JR九州小倉総合車両センターで10月15日開かれた「小倉工場まつり2023」。多くの家族連れや鉄道ファンでにぎわいましたが、特に885系の運転台公開が人気でした。同じ特急形の485系や103系通勤形電車など国鉄形と見比べようと、私も見学の列に並んでみました。

 

 

 

運転台が公開された885系。欧州の列車を思わせる外観です

 

 

 

特急「ソニック」(主に博多ー大分)などで活躍する885系電車。私も鹿児島本線や日豊本線で写真を撮ることがあり、一度は運転台を見ておきたいと思っていました。この日、ブルトレ姿のED76形をゆっくり堪能している間に885系の見学待ちは長蛇の列になっていて、順番になるまで1時間以上かかりました。

 

 

革張りのグリーン席。豪華なデスクチェアといった印象ですが、なんとなくメンテナンスが大変そうに見えます…

 

 

 

運転台が公開された車両は885系SM9編成の1号車、半室グリーン車のクロハ884-9で、見学の順番が回ってくるまでは客室内で待機します。外で長時間並んだ後の快適なグリーン席は、地獄から天国のようでした。

 

 

乗務員室への入り口。客室との仕切りの意味合いでは薄いような気がしますが、グリーン車の乗客の圧迫感・閉塞感の軽減では良さそうです

 

 

 

885系の乗務員室に入ると、まずはシャープで近未来的な雰囲気に圧倒されます(デビューから20年以上たっていますが…)。運転台が車体上部に位置する485系と比べると開放的で、はるかに快適そうな印象です。

 

運転席自体は「走る重役室」のようで、重厚な椅子がドドンと鎮座しています。座り心地も良いのですが、一方で機器類が多く曲面ガラスの視界はコックピット感が強いようです。その意味では逆に閉塞感を覚えます。

 

 

 

885系の運転席。グリーン席より豪華に見えます。国鉄形に見慣れている私には鉄道車両というより、戦闘機かアニメ「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツのコックピットのように感じます

 

 

 

885系の運転席に座ってみると、外の景色が遠く感じます。曲面ガラスを使った流線形構造のせいかもしれませんが、ふだん見る「ソニック」はカーブ区間でも結構なスピードで走っていて、それをイメージすると少し怖くなります。

 

ただ、ご説明いただいた職員の方によると、基本的には信号機や500㍍先がしっかり見えて、駅での停車目標を確認しやすいことが大切で、同じ運転席でも私たちが乗るクルマとはそもそもの考え方が異なるようです。

 

 

【参考】国鉄形の485系特急形電車の運転台。低い天井は圧迫感を覚えますが、見通し自体は良好に感じます(九州鉄道記念館に前頭部のみ保存のクハ481-246)

 

 

【参考】103系通勤形電車は切妻形のため、窓ガラスが非常に近い位置にあります(クモハ103-2501、2015年撮影)

 

 

 

運転業務に携わったことのない見学者としての感想ですが、国鉄形車両は視界が直接的というか、ガラス面積は広くなくても見えやすい印象です。

 

103系電車の運転台は圧倒的に狭く目の前にガラスがあるのですが、外の景色はその分近く感じられます。素人目にはそうした切妻形の方が距離感をつかみやすいように思いますが、実際に運転される方はどのように感じるのでしょうか。

 

20年選手とはいえ885系の運転台は、国鉄形とは隔世の感があります。デビューした頃はまだ485系も残っていて、現場の方は私たちが乗客として思う以上に新旧の差を感じていたかもしれません。

 

 

 

イベントなどで長い待ち時間になる運転台見学は、これまでスルーすることが多かったのですが、今回はなかなか楽しめました。機会があればまた別の形式も見てみたいと思います。

 

 

 

 

※小倉工場まつり、ED76形電気機関車の展示は以下の記事でまとめています

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では、九州鉄道記念館に残るボンネット特急クハ481-603の運転台を紹介しています。885系との比較をお楽しみください