)の遺した手記をもとに、





志水の冤罪を疑い始めた桃瀬がいかに真実を追究しようとし、志半ばで病のために亡くなってしまったかも丁寧に描かれました。




最終回に向けて協力してあげなかったことを悔やむ明墨の桃瀬への思い、娘・飛鳥(堀田真由)のために隠蔽の悪事に加担してしまった倉田(藤木直人)の思い、諦めかけていたが娘・紗耶(近藤華)とまた暮らしたい志水の思い、




そういったものの強まりも丁寧に描かれていたのも見事でした。




そうして白木(大島優子)の裏切りによる緋山(岩田剛典)の事件の証拠品の引き渡しで明墨が逮捕という窮地で9話は終わりました。




最終回になると、これは伊達原を法廷に誘き出すための明墨の罠だなと薄々感じるんですが、果たしてどのように伊達原を追い詰めるのか?そこの興味で法廷劇を食い入るように見てしまいました。




どの回か忘れましたが、緑川(木村佳乃)が明墨と同期のようなセリフが確かあったはずで、その時から緑川は名字に色が入っているし、最終的には明墨に味方してくれるものと思ってました。




伊達原が踏みつぶした動画データを実はコピーしてるとかか?と思ってましたが、そうではなく明墨が白木を通じて流したガセの毒物検出の書類を、



資料庫に忍びいって紛れ込ませ、監視カメラもセットするという役割を担ってくれました。




緑川も明墨と一緒で、桃瀬から相談されたのに相手にしなかったことを悔いていたのです。




このドラマにはもう1つの裏テーマとして男社会の法曹界で、戦い続けた女性たちの要素もあり、最高裁判事をめざした

瀬古(神野三鈴)は伊達原に屈服し、冤罪を生んでしまい、桃瀬や緑川は検察の誇りを守るために戦い続けたのでした。




巨悪を倒すためには自らも悪事に手を染めた明墨の覚悟、共に地獄に墜ちましょうというセリフの迫力にはやられました。




志水ではなく誰が真犯人なのか?の謎は残りましたが、それはスペシャルか何かでやるんでしょうか?

赤峰(北村匠海)がダーティーなやり方も辞さない明墨の継承者になる感じで終わってましたが、続きがあるとすればその変貌ぶりとかも楽しみです。




9話、最終回共に評価は…8