『僕らの絵本』
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  • 16Oct
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      わたしの偏愛作家 〜ジョン・バーニンガム〜

      こんにちは。突然、好きな絵本作家への愛が炸裂してしまうことってありませんか。今宵は、ジョン・バーニンガムの絵本の魅力を語りたいと思います。***ジョン・バーニンガムの絵本には、柔らかい線(細く縁どられたものが多)、穏やかな色味、もしくは深みのある色が用いられています。彼の絵は、とてもアーティスティックです。もしかしたら(それゆえ)、本屋で平積みされた赤や黄色の絵本の中では目立たず、埋もれてしまうやもしれません。ぜひ一度手にとって、開いてみてください。そこに描かれる「子ども」も「大人」も「どうぶつ」も、そのみんな自然体で、なんだかホッとさせてくれるのです。ちょっと変わった人物が描かれることはありますが、絵本の中には、あくまでもゆったりとした時間が流れています。品のいいユーモアとウイットにも富んでいます。楽しい、さみしい、こわい…読み手の様々な感情を呼び起こします。だからジョン・バーニンガムの絵本は世界中で愛されるのでしょう。***コロナ禍。家族で過ごす時間が長くなると、親も子もついイライラ…そんな時、「ねえ、どれがいい?」ジャムだらけになるのと、水をかけられるのと。2千円でトゲトゲの茨にとびこむのと、1万円で死んだカエルをのみこむのと、2万円でお化け屋敷にお泊まりするのと。…「ねえ、どれがいい?」☆『ねえ、どれがいい?』(ジョン・バーニンガム作/まつかわまゆみ訳 評論社) 本を閉じた後も、自由な空想遊びをしてみてはいかが♫傘化けと一反木綿、友だちになるなら…?アイスクリームとケーキ、一週間食べ続けるなら…?ねえ、どれがいい?想像力は無限です。遊びましょ✨***秋の夜。まだ出してない人はそろそろ出した方がいいと思います。もうふ。あったかいよ…☆『もうふ』(ジョン・バーニンガム作/谷川俊太郎訳 冨山房)男の子が大切にしているもうふ(ブランケット)は、眠る時いつも顔の近くにあって安心するためのもの。それがどこかへいっちゃうなんて…もう大変なこと!(みつかってよかった〜)ちっちゃくてかわいいこの絵本。シリーズで揃えたくなります。***◇『なみにきをつけて、シャーリー』(ジョン・バーニンガム作/辺見まさなお訳 ほるぷ出版)海辺へ出かけた三人家族。左側のページでは常に、浜辺にいる両親が、くどくどと娘に注意の言葉を投げ続けています。一方娘は…想像世界の中。右側のページでは、ハラハラドキドキ冒険の物語がダイナミックに展開されます。そう、大人は知らないの。子どもはその時、まったく違う世界に遊んでいることを!***◇『アルド・わたしだけのひみつのともだち』(ジョン・バーニンガム作/谷川俊太郎訳 ほるぷ出版)アルドみたいな「わたしだけの」お友だち…わたしにも、遠い昔、たしかにいたような気がします。アルドがいるから大丈夫。アルドがいつも、そばにいるから。これもまた、大人は知らないとくべつなお話。(実に心理学的なお話でもあります。)***☆『ガンピーさんのドライブ』(ジョン・バーニンガム作/光吉夏弥訳 ほるぷ出版)イギリスの田園風景。牧歌的な景色を車が走ります。大好きな絵本です。愉快な仲間と遠くへお出かけ。ハプニングはあれど、みんなで力を合わせて乗り越える。思いっきり遊ぶ。そうして最後には、ちゃんと元の場所へ帰って来る…これぞ、子どものための最高のドラマでしょう!***今回こちらにあげたのは、彼の生み出した数々の名作のほんの一部。ジョン・バーニンガム(1936-2019)は、子どものことを誰よりも知っていた絵本作家だと思います。どの作品も全く古びないのがすごい。わたしの" 偏愛作家 "のひとりです。絵本コーディネーター東條知美

