文脈無視 | マニュアル課 翻訳室

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フリーランスで翻訳と翻訳レビューをやっています。
以前はマニュアルのテクニカルライティングもやっていましたが、今では翻訳専業です。

私は翻訳だけでなく、「レビューア」」の仕事もやっています。

某メーカーの翻訳レビューだったり、最近では翻訳会社の最終納品のQAのお仕事も頂いています。

いろいろな訳文を目にする機会があるのですが、多くの翻訳者に共通してみられる傾向がかなりあることに気が付きました。

そんなわけで、今回からこういう「気になる翻訳」について書いていきたいなと思います。

今回は、タイトルにあるように「文脈を無視した」訳文を見てみたいと思います。
例なので、原文は思いっきり単純な構造にしています。

"Click XXX to complete the registration."

このように、「to 不定詞」の命令文がマニュアルなどの文章にはよく出てきます。

なぜか、目にしたほとんどの翻訳者が、次のように訳しています。

「登録を完了するには、XXXをクリックします。」

もちろん、これで良い場合もあります。

登録だけでなく、他の操作の選択肢も考えられる場合はそうですね。たとえば、キャンセルとか。

でも、この文が出てきたのは、「登録する」という操作手順の一部。

つまり、「登録」は必ず行う操作なのに、「するには」はおかしいのでは?

という疑問を持ってしまうんです。私は。

ここは次のようになるべきでしょう。

「XXXをクリックして、登録を完了します。」

=> 次回に続く。