東京建築祭2024 | 書斎の汽車・電車

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インドア派鉄道趣味人のブログです。
鉄道書、鉄道模型の話題等、つれづれに記していきます。

 1か月ほど前に参加したイベントのお話をします。

 5月の25・26日の両日行われました「東京建築祭2024」、都内に残る歴史的な建築物(主に戦前からあるオフィスビル)を、普段は「関係者以外立ち入り禁止」のところ、2日間限定で一般公開してしまおうというイベントでした。

 

 「神田地区」「日本橋地区」「丸の内地区」「銀座・築地地区」などとエリアごとに分けて、それぞれ建物を公開していました。中には二日間で全部見たよという方もいらっしゃるかと思いますが、小生は1日だけ、それも日本橋地区のごく一部を見ただけですので、余り偉そうなことはいえませんが、とりあえずのご報告です。

 

 まずは神田駅から、神田鍛冶町の「丸石ビル」を目指します。千代田区内ですが日本橋エリアの北端となる辺りです。

 昭和6(1931)年築という、装飾性豊かなビルです。

 入口のライオンは三越のライオン(後程登場します)とは随分趣が違いますね。

 

 丸石ビル至近の中央通り沿いには、「東京建築祭」には参加していません(従って外から眺めるだけ)が、同じ昭和6(1931)年生まれのこんな建物も。

「山梨中央銀行東京支店」いかにも昔の銀行といった建物です。

 

 日本橋方向へ歩いていきますと、威容を誇るこの建物が、

 昭和4(1929)年築「三井本館」です。

 この建物、公開していたのですが、凄い行列!見学するにはかなり待たされそうというので泣く泣く諦め、外観のみ眺めることとします。

 三井本館の裏手には、今回は非公開ですが「日銀本店本館」、言わずと知れた辰野金吾設計、明治24(1891)年に生まれた名建築です。(この建物は、縁あって25年くらい前に見学したことがあります)

 三井本館見学のため並ぶ皆さんが写っていますが、奥には「三越本店」の塔も見えます。

 三越本店は大正3(1914)年築、その後増改築が加えられています。今回は「三越劇場」が一般公開の対象でしたが、建築祭本番に先駆けての実施だったようで、この日は見られませんでした。

 それでも、こんな発見も。

 「地下鐵入口」の看板です。何でも三越前駅開業当初からあるものを利用している(文字を左書きに直した?)とか。

 おなじみのライオンです。本家(?)ロンドンのトラファルガー広場のライオンは、もっと大きかった記憶があります。

 

 日本橋を渡りまして、日本橋川沿いに東へと歩きます。

 目指すは「日証館」です。

 渋沢栄一(新1万円札の「顔」ですね)の旧宅跡に、昭和3(1928)年に建てられた建物です。

 エントランスホールの天井

 古典的なシューター式の郵便投函箱の隣にAEDがチラリと見えているのが、このビルが「現役」である証です。

 エレベーターホールの灯具も洒落ています。

 階段の踊り場から日本橋川の川面が見える辺りが、ちょっとヴェネツィア風です。

 

 日証館を堪能した後は、日本橋方向へと戻りますが、途中にこんな建物も。(今回非公開)

 「三菱倉庫江戸橋倉庫ビル」、昭和5(1930)年築のファサード部分を残し、後ろに高層ビルを建てるという、よくある形態です。このアングルではさっぱりわかりませんが、このビル、船の形をしています。

 

 最後はこの建物

 昭和8(1933)年築。「日本橋高島屋」です。ここも開店時間前には特別公開があったようです。

 

 日本橋地区の建物を眺めてきましたが、やはり都心の建築物は風格がありますね。鉄道模型のストラクチャーを考える上でも、大いに収穫がありました。もちろん、今回ご紹介した建物を忠実に再現するのは難しいでしょうが、都電、それもPCCカーあたりを走らせるとすれば、その「舞台」にもそれ相応の風格ある建物を用意しなければなりません。

 

 「東京建築祭2024」、初めての試みでしたが大盛況で、パンフレットはなくなり、主催者のウェブサイトもしばしばつながらなくなるなど、建物好き、街歩き好きの方がいかに沢山いらっしゃるかがよくわかりました。来年以降も開催されるようでしたら、今度は他の地区にも足を運んでみたいものです。

 

 今回参考になった一冊、森岡督行『東京旧市街地を歩く』(エクスナレッジ・2015年)モノクロ写真オンリーですが、実に味のある写真集です。