  • 13Oct
    • ☆おまじないの言葉は眠りの入口 〜『ねむねむさんがやってくる:眠りが訪れる話』(世界文化社)〜の画像

      ☆おまじないの言葉は眠りの入口 〜『ねむねむさんがやってくる:眠りが訪れる話』(世界文化社)〜

      ☆『ねむねむさんがやってくる 眠りが訪れる話』(ユ・ヒジン作、絵/中井はるの訳 世界文化社)子どもの寝かしつけの苦労(過酷さ)を知る者としては、「おやすみ絵本」は小さな子どもだけじゃなく、疲れ果てた親をも癒やしてくれるものだといいな…と思います。この絵本はいいですね。物語があります。" ねむねむさん ねむねむさんわたしのゆめを もってきて "おまじないの言葉は、眠りの入口。子育ては楽しい。でも子育てはたいへん。眠る前の時間、あたたかい布団の中でくっついて絵本を眺めた思い出は、親にとっても子にとっても、大切な宝ものとなるでしょう。遠い所から、ゆったりのんびりやってくる「ねむねむさん」。白くてまるい姿も可愛い。・・・タイトルに「眠りが訪れる話」とある点は、もしかしたら好き嫌いが分かれるかもしれません。しかしタイトルにはっきりとそう記されていることで、「誰にでもわかりやすい」(おやすみ絵本を探している人にとってわかりやすい)利点はあるでしょう。絵本を選ぶ際には、ぜひ中を開いて、できれば声に出して読んでみてくださいね。赤ちゃん絵本はとくに、ひらいて、声に出して読んでみて初めて、そのよさが伝わってくることも多いでしょう。「うん うん わたしは ねているよ。ふわふわふとんと ふわふわまくら。くまさんと いっしょにねむねむさんを まっている」『ねむねむさんがやってくる』は、子どもをコントロールしようとする内容ではなく、親子の会話でゆったりと紡がれていく物語。心地よい文章のリズム。眠る前におすすめです🍀絵本コーディネーター東條知美

  • 11Oct
    • ☆国際ガールズ・デーに〜『マララさんこんにちは』(西村書店)・『たかくとびたて女の子』(汐文社)の画像

      ☆国際ガールズ・デーに〜『マララさんこんにちは』(西村書店)・『たかくとびたて女の子』(汐文社)

      10月11日は、国連が定めた「国際ガールズ・デー」。「女の子の権利」や「女の子のエンパワーメント」の促進を、広く国際社会に呼びかける日。プラン・インターナショナルの働きかけを受けて、国連によって定められました。(プラン・インターナショナルHPより)ガールズ・ビー・アンビシャス。みなさまにぜひお薦めしたい絵本を2冊ご紹介します。***☆『マララさん こんにちは:世界でいちばん勇敢な少女へ』(ローズマリー・マーカニー 文/西田佳子 訳 西村書店)「国連ガールズ・デー」制定にあたり、その立役者となった人物、国際NGOプランのカナダ支部代表を務めるマカーニーが文章を書いた絵本。「すべての女の子には教育を受ける権利がある」…信念を貫き活動を続けるマララ・ユスフザイ さんへの敬意と、世界中の女の子たちへの思い。世界の女の子の「今」を映し出す写真と共に、マララさんへ語りかける形でしるされています。[特集]マララ・ユスフザイさんと女子教育|プラン・インターナショナル・ジャパン2014年に最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん。子どもたち、とくに女の子にとっての教育の大切さを訴え続けています。マララさんが目指す世界は、プラン・インターナショナルが目指す世界と共通しています。www.plan-international.jp《 マララ、あなたはわたしたちに大切なことを教えてくれました。あなたには学校に通う権利がある。同じように、わたしにも、すべての子どもたちにも、学校に通う権利があるということを。》《 みんな、あなたといっしょに手をあげるわよ。》もちろん手をあげます、わたしも。***☆『たかくとびたて女の子』(ラケル・ディアス・レゲーラ 作/星野由美 訳 汐文社)女の子の教育の平等?夢を叶える機会の平等?そんなのとっくにと、思われていそうですが……夢を抱きながら楽しく過ごす女の子たちにも、ある日、悪の軍団が忍び寄ってきます。ガイケンビジンは囁きます。「テレビアニメの女の子たちも、きれいなママたちも、みんなすらり、ほっそり」カタハメは言います。「女の子は、おぎょうぎよく、うつくしくあるべき。あいそよくあるべき、そしてもっと、もっと、そうあるべき!」・・・表現がイカしたスペイン発の「ジェンダー」絵本。ポケットに詰め込まれた小石(ねえみんな、気づいてた?)…全部放っちゃえ!型はめになんか負けないで!まだまだ必要なのです…こんな力強いメッセージが、励ましが、2020年の女の子に。***読めば勇気百倍。読んで初めて気づくこともあるでしょう。もっと自由に、もっと身軽に。絵本がエールを贈ります🍀絵本コーディネーター東條知美

