『僕らの絵本』
  • 13Dec
    • ☆コケティシュで律儀なかわいこちゃんたち ~『3びきのろしありす』(教育画劇)

      🎄『3びきのろしありす』(計良ふき子 文/きたがわめぐみ 絵/2005 教育画劇)クリスマスのごちそうを食べながら、「ほんとは まっかな ドレスが きたかったわ」...夢みる3びきのろしありす。翌朝みつけたサンタの忘れ物(真っ赤なマフラー)。もちろんドレスに編み直しますとも!ところが・・・?✳ ✳ ✳ ✳ ✳「あら、かわいいわね」「とうぜんよ」「なんて すてきなの」「とうぜんでしょ」所々で楽しませてくれるコケティシュなせりふ回しが最高!😆ヤスリ紙の上に丁寧に描かれた絵は、可愛いいだけじゃない味わい深さを醸し出しています。きたがわめぐみさんのこういう絵本、もっともっともっと見てみたいなあ。(「だけどヤスリに描くのはすっごくたいへん!」と、昨日ご本人が教えてくれました。確かにたいへんそう)ろしありすたちの、案外律儀な性格がかいま見えるラストシーンもおもしろい。作者・計良ふき子さんが小学校の先生のであること、ちょっと関係しているのかな?(ちなみに画家のきたがわめぐみさんは、元幼稚園の先生。)そういう「まっとうさ」、私きらいじゃないです!むしろ「なんでもあり」のファンタジー作品に慣れ親しんだ今、そのマジメさは、私にはやけにキラキラと輝いて見えたのでした。見返しに可愛いサインを入れていただきました。きたがわめぐみさん、ありがとうございました。12月27日のトークイベント(於:ブックハウスカフェ)がますます楽しみになりました!🍀😉🍀絵本コーディネーター東條知美

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  • 11Dec
    • ☆静かに思いを馳せる夜、晩酌のお伴に ~『急行「北極号」』(あすなろ書房)

      (おすすめのクリスマス絵本24連弾はコチラから。ぜひご覧ください💖🎄・・・・・クリスマスの日がいよいよ近づくと、10歳くらいまでの子どもたちの間に必ずや起きる“サンタクロース論争”。心から信じていれば、その(鈴の)音はちゃんときこえるんだよ。・・・もちろん、サンタクロースはおりますとも。子どもたちにはこの季節ぜひ、学校や家で読んであげてほしい絵本。大人の皆さんには・・・貴方にはまだ聞こえますか?あの耳をくすぐるような鈴の音が...静かに思いを馳せる夜、晩酌のお伴にどうぞ。🎄『急行「北極号」』(C.V.オールズバーグ絵・文/村上春樹 訳/あすなろ書房)絵本コーディネーター東條知美

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  • 10Dec
    • ☆スタンプよりも色っぽい...「言葉あそび」(あるいは定義)

      【言葉あそびの色っぽさ】🌠『あなはほるものおっこちるとこ』(ルース・クラウス文/モーリス・センダック絵/渡辺茂男訳 岩波書店)身近にあるものを、登場する子どもたちが自由な心で定義します。「手は、つなぐもの」「抱き合うために、腕があるのよ」...ああ、可愛いくてキュンキュンしちゃう!ルース・クラウスは言葉の天才。魔術師だわ。✳ ✳ ✳🌠『悪魔の辞典』(中村徹 著/アンブローズ・ビアス 原案/2018.12 遊泳舎)こちらは(世界的に物議をかもした『悪魔の辞典』の)<ビアスに魅せられた 捻くれ者が作った>...と前書きに記されています。あとがきには「言葉に自由を与えれば、言葉は自由をもたらしてくれる」と。絵本ではないけれど、『あなはほるものおっこちるとこ』と同様、“あそび心いっぱいに言葉を定義”するユニークな一冊としてご紹介します。<初デート:計画は崩れ去るものであることを学ぶための思春期の一日。>...うぐぐ 容赦なし(笑)贈り物には同社発『ロマンスの辞典』が無難?私は『悪魔の辞典』がより好みかな💖LINEスタンプをひとつ「ぺったん」よりも、「言葉」を個性的に操って届ける人に色気を感じる今日この頃です。絵本コーディネーター東條知美#絵本#岩波書店#言葉#遊泳舎#色気

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  • 07Dec
  • 06Dec
    • 【News】12月6日付 ダイヤモンドオンライン記事にコメントが掲載されました。

