• 16 Sep
    • ☆彡日テレ「ズームイン!!サタデー」<特集>「え!?ほんと!?ココまできてる絵本の世界」に出演

      【 落穂ひろい】本日、日テレ「ズームイン!!サタデー」<特集>「え!?ほんと!?ココまできてる絵本の世界」をご覧くださいました皆さま、ありがとうございます。   絵本に興味を持ってくださる方が増え、絵本のいろいろな魅力を知っていただけることを願っております。 撮影は東京・神保町にある「ブックハウスカフェ」さんで行われました。こちらのお店であったからこそ、どんな話題になったときも、さっと棚から抜き出しお話しさせていただくことができました。   さて今放送のテーマは最近の絵本の傾向とのことでしたので、 近年特に大人向けの絵本が増えている状況をあげ、 ●共感系 絵本  ●脱ほんわか系 絵本 このふたつのキーワードでお話させていただきました。   さて、放送された作品に加えまして、残念ながら放送はされませんでしたが収録時にお話した作品について、せっかくですからこちらでご紹介させてください。 ・ ・ ・ ・ ・ 放送された作品  ☆鏡に映せば3次元!お料理してる気分になれる(しかけ絵本)『きょうのおやつは』作:わたなべちなつ (福音館書店)   ☆親子であそぼう!「あるある~(>_<)」ママが共感する絵本 『なつみはなんにでもなれる』作/絵:ヨシタケシンスケ (PHP研究所)   ☆絶版から奇跡の復刻!哀愁漂う後ろ姿をみてほしい...『ケチャップマン』作:鈴木のりたけ (ブロンズ新社)  ☆落語家が描く!七福神とのすったもんだ 『しちふくじん』作:立川志の輔 絵:中川学 編:倉本三津留 (岩崎書店)   ☆芸人コンビ・笑い飯がネタを絵本に!?『ガムのようせい』作:笑い飯 絵:川崎タカオ 編:倉本三津留 (岩崎書店)    収録時にお話させていただいた作品  ☆絵本をひらけば‟水の世界”!いのちの源、そのうねりに圧倒される『みずのこどもたち』作:阿部海太 (佼成出版社)   ☆数十年間 ‟大人向けの絵本”/“子どもに寄りそう絵本” 両方描き続ける作家『扉の国のチコ』文:巖谷國士 絵:上野紀子 構成:中江嘉男 (ポプラ社)    ☆怖いにもほどがある...!あなたは子どもに読ませますか?『おともだちできた?』作:恩田陸 絵:石井聖岳 (講談社)    ☆小さな幸せ、優しいきもち、弾む思い...一日の終わりにたしかめたいモッチーさんにおすすめ!①『そりゃあもういいひだったよ』作:荒井良二 (小学館)   ☆おれは、おれのままでいいんだ。モッチーさんにおすすめ!②『やっぱりおおかみ』作:佐々木マキ (福音館書店)   ☆モッチーさんにおすすめ!③~1972年生れの名作~『しろくまちゃんのほっとけーき』作:わかやまけん (こぐま社)   ☆モッチーさんにおすすめ!④~1972年生れの名作~『おおきなおおきなおいも』作:赤羽末吉 (福音館書店)   ☆モッチーさんにおすすめ!⑤~1972年生れの名作~『あーんあん』作:せなけいこ (福音館書店)  ・ ・ ・ ・ ・  300年前から現在にいたるまで、絵本はその内容や形態、読者像を、少しずつ変化させてきました。(今は「電子化」「大人向け」がキーワードですね) しかし絵本の底流には、いつの時代も変わらぬ「人々の普遍的な思い」や「大切にしたいこと」があり、脈々と受け継がれています。  「ズームイン!!サタデー」<特集>「え!?ほんと!?ココまできてる絵本の世界」 ・・・‟絵本の今”を取り上げていただき、とてもうれしかったです。日テレさん、番組スタッフの皆さん、ありがとうございました!  これを機に「絵本でも買ってみようかしら」と思ってくださった皆さま、素敵なお気に入りに出会っていただけますよう、お店(図書館)ではぜひ、いろいろな作品を手にとってみてくださいね。 <大人が喜ぶ絵本>と<子どもに手渡したい絵本>という視点で、絵本を見比べていただくのもおすすめです。      子どもは絵本を経験します。大人は経験で絵本を読みます。   どうか、すてきな出会いを。   絵本コーディネーター東條知美     

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  • 13 Sep
    • ☆古今かあさん~『なつみはなんにでもなれる』(PHP研究所)と『ぼくにげちゃうよ』(ほるぷ出版)