  • 10Oct
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      ◇負けんな。 〜『ホームランを打ったことのない君に』(理論社)

      《彼は自分の力でホーム、つまり家を出て、ぐるりと世界を駆け抜けて、また家に返ってくるんだ。自分の力で》誰もが夢見るホームランバッター。その影には、地道な練習の積み重ねがある…そう自分に言い聞かせていた仙ちゃん。☆『ホームランを打ったことのない君に』(長谷川集平 作 理論社)努力しろとか、とにかく頑張れっていうことじゃなくて、私たちのほとんどは、"神に選ばれしホームランバッター"になんてなれないし、全然打てないかもしれない。でも、どうか無力だなんて思わないで。押しつぶされないでほしい。好きなら、好きなだけやればいい…とわたしまで励まされた気がして。だから負けんな 仙ちゃん負けんな 絵本コーディネーター東條知美

  • 09Oct
    • ◇霧に包まれたぼんやりとした世界を流される…人生。 〜『きりのなかのはりねずみ』(福音館書店)の画像

      ◇霧に包まれたぼんやりとした世界を流される…人生。 〜『きりのなかのはりねずみ』(福音館書店)

      「東條さんがいちばん好きな絵本はどれですか?」と人に聞かれたとき、(なんて難問!と頭を抱えつつ)いつも心に思う作品があります。◇『きりのなかのはりねずみ』(ユーリー・ノルシュテイン、セルゲイ・コズロフ作/フランチェスカ・ヤールブソワ絵/児島宏子訳 福音館書店)元となっているのは、アニメーション「霧につつまれたハリネズミ」(1975)。『きりのなかのはりねずみ』は、ロシアのアニメーション作家ノルシュテインによる映像作品を再編集した絵本です。***ひとりきり、霧の中で迷う。すると、普段見えないものが見えてくる …静かで美しく、とても象徴的なストーリー。かんたんにわかるはずはない。霧に包まれぼんやりとした世界を、この身をされるがままに流されていく…その感じが、すごく人生っぽい。リアルだなと思うのです。描かれる光と影。耳をすまし、ひとあしひとあし感触を確かめながら、夜の森をこわごわと進んで行く…人生。ノルシュテイン作品を読むと、いつも(その時の・私にとって)大切なことがしるされているように思えてなりません。たとえば《 きみが いなかったら、だれと 星を かぞえるのさ? 》深い霧の中で迷いに迷い、ようやく友だち(クマ)の家に辿り着いたはりねずみは、クマからこんな優しい言葉をかけられるんです。うれしいですよね。わたしも弱っている時には、友人から力をもらうことが多くあります。でも、彼を不安にさせた(霧の中で出会った)「なんだかわけのわからないものたち」の影は、彼の心をこれからもずっと捉えて離さないはずです。きっと、一生。だからこそわたしたちには、友人がひつよう…そんな風に思うこの頃です。***☆『アニメの詩人 ノルシュタイン』(2006年 東洋書店)翻訳者 児島宏子がノルシュタインに初めて出会った1993年、来日中のノルシュテインが児島宅を訪れていると知ったスズキコージと片山健が大興奮で駆けつけ、氏と交流した際の話など、興味深いエピソードも盛りだくさん。⇩同タイトルで、東洋書店新社 より新刊として出ていました。(2020/4/21)***「日本がこんなに私に影響するなんて予想もできませんでした。私は、偶然、1960年代の初めに、12世紀頃からの日本の詩歌を収めた本を買ったのです。そしてそれを常にひも解き、次第にその詩の内面的状態に入り込んで行ったのです」―2017年 [Russia Beyond] ノルシュタイン インタビューより引用ユーリー・ノルシュテインの詩情と、古典和歌に隠されたひみつ…これもまた、なんて興味深い話でしょう。機会を作って、短歌をやる方と一緒に紐解いてみたいです。絵本コーディネーター東條知美

