九州地区で貨物列車をけん引する交流電気機関車ED76形。このうち一般形と呼ばれる基本番台は94両が製造されました。かつてはブルートレインなどでも見られたスタンダード機でしたが、廃車が進んだ現在は2両が残るのみとなりました。13日で製造から48年を迎えた83号機の活躍シーンを見てみました。

 

鹿児島本線を行くED76 83=東郷ー東福間

 

 

 

ED76 83は、長崎・佐世保線電化開業用として1975(昭和50)年3月13日に落成。大分運転所に新製配置されました。国鉄民営化時はJR九州が継承し「はやぶさ」などの寝台特急でも活躍しましたが、現存するもう1両の81号機とともにJR貨物に移籍。旅客用だった仲間が次々と引退する中、貨物機に転じたことで長寿を保つことになりました。

 

 

門司機関区のED76は現在9両が稼動していますが、高速形の1000番台7両と比べると一般形の81、83号機はユニットサッシではない運転席側窓、文字を貼り付けたブロック式ナンバープレートなどに特徴が見られます。また更新車を示す白帯が製造銘板のすぐ横まで伸びていたり、列車無線アンテナの位置なども分かりやすい形態差となっています。

 

KE72ジャンパ連結器がなく一層シンプルなスカートまわりになっている一般形の83号機。更新車を示す白帯が1000番台より長いのも特徴になっています。乗務員室扉は2種類見られますが、一般形の2両はいずれもステンレス製になっています

 

 

【参考】現存するED76 1000番台。運転席側窓のユニットサッシ、短い白帯などが一般形との識別点です

 

 

 

83号機はED76現役機で唯一の三菱電機/三菱重工製であることも知られています。同一ロットでは5両が同グループ製で、81号機のみが東芝製でした。三菱のグループはこの後は一般形の92〜94号機を受注したのみでいずれも引退したため、スリーダイヤのED76は珍しい存在になったようです。

 

83号機のスリーダイヤ(無理やりトリミングしてみました…)

 

 

 

歴史を感じさせるレンガ造りのアーチ橋を渡るED76 83。やはりベテラン国鉄電機との組み合わせはしっくりきます

 

 

 

83号機の前回の全般検査は2017年11月。残存するED76の中では最も早い時期に受けています。今後、後継機EF510-300番台が増えてくることを考えると検査期限を迎えてそのまま引退の可能性があり、2023年は活躍シーンを記録する最後のチャンスかもしれません。残り2両となった一般形の動向が注目されます。

 

 

【追記】

ED76 83は、2024年3月のダイヤ改正時に運用離脱し、除籍されました。

 

 

 ※ED76 81の今昔は、以下をご覧ください

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では、ブルトレのヘッドマークが復活した1984年のED76形について書いてみました