中論 第4章.第5章.第6章 | 路傍の如来   多々方聖道石  こよなき幸せの仏教     

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JR上野駅不忍口前.辻立ち.托鉢.御相談 eメイルbongteng@live.com

中論 『根本中頌』

第四章 集合体(蘊)の考察

1.物質的要素の原因.則ち四元素を離れた物質的要素は認識され得ない…

また物質的要素を離れた.物質的要素の原因もまた認められない…

2.もしも物質的要素が.物質的要素の原因を離れているのであるならば.物質的要素は原因の無いものであると言う事になる…

しかし原因を持たないものは何処にも存在しない…

3.それに反して.もしも物質的要素を離れた物質的要素の原因なるものが存在するのであるならば.結果をもたらさない原因が有ると言う事になるであろう…

しかし結果をもたらさない原因と言うものは存在さない…

4.物質的要素が既に以前から存在するのであるならば.物質的要素の原因なるものは成立し得ない…また物質的要素が既に以前から存在しないのであるならば.物質的要素の原因なるものは存在し得ない…

5.更に原因を持っていない物質的要素なるものは.全く成立し得ない…それ故に物質的要素に関しては.如何なる分別的思考をも為すべきではない…

6.結果が原因と似ていると言う事は成立し得ない…結果が原因と似ていないと言う事もまた成立し得ない…

7.感受作用(受)と心と表象作用(想)と諸々の潜在的形成作用(行)と.これら全てのものは.如何なる点でも全く物質的要素と同じ関係が成立する…

8.論争が為された時に.空である事(空性)によって論破を為す人がいるならば.その人にとっては全てが論破されていないのであって.全ては論証(論破)さるべき事と等しいと言う事になる…

9.解説が為された時に.空性によって非難を為す人がいるならば.その人にとっては全てが非難されていないのであって.全ては論証さるべき事(非難さるべき事)と等しいと言う事になる…


第五章 要素(界)の考察

1.虚空の特質(相)が存在するよりも以前には.如何なる虚空も存在しない…

2.何であろうとも.特質を持っていないものは何処にも存在しない…特質を持たないものは存在しないから.何処に特質が現われ出ようか…

3.特質は.特質を持たないものの内に現われ出る事はない…また特質は特質を既に持っているものの内にも現われ出る事はない…また特質は.特質を有するものと.特質を有しないものとは.異なった他のものの内にも.現われ出る事はない…

4.特質が成立しないから.特質づけられる(可相)は有り得ない…特質づけられるものが成立しないから特質もまた成立しない…

5.それ故に.特質づけられるものは存在しない…特質もまた存在しない…特質づけられるものと特質とを離れた別のものもまた存在しない…

6.有(もの)が存在しない時.何ものの無が存在するだろうか…有とも異なり.無とも異なる何人が在って有無を知るのであろうか…

(有と無とはそれぞれ独立には存在し得ない互いに他を予想して成立している概念であり.則ち有と無との対立という最も根本的な対立の根底に相互依存.相互限定を見い出したのである)

7.それ故に.虚空は有でもなく非有(無)でもなく.特質づけられるものでもなく.特質でもない…

その他の五つの要素(地.水.火.風.識)も.虚空の場合と似ている(同様であると考察すべきである)

8.然るに.諸々のものの有と無とを見る愚者は.経験される諸々の対象が安らぎに帰し.めでたい有様を見る事がない…


第六章 貪りに汚れる事と.貪りに汚れた人との考察

1.もしも貪りに汚れる事よりも以前に貪りに汚れた人が.貪りに汚れる事を離れて別に存在し得るのであるならば.貪りに汚れたその人に縁って貪りに汚れる事が存在し得るであろう…

2.しかし貪り汚れた人が存在しないのに.どうして貪りに汚れる事が存在し得るであろうか…

貪りに汚れる事と言う実体が存在するのであろうとも.或いは存在しないのであろうとも.貪りに汚れた人に付いても.この同様の次第が成立する…

3.処で.貪りに汚れる事と.貪りに汚れた人とが同一時に生起する事は有り得ない…

何となれば(もしそうだとすると).貪りに汚れる事と貪りに汚れた人とは.相互に無関係なものとなるであろう…

4.貪りに汚れる事と貪りに汚れた人とが.もしも同一であるならば.両者の共在する事は有り得ない…何となれば.ものはそのものと.共在しないからである…また.その両者が全然別異なものであるならば.その両者が共在する事がどうして起こり得るであろうか…

5.もしも両者が同一であるから共在が成立するのであるならば.助伴者がいなくても共在が成立するであろう…またもしも両者が別異であるからこそ共在が成立するのであるならば.助伴者がいたとしても共在が成立するであろう…

6.或いはまた.両者が別異であるからこそ共在が成立するのであるならば.貪りに汚れる事と貪りに汚れた人とが互いに異なったものであると言う事が.どうして既に成立しているのであろうか…何となれば.その二つのものは既に共在(合している)のであるから…

7.或いは.もしも貪りに汚れる事と貪りに汚れている人とが別の異なったものであると言う事が既に別々に成立しているのであるならば.他方に於いて両者の共在する事を.汝は何の為に想定するのであるか…

8.[別々には成立しない]と.その様に考えて.汝は両者の共在を願う…処が両者の共在を成立させる為に.汝は更に両者が別の異なったものであると考えている…

9.然るに.両者の別異である事は成立しないから.両者の共在は成立しない…

両者が別の異なったものであるのに.汝はその何れに於いて共在を考えるのであるか…

10.こういう理由であるから.貪りに汚れる事が貪りに汚れている人と倶(伴)に成立する事はないし.また両者が倶にならないで別々に成立する事もない…

貪りに汚れる事と同様に.一切の事柄が倶と成立する事もないし.また倶にならないで別々に成立する事もない…