『鉄道模型趣味』2024年4月号の「古典特集」 | 書斎の汽車・電車

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 『鉄道模型趣味』(TMS)誌が現在発売中の4月号で、興味深い特集を組んでいます。

 

 「いま・・・なぜ”古典”に惹かれるのか」と題し、二つの記事を載せています。

 特集の扉はこんな風です。

 

 一つ目が尾崎義明氏の「明治の列車」です。副題に「ペーパーキットで再現する創世記の編成」とありますが、ワールド工芸の機関車とIORI工房のペーパーキットの組み合わせで、鉄道開業当時の列車を再現したという工作記事です。当時の列車、色合い等が独特で、まるで錦絵から飛び出してきた様です。いわゆる「陸蒸気」ですが、ライニング等の仕上げは意外と大変そうです。

 

 二つ目の記事は谷川雄介氏の「若手が語る古典列車の魅力」、こちらは昨年のJAMにおけるクリニックを再構成したものですが、Nゲージ主体の若手モデラーにも、「古典」を楽しむ方が徐々に増えている様子がよくわかります。その一端は昨年夏の有明、先月の池袋でも拝見しました。

 

 今回の特集、編集部サイドも色々と迷いがあったのか、末尾の「編集者の手帖」には「あえて”若手”に絞った実験的な内容で、しかもテーマが古典=聖域とあって大向こうからのご批判は覚悟の上です」などとあります。しかしまあ、私はこの特集、悪くないと思いましたよ。このジャンル、いつまでも「聖域」のままでは先細りは必至ですもの。

 

 そして今月のTMS、他にも興味深い記事がたくさんありました。私にとっては、巻頭の宮松金次郎氏の写真から驚きでした。碓氷峠の「歯車車」、ピ30形の形式写真というのは初見でした。また連載「星さんの写真を読む」、星晃氏の写真、今回は貨車が登場します。豚積車が実際に豚を積んでいる写真は珍しいですし、「特急」のワキ1、「急行」のワム70000.レム400など今となっては貴重な記録です。さらに、いのうえ・こーいち氏の連載「模型のためのエッセンス」ではED28とED31という古典的な凸型電機を取り上げています。

 実物記事だけでなく、模型製作記事にも面白いものが多いのですが、特に高瀬雅弘氏の「道東のビート列車」が印象に残りました。模型は120分の1・9ミリ(tt9)でしたが、9600がセキ2輛、トラ1輛、ワフ1輛を牽くというのは、Nゲージでも楽しめそうです。ただ、積荷のビート(砂糖大根)をどう表現するかという問題は残りますが。(作者は1本ずつ削り出すという気の遠くなるような工作をしています)

 

 TMS誌、表紙右下では通巻1000号に向けてのカウントダウンもすでに始まっています。来年の1000号記念号も楽しみです。