フランス、ロワール河流域のワイン | 吉祥寺 ワイン&レストラン ボナペティのブログ

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常時300種以上のワインをそろえた、シニアソムリエがいるレストランです。

毎月第三月曜日開催の「ボナペティ主催月例ワイン会」を担当しております岡部です。今回はフランス・ロワール河流域の産地について紹介させていただきます。


Vallee de la Loire



ロワール河は中央山塊といわれるフランスの屋根のようなところに端を発しナント市で大西洋に至るまで、およそ1000㎞にわたって本流とその支流近辺に大小のまとまりをもった多くの産地が連なっています。ぶどう畑は、ローマ人によって植樹されたナント地方を除き、大修道院の奨励の下5世紀以降発展を遂げてきました。当時は河川での輸送手段のほうがより確実であったため、流域の産地は商業的にも容易に発展することができたようです。

 10世紀以前のロワール最古の品種はピノ・ドーニ(シュナン・ノワール)で、その育種によってピノー・ド・ラ・ロワール(シュナン・ブラン)が生まれます。ソーヴィニヨンはボルドーから来たという説もありますが、ロワール原産の説が優位で、事実、シュナンとソーヴィニヨンの類縁関係は証明されています。南西地方からの伝来種としてはボルドーからのカベルネですが、カベルネ・フランはナントで出来たのでロワール地方ではブルターニュ地方の名称ブルトンと呼ばれます。ブルゴーニュ原産品種としては、ピノ・ノワールとシャルドネが中世前期に導入され、16世紀以後にグロ・ノワールと各種ガメイが導入されます。1639年頃ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)が導入され現在にいたります。

 1154年、アンジュー候のアンリ2世がイギリス国王に即位して以来飛躍的な発展を遂げ、その後1000年近くにわたりフランスとイギリスの国王たちはロワールワインの名声に貢献し続けます。フランス革命のヴァンデの会戦ではぶどう畑が荒廃し、帝政下では輸出が困難になりましたが、クーレ・ド・セランの愛好者だったジョセフィーヌ皇后の助力でアンジューワインは再びパリで名声を獲得し、復活したといわれます。

 このクーレ・ド・セランは、日本では通称「食通の王」(現地では「美食家の王子」)として有名なフランスの料理評論家キュルノンスキーが1930年代に提唱した「フランス5大白ワイン」のひとつとして、モンラッシェやソーテルヌのシャトー・ディケム等と並び称された名品です。7月の月例ワイン会(第三月曜)でお楽しみ頂けます。ちなみに、5大白ワインの残るふたつはローヌ地方のヴィオニエ種によるシャトー・グリエとジュラ地方のヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)でシャトー・シャロンです。

 ロワールのワインはまだ一般的な知名度が低いためか、ブルゴーニュやボルドーのような価格高騰には至っておりません。今のうちにこの産地に目を向けて色々とお好みを見つけるのも面白いと思います。これからの暑い時期にピッタリのロワールワインをお楽しみください。