      ◽児童書がエロい!?「萌え絵」本は教育に悪影響を及ぼすのか12月6日付のダイヤモンドオンラインに、東條のコメントが掲載されました。見出しでドキッとさせられるこちらの記事。論争の発端となったサイゾー記事で「萌え絵」とされたものを想定の上コメントさせていただきました。しかしそもそも「内側」の人にとっては「萌えとは?」の議論から始めないとモヤモヤしちゃうし、「外側」の人にとっては「児童書がマンガっぽくなってんのね」で片付けられてしまいそうな児童書の世界よ。。。前提が異なれば議論も深まりにくい題材かもしれませんが、かのダイヤモンドオンライン様に「学校図書館だいじよ。」「司書、だいじよ。」と精一杯の爪痕を残したつもりでございます。ニャー🐱(今年の講演テーマのひとつ「絵本に見るジェンダー」にも関わってきそうな話題ですが、ここでは文字数の関係で割愛しました。ざんねん)出版社、本屋さん、保護者、子どもたち...と、さらに様々な関係者も登場!の続編に心から期待しております。絵本コーディネーター東條知美

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  • 01Dec
    • 11/30 BSフジ『タイプライターズ』アンコール放送ありがとうございました!~新連載のお知らせ

      11/30(金)アンコール放送のBSフジ『タイプライターズ』をご覧くださいました皆さま、ありがとうございました。http://www.bsfuji.tv/typewriters/<大人にこそ、絵本を。>あなたの明日をちょっとだけ豊かにする絵本が、きっとあります。これからも よろしければお付き合いください。どうぞよろしくお願いします。*** お知らせ ***『WOMe(ウォミィ)』にて絵本コラムの連載が始まります。月2回、“大人の女性におすすめの絵本”をコラムにのせます。連載タイトルは「心をうるおす 大人の絵本」。第一弾の公開は、12月7日(金)12時の予定です。どうぞご期待ください。絵本コーディネーター東條知美

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    • 【12月の絵本棚】

      【12月の絵本棚】てがみは ぜんぶ よみます。どの子のおねがいも 大きなノートに かいておきます。てがみは さまざまな国からくるので、てがみ係の小人は、外国のことばも しらなくてはなりません。ちいさな子の てがみには、ときどき 字のまちがいが ありますが、たいてい けんとうが つきます。......(マウリ・クンナス 作/稲垣美晴 訳『サンタクロースと小人たち』 1982年 偕成社 より)絵本コーディネーター東條知美

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  • 29Nov
    • ☆箱の中にそっとしまう・・・"鳥たちの森"~『モノポの巣』(小鳥書房)

      ☆『モノポの巣』(山田和明 作/小鳥書房)自分勝手な鳥「モノポ」は、森の仲間たちから不満を抱かれてしまいます。ひとりぼっちのさみしさを知ったモノポ。やがて仲間たちにピンチが訪れた時、モノポが取った行動とは・・・?*****あたたかくて優しい色あいに癒される絵本。「手紙」が雪のように舞い降りる場面の静けさと美しさに、グッときます。㊦箱から出すと白い絵本。丁寧に丁寧に作られています。建築士としての顔もお持ちの山田和明さんが、「大きくて丈夫な鳥の巣」を描いた...そんなところも、私にはちょっとおもしろく感じられました。中高生など、若い方への贈り物にもおすすめです。絵本コーディネーター東條知美

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  • 26Nov
    • ☆モノクロの時を描く ~『光の旅 かげの旅』(評論社)

      🌃『光の旅 かげの旅』(アン・ジョナス作/内海まお訳 1984年 評論社 )明け方から夜へ、郊外から都会へ...モノクロの時と風景が流れていく。最後のページには、「本をさかさまにしてごらん!」...ここからは、夜の物語のはじまりだ。確かに感じる人の気配、街のざわめき、星の瞬き。シンプルな部屋にも似合うから、彼へのプレゼントにもおすすめの一冊。絵本コーディネーター東條知美

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  • 23Nov
    • 三島の(新)パワースポット♪~「えほんやさん」訪問記