  • 08Oct
    • ☆本能のまま大胆不敵に生きる少女 vs きちんと暮らすクマ家族 〜『3びきのくま』(福音館書店)の画像

      ☆本能のまま大胆不敵に生きる少女 vs きちんと暮らすクマ家族 〜『3びきのくま』(福音館書店)

      温かみのあるバスネツォフの絵…ちょっと肌寒くなってきて、ロシア絵本が恋しい朝です。間違えちゃいけないのは、このお話、ロシアではなくイギリスの昔話だということ。1800年代後半、文豪トルストイが、ロシアの子供の読本用に書いたお話。☆『3びきのくま』(トルストイ文/バスネツォフ絵/小笠原豊樹訳 福音館書店)「だれだ、わたしの おわんの すーぷを のんだのは」「だれです、わたしの おわんの すーぷを のんだのは」「だれだい、ぼくの おわんの すーぷを すっかり のんでしまったのは」......《もともとイギリスの昔話だが、トルストイの筆によって一段とすぐれた子どものための物語となり、広く愛読されるようになった。》(奥付ページより)***教育活動に熱心に取り組んだトルストイ。かの大文豪がイギリスの言葉をロシア語に訳し書いた読本から百年、"本能のまま"動く子供が、"きちんとした"クマ一家から逃げ果せるその結末が、現代の小学生たちから大喝采で喜ばれると知ったら…さぞガッカリすることでしょうね。子どもたち、ちょいワルの登場人物が大好きなんです。ごめんなさい…ところでこの絵本、繰り返し読んでいるのですが、いつも気になることがあります。画家のバスネツォフに聞きたい。「最初、クマの家の前で立ち止まった女の子の持つ籠は空っぽなのに、家に侵入し、すーぷを盗み食いする時には籠いっぱいにキノコや花が入っているのは、なぜ?家にあるものを盗んだの?」…なんだかそんな気がしてならないのです。あの"本能のまま"に生きる、大胆不敵な早足少女だもの。絵本コーディネーター東條知美

  • 07Oct
    • ◇冷たい雨にションボリしちゃう夜に。〜『うれないやきそばパン』(金の星社)の画像

      ◇冷たい雨にションボリしちゃう夜に。〜『うれないやきそばパン』(金の星社)

      どこかで誰かが、あなたのことを思い出してる。遠くから気にかけている。冷たい雨になんだかションボリしちゃう夜…やきそばパンの生真面目さも、(フツーの)カレーパンの哀愁も、クリームパンの変わらない甘さも、もうぜんぶ知ってるあなたへ。◇『うれないやきそばパン』(富永まい文/いぬんこ絵/中尾昌稔作 金の星社)いぬんこさんの絵、いいなあ。大好き。絵本コーディネーター東條知美

