「何とも凄い試作コンテナ」補足 | 書斎の汽車・電車

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 昨日の物流博物館の展示に関する記事の中で、「何とも凄い試作コンテナ」などと書きましたが、何が「凄い」のかは書きませんでした。これはいささか不親切かと思い、補足する次第です。

 

 まずは昨日お目にかけた写真を再掲します。

 貨車(チキ5000号)に5個のコンテナが載っています。

 

 さらにクローズアップしてみましょう。

 コンテナは右から、5009、5004、5007、5000、一番左は5005でしょうか5006でしょうか。

 

 これらのコンテナの素性について、吉岡心平氏の『国鉄コンテナのすべて(上)』によれば、5000形の5000~5009は東急車輛製の試作コンテナだそうです。昭和34(1959)年3月頃落成で、同年6~9月の試験輸送(東京大阪間)に使用されましたが、緊締装置が独特で、チキ5000号にしか搭載できなかったといいます。

 5000~5006は鋼製ですが、のちの量産型(5100番代)とは外観を含め異なる点が多いです。写真にはそのうちの3個が写っています。

 5007(写真中央)と5008はアルミ製で、アルミ地肌のまま無塗装だったといいますが、確かに他のコンテナ(淡緑3号、いわゆる「青大将」色)とは色合いが違うように見えます。

 5009(写真右端)は何と「木製」でした。製作コストを下げることを狙ったようですが、強度不足は如何ともし難く、量産されることはありませんでした。なお、ほんの少し鋼製よりも重かったそうです。

 

 試作コンテナというと、このほか富士重工製の5010~5019もあり、こちらはチキ5001号車限定でした。5010~5016が鋼製、ただし脚が6つあるという異端児。5017と5018は軽合金製でやはり銀色の地肌むき出し。5019は木製でした。

 これらの試作コンテナは、昭和35(1960)年には緊締装置等を改造し、量産型に混じって「たから」号で使用されたようですが、試作ゆえに早期に姿を消したようです。いずれも興味深い存在ですが模型化するとなるとなかなか大変そうです。ともあれ、今回の写真、なかなか珍しいものでした。