      三島在住の絵本作家えがしらみちこさんと妹の寛子さんが10月に開いたお店「えほんやさん」へ。お店の内装など雰囲気もさることながら、姉妹の選書内容が素晴らしい。(好きな絵本ばかり並んでいて、財布の紐がヤバかったわ...)優しく穏やかな雰囲気がとてもよく似ているお二人。この姉妹が、えほんやさんのほっこり和める空気を作り出しているのでしょう。素敵なお店ですね。この日予定されていた、絵本作家のこがようこさんのお話会に参加しました!こがようこ名人(いや本当に)の「手遊び」「わらべうた」のテクニックの数々、それから、触れ合うことの大切さをあらためて学ばせていただきました。楽しかった~🍀こがようこさんの「手遊び」への、赤ちゃん参加者の食いつきがすごくてびっくりしました!さすがは名人・・・下の写真は、この日えほんやさんで買ったもの。「みしマップ」には、えがしらさんの手描きで三島の情報が満載。こがようこさん×降矢ななさんのわらべ歌絵本『ねーずみねーずみどこいきゃ?』と、えがしらみちこさんの『あのねあのね』を買いました♪ご紹介は、またあらためて。あたたかい町に素敵な絵本屋さん。町中にきれいな川も流れていて。いいなあ、三島。住みたくなっちゃった。絵本コーディネーター東條知美

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  • 18Nov
    • ☆五感にうったえてくる...匂いと気配に満ちた森の絵本~『大きな木のおくりもの』(あすなろ書房)

      木は、成長しながらも、心(しん)からむしばまれていきました。オオアリは、かたい幹でもへいきでかじってトンネルをつくり、シロアリは、ふしぎなもようを残しながら幹のなかを食べすすみました。枝の折れたところからは、カビやキノコの胞子がはいりこみ、健康な樹皮の下で、幹は、すこしずつくさっていきました......『大きな木のおくりもの』(アルビン・トレッセルト 作/アンリ・ソレンセン 絵/中井貴惠 訳 1996年 あすなろ書房 )より***写実的な表現で自然の生態を描き出す作品。森の中、一本のナラの木の豊かな日々と朽ちていくまでのドラマが、静かに淡々と語られます。鳥の声、獣の気配、甘いような酸っぱいような木々のにおい・・・。匂いと気配に満ち満ちた、森の絵本。田舎育ちだからでしょうか、こういうものに非常になつかしさを覚えます。すべてが五感にうったえてくるようで。(版元品切)絵本コーディネーター東條知美

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  • 17Nov
    • ☆夢中で遊んだあの秋と、帰り道のせつなさと ~『もりのかくれんぼう』(偕成社)~

      「こんな ところに もりが あったの。しらなかったわ。」きんいろに けむったような あきの もりです。(『もりのかくれんぼう』末吉暁子 作/林明子 絵/1978年 偕成社 より抜粋)***かくれんぼがしたくてたまらなかったのに、友だち相手にボール遊びばかりしていたお兄ちゃんに口をとがらせる「けいこ」。家への帰り道、生け垣を潜り抜けるとそこには大きな森がありました。そこで出会った不思議な少年「もりの かくれんぼう」から、仲間たちとのかくれんぼ遊びに誘われます。シカ、サル、熊、キツネ、リス、タヌキ、イタチ、もぐら、フクロウたち。金色の秋の森にとけこむようにかくれる動物たちを、けいこは見つけ出すことができるのでしょうか?読者も一緒に、さあ、ワクワクするようなかくれんぼ遊びのはじまりです!(だまし絵みたいな楽しいページ。大人より、案外子どもの方が見つけ出すのは得意かもしれませんね)***「こんな ところで なに やってんだよ、おまえ。」気がつけばけいこの目の前に広がるのは、夕日に染まる団地。そう これは、<行きて帰りし物語>なのです。金色にけむる豊かな森は、遥か昔の土地の記憶。土地が見せた夢だったのかもしれません。枯れ葉の音、 冷たく澄んだ秋の空気、 鳥の声 ・・・少女だった頃、夢中で遊んだあの時間。なにか大切なものを(向こう側に)置き忘れてきたような気がして、ちょっぴり心もとない帰り道...。子どもと一緒に読んでいる時は楽しいのだけれど、ひとりで開くと、せつない気持ちで胸がいっぱいになるかもしれない。そんな秋の一冊です。1978年刊の名作。絵本コーディネーター東條知美

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  • 14Nov
    • ☆やっぱり人情なのだ。~『ねぎぼうずのあさたろう』(福音館書店)

