役者さんも生身の人間ですから、いつも同じレベルの演技をするわけではありません。
脚本や演出が優秀でその要求に応じて良い演技をする場合もありますし、
共演者の優れた演技に触発されて、相乗効果のように良い演技をする場合もあります。
日本テレビ 土曜21時
「初恋の悪魔」第4話
主演…林遣都、仲野太賀
脚本…坂元裕二
演出…鈴木勇馬
記事を書きそびれて後悔していますが、同じ仲野太賀主演のNHK BSプレミアム「拾われた男」は見ごたえのある良いドラマです。
このドラマでは仲野太賀演じる主人公のバイト仲間から妻になる役で伊藤沙莉が出ており、若手実力派の2人のからみは必見の見ごたえがあります。
まさに演技バトルの名勝負という感じです。
…で、同じくらいの名勝負と言える演技バトルが、今回のこのドラマで仲野太賀と松岡茉優によって繰り広げられました。
部屋の鍵がなくなったために馬淵(仲野太賀)の家に厄介になることになった摘木(松岡茉優)
ちょっとした同棲状態になり、摘木に思いを寄せる馬淵はまんざらでもなく、このままずっと一緒ではダメかと勢いで聞いてしまいます。
しかし、自分が二重人格であることを苦にしている摘木は、今こうして馬淵と向き合っている方が別人格でやがて消えてしまうかもしれないと馬淵に告げます。
てっきり今の摘木が主人格だと私めは思っていたので、摘木は「ヘビ女」より自分の方が消えてしまう人格と思っていることに驚きました。
怯えや孤独感、馬淵に頼りたい弱さを、松岡茉優は実にデリケートに演じました。
それを受け止め、包み込もうとする馬淵を仲野太賀も受けの芝居で、リアクションをこちらも繊細に演じてみせました。
一見、派手さのない地味なやりとりですが、こういうシーンこそ役者の力量が問われます。
一方、鹿浜役の林遣都と、胡散臭いその隣人、森園役の安田顕とのからみも徐々に面白みを増していますね。
こういう得体の知れない役は安田顕の真骨頂ですね。
そして、もう１人触れておきたいのは、善悪の判別がつきにくい雪松を演じる伊藤英明の演技。
無表情の凄みは、映画「悪の教典」でサイコパス教師を怪演した時を思い出させ
、実に不気味で良いです。
今回の評価は…8