  • 01Oct
    • 10月の絵本棚の画像

      10月の絵本棚

      10月の絵本棚 "おいしい秋"絵本コーディネーター東條知美

  • 28Sep
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      ☆親子でゆったりリラックス。 〜『おやすみ、くまくん』(徳間書店)

      ☆『おやすみ、くまくん』(クヴィント・ブッフホルツ 作/石川素子 訳 徳間書店)眠くないくまくん。窓から外を眺めると、満月が辺り一面に光を降り注いでいます。川では鴨が泳ぎ蛙が鳴いています。隣村の夜は、牧場の夜は、どんな様子でしょうか…。***静かで美しい。一日の終わりには、こんな絵本でゆったりと、心も体もリラックスさせてあげましょう。そのころ てがみの ついた ふうせんが、はらっぱの うえを ゆっくり とんでいました。くまくんは、あしたの あさ、ふうせんを みつけるでしょうか。巻末に、内緒のサプライズがあります。(写真はネタバレ。ないしょのナイショ。)絵本コーディネーター東條知美

  • 23Sep
    • ◇わたしたちには物語がひつよう。 〜『青い馬の少年』(アスラン書房)の画像

      ◇わたしたちには物語がひつよう。 〜『青い馬の少年』(アスラン書房)

      ◇『青い馬の少年』(ビル・マーティンJr.、ジョン・アーシャンボルト文/テッド・ランド絵/金原瑞人訳 アスラン書房)アメリカ先住民の祖父と、盲目の孫。孫は自分が生まれた日の話をせがみます。生まれてきた自分が、祖父に「青い馬の力をさずかった少年」と名づけられた話を、心で見る"青色"を…。言葉と物語を大切にする、骨太なアメリカ先住民の物語。***瀕死で生まれてきた孫に、青い馬が生きる力を与えた、と祖父は語ります。目は見えずとも、心で様々なものを見ることができる。子馬を競走馬に仕込み、すごい早さで勝って皆を驚かせるようにもなった、誇りの孫であると。日没から夜更けにかけ、火を囲み語らう祖父と孫。炎に照らし出される二人の姿が、とても印象的です。星空の下、繰り返し語られた物語は、彼の心に永遠に生き続けることでしょう。そう、きっと誰もが、その人だけの大切な物語を抱えて生きていくのですよね。絵本コーディネーター東條知美

  • 21Sep
    • ☆おばあちゃんに会いたいな 〜『あと、いくつ?』(アリス館)の画像

      ☆おばあちゃんに会いたいな 〜『あと、いくつ?』(アリス館)

      ☆『あと、いくつ?』(ひろかわさえこ作 アリス館)カレンダーを眺めながら、その日を心待ちにするくるみちゃん。おばあちゃんだって、きっとそれ以上に、くるみちゃんに会える日を心待ちにしています。おばあちゃんに あったら、なんていおう?***おばあちゃんの家へ行く7日前から当日まで、小さな女の子の胸にわき起こる様々な思いが、丁寧に丁寧に紡がれています。オフホワイトの手触り感のある紙に描かれた絵からは、おばあちゃんの優しさ、温かさが伝わってきます。コロナ禍で、今年はきっと多くの人が、おばあちゃん、おじいちゃんと会えずに寂しい思いをされているのではないでしょうか。待つ時間もまた、宝物。私には、亡き祖母との日々が懐かしく思い出される絵本でもあります。敬老の日に。絵本コーディネーター東條知美

  • 19Sep
    • ☆アベコベだってハチャメチャだって、幸せならいいじゃない。 〜『アベコベさん』(文化出版局)の画像

      ☆アベコベだってハチャメチャだって、幸せならいいじゃない。 〜『アベコベさん』(文化出版局)