      「私はね、あさたろうがいちばん好き。やっぱり、あさたろうにかなうものはないわぁ」...先日のこと。共にお酒を楽しんでいた友人が突然こんなことを言い出したのだが、一瞬なんのことかまったくわからず、私は彼女を凝視した。「あ さ た ろ う !だよ。ねぎぼうずのあさたろう」と言われ我に返った。まだ火曜日なのに満席の、表参道にある中華屋は賑やかすぎるくらいに賑わっていた。この店は、主人のキャラクターが非常に濃い。がんがん話しかけてくる。田舎みたいな温かさのあるアットホーム空間。来るのは何度目かだけど、夜は初めてだ。表参道けっこういいな...と、空芯菜を炒めたやつで紹興酒をチビチビなめていた私は、その時絵本のことを完全に忘れていた。そう、あさたろうとは、「ねぎぼうずのあさたろう」のこと。*****『ねぎぼうずのあさたろう』(飯野和好 作/福音館書店)は、初期の頃のイベントで紹介したことのある作品だ。友人はふだん絵本とは無関係の仕事(シュガーアートの教室を主宰)をしている。近所に職場があったので、たまたまイベントの看板を見て「暇だったから」フラりと入ってきてくれたのだ。そこで初めて知り合った彼女は、『ねぎぼうずのあさたろう』とも運命の出会いを果たし(おおげさ?いいよね)、以来「あさたろう」に惚れ込んでいる。そんな「わたしの一冊」との出会い方もあるのだ。『ねぎぼうずのあさたろう』(福音館書店)シリーズを知らない人のために、出版社ホームページに掲載の紹介文を貼っておこう。「その3」の紹介文が至極よいので「その3」を。(※以下、福音館書店HPより『ねぎぼうずのあさたろう その3』紹介文を抜粋しました)道中がっぱをくるりと肩に、浮世の人の情けにふれりゃ、思いもかけぬ出会いもある──またまた、ねぎぼうずのあさたろうとにんにくにきちの東海道二人旅。題して、人情渡し舟。山道で行き倒れの娘を助けた二人ですが、すぐに江戸から追っ手がやってきて大ピンチ。が、みしらぬ旅人が現れて……。渋い。そう、あさたろうのお話は人情ものの渋い時代劇なのだ。回り合羽に三度笠。旅の途中で悪いやつらをやっつける。(二代 広沢虎造風浪曲節で)かわかぜたもとにゆらりとうけてどこへゆくのかわたりどり......なのだ。(シリーズの出だしは浪曲から始まる。人前で読む人は、その前にまずは浪曲を知らなくてはならない。適当に読むと、知らないことがバレるのだ)ねぎぼうずのあさたろうは、生き別れの父を探す旅の途中、にんにくにきちという(うっかり八兵衛風の)相棒を得る。50両で身売りすることになった悲しいおじょうさんを助けたり、闇討ちにあったおとっつぁんの仇を討つおてつさんに加勢したりするのだ。必殺技は「ねぎじる」だ。やろうども、やっちまえいっぴゅ、ぴゅるるるるるぴりりりりりりりりりりーう、うわーだ。あさたろうのおとっつぁんはおとっつぁんで、「なあに、なのるほどのもんじゃござんせん。しがねえ旅がらすのきまぐれでござんす。おやくにたてればそれでいいんで」...やっぱり人助けの旅をしているのだ。「へいっ ごめんなすって」なのだ。あさたろうとおとっつぁんは、再び無事会えることができるのか?『ねぎぼうずのあさたろう その10』まで出ているので、ぜひお確かめいただきたい。作者の飯野和好さんは、なにしろ大衆芸能が好きで好きで!ご自身も一座の座長をつとめる芸人さんの顔を持っていたりする。娘を手込めにしようと企む悪者が出てくるような人情活劇を、こうして子どもも楽しめる絵本にしちゃうんだから、なんともすごいと思う。実際、ねぎぼうずのあさたろうは小学校の図書館でも子どもたちの人気者だ。(『ねぎぼうずのあさたろう その4』福音館書店)*****「あさたろうがいちばん好き」と言う友人は、表参道の中華屋のこともえらく気に入った。「明日もお仕事がんばらなくちゃ。お酒が残りませんように~」テーブルの前でくるくるっと柿をむいてくれるこの店のご主人は、先日、私がちょっと落ち込んでいた時もさりげなく励ましてくれたのだ。やっぱり 欲しいのは 人情なのだ。絵本コーディネーター東條知美

