11月9日
まちだ市民大学HATS・まちだの福祉 公開講座『絵本とジェンダー ~社会と「わたし」を映すメディアの世界~』(於:町田市生涯学習センター)で講師を務めました。
市民大学をご受講の皆様、一般応募の皆様、たくさんの方々にお集まりいただきました。ありがとうございます。
◇配布資料6P (以下、各内容)
・全体レジュメ
・ジェンダーとは?ジェンダーバイアスとは? (用語解説)
・ジェンダーギャップの今
・幼児期の発達心理
・女性と子どもを取り巻く課題 (データ)
・リスト(講座で紹介した本、参考・出典・引用一覧、おすすめのジェンダー関連書籍)
これらの資料を配布。お持ち帰りいただきました。
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講座の一部をスライドでご紹介
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「絵」と「ことば」で綴られる絵本の世界。
たのしい物語が展開され、やさしく世界の理を説く〈絵本〉は、同時に、社会・歴史・文化の記録であり、他メディア同様、時代と人々を映すメディアでもあります。
絵本の中で見たこと・聞いたことことは、‟子どものひとつの経験”となります。
長い歴史の中で、世界で、おとなは子どもたちにどのような絵本を手渡してきたのでしょうか?
子どもの時代と言われる20世紀、絵本は大きな発展を遂げました。対象を拡げ、内容も多様化して現在に至ります。
近年では、ひとの生き方や社会課題に触れる(あるいは読み手の心がそこにヒントをもとめる)内容の作品も増えてまいりました。
いま解決すべきとされる課題のひとつに、ジェンダーの問題があります。
「ジェンダー・バイアス」とは、男女の役割に固定的な観念・偏見を持つことや、そのために社会的な評価や扱いが差別的になることを指す言葉です。
生涯賃金や個の生き方に大きな影響をあたえる「ジェンダー・ギャップ(男女の格差)」は、世界の大きな関心事です。
ジェンダーをテーマに(あるいはジェンダーを想起させるフィクションの中で)、女性、男性、子どもを描く絵本、登場人物であるかれらと読み手にエールを送る良書が、国内外で出版されています。
「生きづらさ」を抱える人々の問題は、「セクシャル・マイノリティー」と総称されるLGBTQの人々がかねてより抱える問題でもあります。
そんな、声をあげづらい状況にある人々を描く絵本、多様性を「ここにあるもの」として当たり前に描く絵本も増えてきています。
「ジェンダー」をテーマに掲げる講座・講演では毎回、
☆絵本は時代を映す
☆絵本は人々の意識を映す
☆テレビ、新聞、映画、インターネットコンテンツにおける表現(表層)と同様、絵本もまた社会及び子どもたちに影響をあたえるメディアである
とお話しするところから始めます。
その上で、個や社会の抱える様々な課題解決を目指すための「はじめの一歩」として、まずは自分自身の意識、身の回りのこと・ひとに目を向けていただくことが大切であるとお話をさせていただきます。
絵本の紹介と併せ、社会の現状と課題を知るための様々なデータ(調査データ)を紐解き、解説を行います。
知ること。
想像してみること。
「絵本」の絵と言葉、余白から生まれる「問い」を大切にし、広く深い、社会的な視点の獲得を目指す講座です。
これまで見えなかったもの、意識を向けてこなかったものをみつめる〈あたらしい視点〉―― そのきっかけとしての「絵本」を提示します。
絵本は、‟こうあってほしい世界(理想)”を紡ぐ、希望のメディアです。
子どもたちに手渡したい未来には、どんな景色が広がっていますか?
今から ここから はじめましょう。
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お集まりいただいた皆様、市担当職員様、誠にありがとうございました。
講義後の多くのご質問にも感謝申し上げます。
その中のひとつに、
「よい絵本を大人が与えるのではなく、子どもが好きな本を勝手に読めばよいのでは?」との質問(ご意見かな)がありました。 (「炎上しちゃうかもしれないけど...」と遠慮がちに。いえ、まったく心配ございません)
わかります。
何なら本を、絵本を、絶対に読まなきゃいけないなんてこともないのです。
ただ、
私たちは「好きなもの」とさらっと言いますが、これは知るものの中から選び取った結果なのです。
ここにこんな世界もあるよ、世界はひろいよ、こんなにも多様だよ、と
私はこれからも伝えていきたいと思います。
子どもと
大人に。
(よき問いかけをありがとうございます。いつも心より感謝)
絵本コーディネーター東條知美