      ☆『アベコベさん』(フランセスカ・サイモン文/ケレン・ラドロー 絵/青山南訳 文化出版局)ちょっと変わった表紙絵やタイトルの絵本は、それだけで目立ちます。子どもたちの手によく取られます。でもこちらの絵本、それだけではありません。読んでいる彼らの目が、そのうちにキラキラと輝き出すのです。***アベコベさんの家は、ぜんぶがアベコベ。夜起きて朝寝ます。お行儀の悪い子(ジャムを手づかみで投げるような!)がうんとほめられて、子どもが大人に勉強を教えます。そんなアベコベさん一家、ある日お隣さんから留守番を頼まれます。早速家の中を"きちんとして"(めちゃくちゃにして)あげて、窓から忍び込んできた泥棒を大歓迎します!もうハチャメチャ…(笑)***アベコベさん一家はいつだってマジメです。大マジメに、世間の常識とはアベコベのことをやる。だから面白い。あれダメこれダメ言われ、きまりを守って過ごす子どもたちにとっては胸のすく思いなのかも。そしてこの家族、なにしろとても幸せそうなんです。ね、いいでしょう?😊絵本コーディネーター東條知美

  • 15Sep
    • ☆秋の夜長に、可愛いこねこの絵本はいかが。 〜『スイッチョねこ』(フレーベル館)の画像

      ☆秋の夜長に、可愛いこねこの絵本はいかが。 〜『スイッチョねこ』(フレーベル館)

      むしの おんがくを ききながら、いねむりを しているのは じつに よい きもちの ものでした…いたずら仔猫のしろきち。月夜の晩、うっかりスイッチョを飲み込んでしまいます。「スーイッチョ!」☆『スイッチョねこ』(大佛次郎 文/安泰 絵 フレーベル館)初版は1975年。「なおりましょうか、せんせい。」「まて、まて、ちょうしんきで きいてみよう。そこへ おね。むねを おだし。」当時の多くの絵本には、ゆったりとした子育てのリズムが感じられます。***「虫を食べてみたい」と夜の庭で遊び続けたしろきちですが、寝入りばな、どこかから聴こえる大きな虫の声にビックリ!飛び上がったり、くるくる回ったり、駆け出したり、首をかしげたり…仔猫らしい可愛いしぐさが満載です。秋の夜にゆっくりと読みたい絵本。少し長いお話も聞ける(読める)お子さま向き。絵本コーディネーター東條知美

  • 14Sep
    • ☆あちらの町からこちらの町へ。謎多き流れ者に惹かれる。 〜『ふしぎなかばんやさん』(鈴木出版)の画像

      ☆あちらの町からこちらの町へ。謎多き流れ者に惹かれる。 〜『ふしぎなかばんやさん』(鈴木出版)

      ☆『ふしぎなかばんやさん』(もとしたいづみ 作/田中六大 絵 鈴木出版)町の通りに店をひろげる、謎多きかばん屋。この店で買うかばんからは、客に必要なものが出てきます…。***かつての現場で「ぶきみなカバン屋の本は?」と客足が絶えなかった絵本。親に買ってもらったと報告も受けた絵本。あちらの町からこちらの町へ、かばんを売り歩く謎めいた男。「今日はあなたの町へ来るかもしれませんね…」といった雰囲気が、子どもたちの心を鷲掴みに。昔から私も、『くまさぶろう』(こぐま社)や「笑ゥせえるすまん」や「花の子ルンルン」(アニメ)など、不思議な流れ者のお話が、なにしろ好きなのです。***ところで今、田中六大さんの漫画「イチゴ」をTwitterで追っている。宮沢賢治へのオマージュ…?不思議で不気味で悪い夢みたいでギャグ要素も戦闘要素もノスタルジーもある作品(のような気がする。ちがう気もするが)。作者が飽きたら連載が止まりそうな気配もあり、ファンとしてはハラハラ。(続きますように。)絵本コーディネーター東條知美

  • 13Sep
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      ☆波乱万丈!アンデスを舞台にした赤ちゃんの大冒険〜『特急キト号』(PHP研究所)〜