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  • 11Nov
    • ◼訃報 もりひさしさん~優しい絵本をありがとうございました。

      もりひさしさんが亡くなられた。(朝日新聞デジタル記事)本名・森久保仙太郎では、<こぐまちゃんえほん>シリーズ(1970~1977 こぐま社)が有名だ。こぐまちゃんシリーズでは、わだよしおみ、わかやまけんと共に合議制絵本制作を行った。「うさこちゃんはあくまで外国のもの。日本の赤ちゃんの絵本を作ろう!」の掛け声の下で。『つきがみていたはなし』(こぐま社)、『くまさぶろう』(こぐま社)、『はらぺこあおむし』(偕成社)、『セレスティーヌ』(ガブリエルバンサン作/BL出版)シリーズの翻訳も...個人的に大好きな絵本がたくさんの、もりひさしさんの手掛けた仕事の数々。◾『くまさぶろう』(ユノセイイチ 絵/1978 こぐま社)については、このブログでも過去に取り上げさせていただいた。ぜひ手にとって感じてもらいたい、もりひさしさんの世界。もりひさしさん、さようなら。優しい、優しい絵本をありがとうございました。絵本コーディネーター東條知美

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  • 08Nov
    • ☆憧れは、大トラを招き入れるママ ~『おちゃのじかんにきたとら』(童話館)

      【動じない人】昨晩、久しぶりのママ友会があった。互いのスマホで息子たちの変貌(でかくなった)を見せあったり、「勉強しろって言葉より無意味なもの、ある?ないね」に深く頷きあって笑った。商店街からポケットに財布だけ入れてブラブラ帰り道、ふと先日の講演会で質問された「子育て期のママにおすすめの絵本はありますか?」を思い出していた。私の口からとっさに出た1冊は、『おちゃのじかんにきたとら』(ジュディス・カー 作/晴海耕平 訳/1994年 童話館)だった。女の子とおかあさんがお茶の時間を楽しんでいると、突然、ばかでかいトラが訪ねてくる。🐯「おなかがすいているんです。ごいっしょさせていただけませんか?」(見た目とは異なり)物腰は丁寧なトラ。だがトラは、テーブルのサンドイッチやらパンやらケーキやらティーポットのお茶をすべてひと飲み。さらには作りかけの夕飯や冷蔵庫や戸棚の食べ物もおとうさんのビールまで、すべて、家の中のいっさいがっさい(!!)を飲み食いつくして去っていく。ちなみに最初、女の子が食べられるんじゃないかとハラハラしたけどそういうのではなかった。で、なにが好きかって?おかあさんがいいのだ。ばかでかいトラがやって来ようが、家中を荒らし回ろうが、慌てもしなけりゃ怖がりもしない。ちっとも動じない。出ていくトラに手を振って見送ってからようやく、「ゆうごはんがなくなってしまったわ」...(絵本では、おとうさんの提案で外食することに。ナイスおとうさん!)そんで翌朝には、「トラがいつまた来てもいいように」また食べ物をたっぷり買い出しに行くのだ。「仕方がない、引き受けましょう」なのか「ナニガオキテイルノ~?」なのか「トラにも事情があるのよ」なのか心のなかのほんとうはわからないけれど、私はあの頃も今も、このおかあさんに憧れている。絵本コーディネーター東條知美

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  • 05Nov
    • ☆ユーモアたっぷり!ブリティッシュスタイルの絵本 ~『ジャイアント・ジャム・サンド』(アリス館)

      🌟週のはじまりは、こんな絵本で🌟村にやってきた400万匹の蜂。ひゃーどうする?...そうだ、巨大な甘~い罠を仕掛けよう。バスやトラック、ダンプも出動。村をあげての<蜂の撲滅大作戦>!***大団円の結末に気分はすっきり~✨おしゃれなブリティッシュスタイル&ユーモアも各所に散りばめられた、こちらの絵本。イギリスでパン屋の息子として生まれた作者が紡いだ、なんとも小粋な作品。ぜひ、手にとって開いてみてほしい。🍞『ジャイアント・ジャム・サンド』(ジョン・ヴァーノン・ロード 作/安西徹雄 訳/1976年 アリス館)

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  • 03Nov
    • ☆私たちに笑顔で投げかけられるもの ~『ふたりママの家で』(サウザンブックス社)

