一般に IT 翻訳の単価は低いです。
もちろん、自分の実力が足りないという側面もありますが、翻訳会社さんから聞くところによると、ソースクライアントからの値下げ要求が強いそうです。翻訳会社さんを通して仕事を頂いている以上、しょうがないと思います。ソースクライアントから直接仕事をもらうのであれば、当然単価も高くなります。ただし、翻訳以外の雑務は自分でやることになります。逆に考えると、その雑務を翻訳会社さんが肩代わりしてくれるおかげで、翻訳に専念できます。
翻訳者も翻訳会社と二人三脚で良い製品を作り上げています。あまり目立ちませんが、私たち翻訳者の訳文に対して、翻訳会社では大変な苦労をされています。用語統一、TMの更新、ブラッシュアップ、クエリの反映など、翻訳会社の方々には本当に頭の下がる思いです。決して翻訳者の訳文がそのまま製品として納品されることはありません。
ちなみに、テクニカルライティングや執筆の単価は、翻訳とは比べ物にならないくらい良いです。どちらも経験して思うのですが、翻訳の仕事はもっと評価されてしかるべきです。ある意味、自分で書くよりも難しいのではないでしょうか。書き手の意図を察して訳さなければならないこともあります。翻訳は本当に過酷な仕事だと実感します。
最近のIT翻訳では、「この単価でここまで要求するのか?」という案件が非常に多いと感じます。単価についてソースクライアントに言いたいのは、良いサービスを求めるのであれば、高い金額を支払うのは当然ではないかと。今のように値下げ要求(圧力)を翻訳会社にかけ続ければ、高品質な翻訳を提供するのは難しくなると思います。翻訳だってひとつの職業です。生活の糧です。人様と同じように生活していけるだけの収入がなければ、翻訳を続けていくのは難しくなります。