      パリが舞台の絵本「マドレーヌ」シリーズが有名なべーメルマンスですが、こちらはその前年、1938年に生まれた作品。舞台は南米エクアドル。土の家で民芸品を作り売る夫婦の赤ちゃんペドロが主人公。波乱万丈!4日間の物語です。☆『特急キト号』(L.べーメルマンス作/ふしみみさを訳/PHP研究所)太陽は、うつくしい谷にある かわいらしい土の家を やさしくてらします。家には、ペドロという ちいさな男の子がすんでいました。赤ちゃんペドロは毎日、ゴザに干したトウモロコシの番をします。でも日に一度、向こうの山の麓を「特急キト号」が走る時だけは、その役割を忘れてしまいます。まだ赤ちゃんのペドロは「ダダダダ!」としか言えないのですが、機関車に夢中。その隙にニワトリは猛スピードでトウモロコシをつつきます。その速さたるや《2羽のニワトリが 6羽に見えるほど》(ユーモアたっぷり!)…汽車は通り過ぎ、再びの静寂。ブタのいびきと、父さんの回すろくろの音だけが辺りを包みます。***この絵本は、茶色だけで描かれています。現在の印刷技術とは異なり、多色使用がなかなか叶わなかった事情はあるにせよ、舞台となる南米アンデスの土地や人々を象徴する色が選ばれています。必要最小限かつわかりやすい人物紹介・情景描写。そしてあのニワトリたちも…ラストのオチで鮮やかに再登場。うっかり(わざと?)機関車に乗り込んだペドロが、どんな冒険をして、どんな人々と出会い、四日後に無事帰還することができたのか… ぜひ、ペドロと共に、赤い機関車「特急キト号」を体感してみてください。笑って泣いて、ホッとして。すごい作家です、べーメルマンス!***初版2006年。(2020年9月13日)現在絶版のもよう。特急キト号 | ルドウィッヒ・ベーメルマンス作/絵 ふしみみさを訳 | 書籍 | PHP研究所主人公の男の子は赤ちゃんのパブロ。パブロはとっても汽車が好きです。汽車がくるとパブロは「ダダダダダ」と真似をしていましたが……。www.php.co.jp***べーメルマンスをもっと知りたくて、こちらを購入。○『べーメルマンス:マドレーヌの作者の絵と生涯』(J.B.マルシアーノ著/福本友美子訳 BL出版)箱入り。読者の自分が何に惹かれるのか、どんなものを愛さずにいられないのか…資料は実に様々なことを教えてくれます。かなしい不良少年〜ホテルマン、そして漫画から始まったべーメルマンスの創作人生。作品づくりの過程ではアイデアも下書きも捨てることを厭わず、1冊を何年もかけて作ったべーメルマンス。「われわれは子どものために書いているんです。幼稚な者にではなく。」(編集者メイ・マッシーに宛てたメモより)絵本コーディネーター東條知美

  • 11Sep
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      楽しくてあたたかい♫「ねずみくんのチョッキ展」(於:横浜 赤レンガ倉庫)

      9/10〜「ねずみくんのチョッキ展」(於:横浜 赤レンガ倉庫)ねずみくんのチョッキ展|ポプラ社www.poplar.co.jp多世代に渡るファンで賑わう会場。ねずみくん、愛されているなあ。鉛筆画の温かさ&余白の力をあらためて感じました。デザインもすべてご夫婦で手がけられてきたこのシリーズ。圧倒的にかっこいい。なかえよしを先生とも久しぶりにお会いできて、お話しできて嬉しいひと時。(なかえよしをさん、偶然居合わせた友人らと共に記念撮影)ねずみくんの小さくて大きい世界に抱かれ、なんだかパワーがわいてきました!素晴らしい展覧会でした。お土産、一番のおすすめは絵本ですが、図録他魅力的なものだらけなので、お小遣い握りしめてどうぞ…(このトートバッグは、私からなかえよしを先生へお贈りしたものです。上野紀子さんの画。)絵本コーディネーター東條知美