      『ふたりママの家で』パトリシア・ポラッコ 絵・文/中川亜紀子 訳/2018.10.29 サウザンブックス社)庭先で笑うふくよかな女性とほっそりとした女性、いちばん大きい女の子、2番目に大きい男の子と、それから赤ちゃん。表紙でにっこりと微笑む5人の家族。(記念写真を撮っているのかな?)タイトルを読んでおわかりの通り、この家にはママがふたりいる。「ママとパパ」じゃなくて「ママとママ」で築いた家なんだ。・・・え?「そんなのヘン」って君は言うの?そんなことないよ。同性婚やパートナーシップを「OK」とする制度を持つ国や地域は、今や世界中の約20%(※2018年1月16日時点)。世界中にいる「ママとママ」「パパとパパ」になりたい人たちも、わたしも、あなたもみんな、幸せになりたいと願う気持ちは同じはずだよね。さてさて このお話は、この家のいちばん大きいお姉ちゃんになった「わたし」が、昔のことを振り返りながら語る形で進んでいくよ。ふたりが、「暑く乾いた砂漠を歩いて、荒れた海を渡って、高い山を飛び越えて、嵐の中をずんずん歩いた 」...のは、(このお話の語り手となる)「わたしを家に連れて帰るため」なんだって。きっと、他の人からしたらすごく危なく見えて、やりとげるのが難しいと思えるような冒険だったんだ。辛いことや、心が痛むことも、たくさんあったのかもしれないね。「そんなのヘン」って言われて悲しかったかもしれない。ともかく、大冒険にふたりで挑んだママたちは、みごと「わたし」を連れ帰った。その3年後に弟が、そしてまた3年後には妹がやってきて...ほら、みんなのこの笑顔!!さあ、「ふたりママの家で」この後、どんな日々が始まると思う・・・?***********とにかく笑顔があふれる絵本。見ているだけでこちらも幸せになれるような絵本。なんてことない家族の、なんてことない日々が綴られたすてきな物語。...この作品を初めて子どもに紹介するとしたら、私はきっと こんな風に紹介すると思います。ちなみに、日本語訳で現存する「LGBTカップルを描く絵本」の多くは、たとえばペンギン(※)やクマといった動物、あるいはクレヨンなど、人でない存在を擬人化したものがまだその大半を占めています。(※実話を元に作られた絵本もありますが)擬人化する手法は、読み手にとって、普遍性をもたらす効果(リアルな人物像を特定させないことによる効果)もありますし、多くの“まだ慣れない”子ども(大人)たちに「セクシャル・マイノリティ」を知らせるはじめの一歩として、有効な場面もあるでしょう。一方、現場においては、「赤だと思っていたクレヨンが本当は青だった」とか、「クマの女の子の悩みは...」等の描かれ方(登場人物の擬人化)が、メインターゲットである年齢層の子どもにとってみると、「遠まわし過ぎて意味がわからない」...そんな残念な反応に繋がってしまうことも少なくありません。そんな中、絵本への思いを語り賛同者を増やし、クラウドファンドで資金を集め、見事邦訳出版された『ふたりママの家で』(サウザンブックス社)。原書名:『In Our Mothers’ House』著:Patricia Polacco出版社:Philomel Books発行国:アメリカ発行年:2009年言語:英語著者:Patoricia Polacco(パトリシア・ポラッコ)この作品の日本語版出版に大きな功績を果たした若い友人から、先日こんなメッセージが届きました。本人の許可を得たので紹介します。「たとえセクシュアル・マイノリティ当事者でなくとも、「男の子らしくしなさい」「女の子らしくしなさい」といわれることに大きな抵抗を感じている子どもは世の中にたくさんいると思う。子どもの時に親しむ絵本や児童書を通して、「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしくしなくたって別にいいんだよ」「自分がしたいと思う服装や遊び、生き方をしていいんだよ」「相手の性別に関わらず、好きな人と一緒にいていいんだよ」というメッセージを発信することは、旧来の抑圧的なジェンダー観から子どもたちを解放する上でとても大切だと思っています。」・・・・・「人は同じだと共感したうえで、ちがいを恵みと受け止められますように」こちらは、作者・パトリシア・ポラッコが講演で語る際の言葉。・・・・・とにかく笑顔あふれる絵本見ているだけでこちらも幸せになれる絵本なんてことない家族の、なんてことない日々が綴られたすてきな絵本...であると同時に、「誰もが幸せを保証される場所とは?」この絵本は、いま、私たちひとりひとりに投げかけられた“笑顔の問いかけ”でもあります。本を手渡す者として、大人として、わたしはそんな風に受け止めています。絵本コーディネーター東條知美

