新学期がはじまりました。

 子どもたちが学校生活で体験することは学習活動だけではありません。

 クラスメイトなどの子どもたちとの関係や教師との関係も学校にはあふれています。

そして、学習や人間関係において、

子どもたちはさまざまな評価をうけていきます。

 

今日、紹介する絵本は「みんなからみえないブライアン」(ラドウィッグ作 バートン絵 くもん出版)です。

表紙の子どもや教師はカラーですが、フライアンだけは白黒です。

いえ、もう少しで透明人間のように見えなくなりそうです。

ブライアンは大声で怒鳴ることもないし、

ぐずったり、あばれたりするわけでもない。

また、特に上手なものがあるわけでもないですが、

ひとりで楽しむことをして過ごすのが好きな子どもです。

そう、ブライアンは実に「めだたない」子どもなのです。

そんなブライアンは、

困った行動や得意な行動で注目される子どもたちの中で

どんどん目立たなくなり、色をうしなっていきます。

 

私たち心理士が小中学校を巡回して、

教師たちから「気になる子」と評される児童生徒の学校での様子を

観察し、教師とその子どもを心理学的観点から理解しサポートすることがあります。

教師たちが「気になる子」の多くは、勉強ができなかったり、

乱暴でトラブルを起こしたり、忘れ物が多かったりするいわば「めだつ子」です。

そうした児童生徒に注目して観察をし、

彼らが学校で体験しているだろう困り体験について、

教師と心理師で一緒に話し合います。

ところが、ときどき、私は別の子どもが気になることがあります。

教師が「気になる」と心理士の「気になる」が少し違うのだなと思う瞬間です。

大人から見た「困った行動」というのは

ある意味、眼をむけるきっかけをつくります。

そこから、関わりがうまれ、その子がいる世界の困っている体験の意味を理解し

手を差し伸べることへと展開していくことがあります。

「困った行動」のことを

子どもの世界への「入場券」だといった専門家がいます。

逆にいえば、

めだつ「困った行動」がないと、

その子どもに目がいかなくなってしまいます。

心理士とはすこしばかりへそ曲がりであることが必要です。

めだたない子どもに目がいくようにです。

そうすると、見えてくることがあります。

「困った行動」や「じょうずな行動」がめだたなくても、

子どもには「まなざし」が必要です。

外から見えないものを見ようとする「まなざし」が一人一人の色を生みます。

ブライアンは絵本のなかで、少しずつ色を取り戻します。

自分を認めてくれて、肯定してくれる「まなざし」がでてきたからです。

見えないものも観ていく「まなざし」をもった心理士、

そんな専門家になっていきたいです。