  • 10Sep
    • ☆自分で選ぶ…なんて素敵なんだろう。〜『きょうがはじまる』(BL出版)〜の画像

      ☆自分で選ぶ…なんて素敵なんだろう。〜『きょうがはじまる』(BL出版)〜

      どこへ行っても行かなくても、何を着ても、何を食べても、わたしが決めていい。自分で選ぶ…なんて素敵!わたしだったら たぶん、じぶんの すきな えほんを よむと おもう。どんな えほんか、あててみて! ☆『きょうがはじまる』(ジュリー・モースタッド作/石津ちひろ訳 BL出版)一人ひとりに語りかけてくる絵本。中の絵がとてもキュート!絵本コーディネーター東條知美

  • 09Sep
    • ☆声に出して読みたい昔話絵本の逸品 〜『たべられたやまんば』(フレーベル館)の画像

      ☆声に出して読みたい昔話絵本の逸品 〜『たべられたやまんば』(フレーベル館)

      《 おまえの おばさんだぞい 》親元を離れ寂しい小僧は、ころりと騙されて…圧倒的なストーリー運び、迫りくる恐ろしさ、スピード感。墨を用いて描かれる、美しくも味わい深い錦絵のような世界。声に出して読みたい昔話絵本の逸品。☆『たべられたやまんば』(瀬川康男絵/松谷みよ子文 フレーベル館)絵本コーディネーター東條知美

  • 07Sep
    • ◇ひとりきりで読みたい/大切な人に贈りたい 〜まつむらまいこのリトルプレス絵本〜の画像

      ◇ひとりきりで読みたい/大切な人に贈りたい 〜まつむらまいこのリトルプレス絵本〜

      まつむらまいこさんの絵本が届きました。(いずれもリトルプレス版)丁寧に作られた美しい絵本。静かにひとりきりで読むための絵本。大切な人に贈りたい絵本。***◇『わたしのたからばこ』(まつむらまいこ作・絵)誰にも話したことはない。そっと心の奥にしまっておいたもの…それらをひとつひとつ丁寧に取り出し、見せてくれる絵本。《 愛しているでも それ以上に愛されていた 》7章からなるわたしの(あなたの)人生。きっと胸に抱えたくなります。***◇『たよりない手』(まつむらまいこ 作・絵 2019年)「銀河鉄道の夜」の煌めきを、静けさを、かなしみを、寄る辺なさをささやくように祈るように包みこむ一冊。《今もどこかにいるカンパネルラへ。》***絵本コーディネーター東條知美

  • 06Sep
    • ☆きかんぼうのガチョウは幼子そのもの。〜『おつきさんどうしたの』(岩波書店)〜の画像

      ☆きかんぼうのガチョウは幼子そのもの。〜『おつきさんどうしたの』(岩波書店)〜

      ☆『おつきさんどうしたの』(エドナ.ミッチェル.プレストン文/バーバラ・クーニー絵/岸田衿子訳 岩波書店)美しくリズミカルな絵本。空の月を飲み込んじゃったキツネ型の雲を、「わるいこだ!」とお百姓さんに知らせに走るガチョウの子の姿は、幼子そのもの。本物のキツネに捕まり、ハラハラしますが…***夜、おかあさんが出かけた隙に(言いつけを守らず)抜け出したガチョウの子どもが、月が雲に隠れたことにいちいち動揺したり、池に映る月を「おっこちた」と大騒ぎする様子が、なんとも可愛らしい。言いつけを守れない「わるいこ」ゆえに、危険な目にもあってしまうのですが……多少危険な目にあったとしても、こうしてひとりきりの時に、子どもは成長するんだよなあと、しみじみ思います。バーバラ・クーニーの描き出す月夜、レースのカーテンなどがあまりに美しく、胸に抱えたくなる絵本です。絵本コーディネーター東條知美