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  • 01Nov
    • 【11月の絵本棚】~贈りたい絵本~

      【11月の絵本棚】(テーマ:贈りたい絵本)きみが描く絵ってスゴイね。子どもよりもっと子どもっぽい。天才だよ!...(☆荒井良二 作『ぼくのキュートナ』2001 講談社より抜粋)絵本コーディネーター東條知美

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  • 31Oct
    • <平成30年度東京ウィメンズプラザフォーラム> 講演 (2)『絵本でみつけるジェンダーのたね』

      ◆10/27 講演 『大人だって絵本:社会を読み解く絵本/絵本でみつけるジェンダーのたね』前日に引き続き、「平成30年度東京ウィメンズプラザフォーラム」図書室企画講演。2日目は「ジェンダー」をキーワードに、古今東西の「メディアとしての絵本」を、参加者の皆さまと一緒にみてまいりました。「ジェンダー」とは、社会的・文化的に形成される性別を指す言葉です。☛「「社会的・文化的に形成された性別」のことです。人間には生まれついての生物学的性別(セックス/sex)があります。一方、社会通念や慣習の中には、社会によって作り上げられた「男性像」、「女性像」があり、このような男性、女性の別を「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー/gender)といいます」(※内閣府男女共同参画局ホームページ「男女共同参画関係用語(平成24年8月更新)」より抜粋)TVコマーシャルなどの広告、テレビ番組、活字メディアでのジェンダーの描かれ方を巡ってSNSなどで議論が起き、「炎上」に至るケースが後を絶たない昨今。そんな中、(まだあまり注目されてないジャンルのようですが)「絵本」の中でジェンダーはどのように描かれているのでしょうか?小さな子どもにとって絵本は、多くの場合、養育者(親等)と一対一の関係を築いて以来初めて出会う“外側”の媒体=「メディア」です。古今東西の作品に見る「ジェンダーのたね」とは?そこにある背景を探りました。..........【1027講演 『大人だって絵本:社会を読み解く絵本/絵本でみつけるジェンダーのたね』 】(講師:絵本コーディネーター東條知美)☆はじめに・自己紹介/わたしの「ジェンダー」背景/これまでの自治体講演・メディア出演・メディアにおけるテーマや表現、時代における必然性第一章□「絵本×ジェンダー」で知っておくべきこと・女性史、教育史、児童文学史、絵本史、世界史、日本史、出版史etc・・・(ぼう大)・結婚観の変遷、育児の変化、子どもとIT、幸福論、ジェンダーギャップ、ジェンダー炎上、LGBT、SDGs、様々な社会制度、教育制度、法律etc・・・(ぼう大)□大手メディアの発信する「ジェンダー」・米ディズニー社の描く「プリンセス」と時代・国内テレビ、映画、小児向けコンテンツにおける表現と変化・情報誌のターゲットとニーズ、変わった?変わらない?・世界的ムーブメントとなった「#Me Too 」・「ワンオペ育児」、「ジェンダー炎上」・今朝、どんな話題がニュースに取り上げられている?第二章□絵本と社会背景・歴史が生み出す読み物(『世界図絵』(1657)~産業革命~グリム童話集(1812)~『児童の世紀』(1900)、『ピーターラビットのおはなし』(1902)~戦前戦後の作品の傾向~現在まで)・時代における「○○像」と絵本の関係第三章□絵本でみつけるジェンダーのたね~テーマごとに作品紹介~・「心優しいおひめさま」と「勇敢な王子さま」は刷りこみ?・「女の子だから○○」「男の子だから○○」・絵本のなかの「おとうさん」「おかあさん」・女性と職業・自分らしくいきる・いろいろな“性”・いろいろな家族の形☆おわりに・「絵本」とは・「子どものいる場所」と“多様性”・「SDGs」を知っていますか?・本を手渡す者として、今思うこと.................喋りっぱなしの1時間半となりました。今テーマは関係する範囲が広域に渡ることもあり、全体をざっと俯瞰しながら作品を読んでいくような形となりましたが、今後はテーマを細分化し、さらに各々を掘り下げてみるのも面白い試みかもしれません。2018年。大人気アニメの中ではヒロインたちが、「男の子だってお姫さまになれる!」と叫び、旧態依然のジェンダー観と戦う姿が映し出されます。大手事務所のアイドルが、同性愛カップルを描いた映画ですばらしい演技を見せ、感動を与えてくれます。「「やばい女子」でいいじゃん!」...型にはまらない女子を全肯定した本が、話題となりました。絵本に描かれる「おかあさん」、「おとうさん」、「男の子」、「女の子」にも少しずつ変化が見え始めています。またつい昨日(10/30)、レズビアンカップルの築く幸せな家庭を描いた絵本が、大手新聞の書評欄で取り上げられました。あらゆる場所でIT化が急速に進む中、子どもたちが「LGBT」、「多様化する家族」といった言葉や情報に触れる機会もますます増えるでしょう。旧来の偏ったジェンダー観をのりこえ、多様性を受け入れ、 自己肯定感を大切にする社会ために、今「絵本」にできることは?子どものいる場所でできることは?SDGsが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」のために、私たちにできることとは?「絵本」の窓から考え、実践してまいりたいと思います。最後に、今講演にご参加くださいました皆様、お世話になった都職員の皆さま、担当していただきましたO様、フォーラムスタッフの皆さまには心より感謝申し上げます。ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!絵本コーディネーター東條知美

