S-TRAIN乗車記 | 書斎の汽車・電車

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 東京地下鉄有楽町線から西武池袋線に乗り入れる『S-TRAIN』、前々から気になる存在ではありましたが、仕事が早く退けた6月21日、とうとう乗ってみることにしました。

 

 乗り込んだのは豊洲発18時00分の『S-TRAIN101号』です。夏至の時期のこの電車なら、西武線内での車窓もまだぎりぎり楽しめるのではないかという魂胆もあり、この時期のこの電車を選んだのでした。

 豊洲駅での撮影ですが、ホームドアが設置された現在では、こんな写真しか撮れません。

 

 指定券購入時に号車も選べたのですが、「お任せ」としたところ、8号車となりました。それよりも座席が「4A」、ちょうど戸袋のところで窓がありません。車窓風景を楽しもうという目論見は早くも崩れたのでした。

 

 豊洲出発時には3割程度の入りだったのですが、有楽町(18時07分発)、飯田橋(18時17分発)でお客さんを拾いまして、飯田橋出発時にはほぼ満席となりました。この後の停車駅は降車のみですから、もうお客が乗ってくることはない筈です。ただ、何事にも「例外」という奴はありまして、有楽町では指定席券を持たない中年夫婦が乗ってきまして、飯田橋でそそくさと降りていきました。宮脇俊三氏の『時刻表昭和史』で、横浜駅から第1種急行(旧特急)に誤って乗ってきてしまった老人を思い起こさせる一幕でした。各駅では散々放送等で注意喚起している筈ですが、案内というのは、どうしても伝わらない人が一定数いるものです。

 

 その後は、前を走る電車が乗降に手間取っているのか、遅延が発生します。練馬までノンストップの筈の我らが『S-TRAIN』ですが、護国寺駅手前と池袋駅手前でしばしの停車を余儀なくされます。しかしまあ、大ターミナル駅である池袋駅を通過するというのは、なかなか経験できることではありません。

 小竹向原駅では、乗務員交代のため運転停車し、いよいよ西武線に入ります。18時37分着の練馬からは降車可能となりまして、私の隣席の女性(飯田橋から乗車)もここで下車していきました。練馬での降車客はそんなにいないのかと思いきや、8号車だけで3人いました。

 

 さあ、西武池袋線ご自慢の複々線区間に入ります。私の席そのものは窓がありませんが、なにしろ立ち客がいませんので、すれちがう電車の姿をそこそこ堪能できます。ただ、日頃の行いが悪いせいか、ノーマルな塗装の車輛ばかりが現れ、特別塗装の電車とは縁がありませんでした。

 石神井公園(18時42分着)、保谷(18時46分着)でも降車客が多く、車内は半分程度の入りになっています。さすがに車窓はかなり暗くなってきましたが、まだ景色や電車は見えます。私も18時58分着の所沢で下車することにします。

 この後は西所沢(19時02分着)、終点小手指には19時05分着となるのですが、この後に乗る電車のことも考えて所沢下車としました。所沢で下車する方はさすがに多く、『S-TRAIN』は1輛あたり数人を乗せてラストスパートということになりました。

 

 私は所沢在住ではありませんので、都心方向に戻らなければなりません。そこで所沢発19時16分の特急『小江戸42号』で高田馬場(19時41分着)を目指します。所沢へ行くといっても、駅構内から出ることすらせず引き返すのですから、百鬼園先生の『阿房列車』もびっくりの呆れた所業です。

 

 お久しぶりの10000系(ニューレッドアロー)は、やはり快適でした。『S-TRAIN』40000系電車のクロスシートも座り心地は悪くありませんが、シートピッチ、リクライニングなど、やはり特急車はレベルが違います。(そして特急料金は500円。『S-TRAIN』の座席指定料金が510円ですから、お得感がありますよね)また40000系の中は、どうも飲食もしにくい雰囲気で、持参したペットボトルのお茶も飲めませんでしたが、『小江戸』号はさすがにそんなことはなく、皆さん堂々と飲食しておられます。まあ、平日夜の上り電車で、各車5~6人くらいしか乗っていないというのもありますが。

 

 今回『S-TRAIN』に乗ってみました。確かに着席機会が保証されたこの種の列車に一定の需要があるのはわかりますが、やはり快適性という面では特急車に軍配を上げざるを得ません。地下鉄と乗り入れ運転を行うのであれば、40000系も悪い電車ではありませんが、既存の特急用車輛を置き換えるというのはやはり如何なものかというのが、私の個人的見解です。