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  • 30Oct
    • <平成30年度東京ウィメンズプラザフォーラム> 講演 (1)『ごきげんな私になるための絵本講座』

      ◆平成30年度東京ウィメンズプラザフォーラム 図書資料室企画「大人だって絵本」「豊かで平和な男女平等参画社会の実現に向けて、都民と行政が協力して取り組む具体的、実践的な活動の拠点」 ...東京ウィメンズプラザ様にて、講演を2本務めさせていただきました。以下、講演の覚え書きです。・ ・ ・ ・ ・ ・<平成30年度東京ウィメンズプラザフォーラム図書室企画>10/27(土)❁『大人だって絵本:ごきげんな私になるための絵本講座』10/28(日)❁『大人だって絵本:社会を読み解く絵本/絵本でみつけるジェンダーのたね』◆1日目 『大人だって絵本:ごきげんな私になるための絵本講座』「女性活躍」が掲げられる昨今、実際に女性たちの「幸福度」「満足度」はどうなっているのか?どのようなストレスを抱えているのか?・・・各種データを見ながら、「疲れてしまったときや後ろ向きな気持ちになってしまったときに、絵本が力を貸してくれるかもしれない。がんばるあなたが 前を向けますように」・・・との願いを込めてお話しさせていただきました。4テーマからそれぞれ5冊の絵本を、個々の作品にまつわるエピソード・私自身の経験も交えながらご紹介。<この度のテーマ>①一歩踏み出す勇気が欲しい②チクチク痛む心に③愛するひとに出会ったら④年齢を重ねる/いのちをみつめる(会場には“世界一強い女の子”「長くつ下のピッピ」柄のハンカチーフを掲げました。)質疑コーナーや終了後には、嬉しいご意見ご感想と共に、「苦しい子育て期におすすめの絵本はありませんか」「ママを勇気づける絵本はありませんか」「高齢者を励ます絵本で何か良いものがあるとうれしいのですが...」等、様々な質問が寄せられました。講演内容を、現在のご自分のテーマに引き寄せて考えた方が多くいらっしゃったということがわかります。いくつかの絵本に加え、おすすめの育児書や、“高齢者の主体的な「絵本」”・“介護の場面での「絵本」アプローチ”実践例なども併せてご紹介させていただきました。仕事、対人関係、育児、介護......毎日いろいろな課題と向き合う私たちにとって、「絵本の時間」は「階段の踊り場」。上り続ける途中、絵と言葉で紡ぐこの世界が、大人にとってもほっと一息つける場所になりますように。大人だって絵本。「ごきげんな私」、「私のための一冊」を、ぜひ皆さまも探してみてくださいね。・ ・ ・ ・ ・ ・お運びくださいました皆様、お世話になった都職員の皆さま、フォーラムスタッフの皆さまには心より感謝申し上げます。ありがとうございました。(翌日の講演◆『大人だって絵本:社会を読み解く絵本/絵本でみつけるジェンダーのたね』につきましては、次の記事をご覧ください。)絵本コーディネーター東條知美

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プロフィール

絵本コーディネーター東條知美

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東條 知美(とうじょう ともみ) 絵本コーディネーター・講師・司書・ライター ※絵本関係のお仕事...

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