      ここ最近の絵本業界でヒットメーカーのひとりといえば、ヨシタケシンスケさん。 哲学的だったりナンセンスだったり...でもどの作品もクスリと笑えるオチがついてくる。飄々とした雰囲気を持つペンのタッチも、ふだん絵本とは無縁な大人に支持される理由のひとつかもしれません。素敵ですよね。 そんなヨシタケシンスケ作品のひとつ、 ◇『なつみはなんにでもなれる』(2016年 PHP研究所)  (※出版社HP 作品紹介より)なつみは、「すごくいいことおもいついたよ!」と、おかあさんのところにやってきました。そして、「なんのまねをしているか、あてるゲームだよ!」と、問題をだします。なつみは、毛布にくるまったり、手をぐるぐる回したり、身近なものをからだをつかってまねしていきますが、おかあさんはなかなか当てられません。 ほのぼのとした親子のやりとりも見どころです。                         4,5歳くらいの子どもって、そうそう、こんな感じです。 夜、おかあさんやおとうさんがいくら疲れていても、子どもは眠りにつく直前まで遊びたい...というかあそんであそんであそんで~!!とにかくパワフル。 (なつみちゃんから出題される)難しすぎるジェスチャークイズ大会、答えをぜんぜんあてられないママ。おもしろいですね~♪いかにも最近の親子絵本といったかんじがします。 でも実はこちら、 昔からある絵本のスタイル、「親子のごっこ遊び」をテーマにした絵本でもあるのです。   『なつみはなんにでもなれる』は今、どうしてこんなに売れているのでしょうか?  設定や対象年齢の近い他の作品と、ちょこっと読みくらべてみたいと思います。    じゃーん世界的な名作絵本。ご存じの方も多いかもしれません。    ◇『ぼくにげちゃうよ』(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 クレメント・ハード/絵 いわたみみ/訳 1976年 ほるぷ出版)   (出版社HP 作品紹介より)1942年が初版の絵本の古典。幼児の好みを知りつくしているブラウンの傑作です。ウサギの母子の間に交わされるほのぼのとした会話の中に理想の母子像が浮かびあがります。                    作品紹介には、「母子の間に交わされるほのぼのとした会話」とあります。先ほどの『なつみはなんにでもなれる』(PHP研究所) も、「ほのぼのとした親子のやりとり」という紹介のされ方をしていましたね。  1942年、アメリカの絵本黄金時代の初期に、丁寧に丁寧に創られた美しい絵本。 『ぼくにげちゃうよ』 は、こんなふうに始まります。  ・ ・ ・ ・ ・ ・   ある日、子うさぎは家を出てどこかに行ってみたくなりました。そこでかあさんうさぎに言いました。 「ぼく にげちゃうよ」 すると、かあさんうさぎが言いました。 「おまえが逃げたら、かあさんは追いかけますよ。だって、おまえはとってもかわいい私のぼうやだもの」  ・・・さあ、ここから母子のかけ合いが始まりますよ。  「かあさんが追いかけてきたら、ぼくは小川の魚になって泳いでいっちゃうよ」 「おまえが小川の魚になるのなら、かあさんは漁師になっておまえをつりあげますよ」 「かあさんが漁師になったら、ぼくはかあさんよりもずっと背の高い山の上の岩になるよ」 「お前が高い山の岩になるのなら、かあさんは登山家になって、おまえのところまで登っていきますよ」 「かあさんが登山家になったら(以下略)  ・・・このように、母子の会話に出てくる「もし○○だったら」という想像のシーンが、「左右モノトーン」、その後の「見開きカラー」のくり返しという構成で描かれるのが、『ぼくにげちゃうよ』です。  『なつみ...』と同じ「母子の空想ごっこ遊び」を題材にした「くり返し」スタイルの絵本ですが、 母と子の愛と安心感が、確かめ合うように描かれているところが、この作品の最大の魅力であり特徴です。 ちなみこの作品は1979年にアカデミー賞を受賞した米映画「クレイマー・クレイマー」にも登場します。 当時の<母性愛を象徴する絵本>といったところでしょうか。  ・ ・ ・ ・ ・ ・  ~『なつみはなんにでもなれる』 と『ぼくにげちゃうよ』 の共通点~ おかあさんと子どものほのぼのとした会話によって展開。 いずれも親子間の愛情が見てとれる。 会話のきっかけは子どもの思いつきである。 ‟空想”がキーワード。登場する子どもは、とにかく「なんにでもなれる」。 「くり返し」という絵本(昔話に多い)の黄金スタイルを採用。 ともに小さめサイズ。子どもをひざに乗せて読み聞かせするのにちょうどいい。 読んだ後、絵本のマネして「これなーんだ?」のジェスチャークイズや、「ぼくが鳥になってにげたらどうする?」と問いかけてきたりする子どもの行動が見られる。 おとうさんが出てこない。(どこいった)  ・ ・ ・ ・ ・ ・  ~『なつみはなんにでもなれる』 と『ぼくにげちゃうよ』 の相違点~ ‟笑える”世界観をもつ『なつみ...』に対して、‟微笑ましい”世界観の『ぼくにげちゃうよ』。 おかあさんの描かれ方がぜんぜん違う 『ぼくにげちゃうよ』  のおかあさんは、冷静沈着・良妻賢母といった風。うさぎ穴はいつもキッチリ片付いていそうです。 くらべて『なつみはなんにでもなれる』 に描かれるおかあさんは、ぐっと身近に感じられるキャラクターですね。(そんなことより、はよ寝てくれ~)って気持ちが表情に表れています。  ・ ・ ・ ・ ・ ・  正直わたし自身の子育てを振りかえりますと、 理想はうさぎのおかあさんでも実体はなつみのおかあさんといったところでしょうか。   あなたはどちらの絵本により共感を覚えますか? より親しく感じる絵本は?買うならどっち?  「こうありたい!」を選ぶのか、「わかる!」を選ぶのか。 それとも両方?   1976年に絵本を選ぶ多くのおかあさんと、2016年に絵本を選ぶ多くのおかあさん。 絵本を選ぶ時の基準も、ちょっとかわってきてるのかもしれないナ......そんなことを思う今日この頃であります。  いずれにしても、絵本で子育てを楽しむ人が増えるのは、とてもステキなことですね♪ 絵本コーディネーター東條知美

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  • 10 Sep
  • 05 Sep
    • ☆‟濁点”が、悩み 落ち込む!?「文字に感情移入」という体験~『ぜつぼうの濁点』(教育画劇)

      『ぜつぼうの濁点』原田宗典 作 柚木沙弥郎 絵(2006年 教育画劇)  久しぶりにうなった~!2006年刊、恥ずかしながらノーマークでした。 私たちが読み書きする<文字>そのものがキャラクターとなり、動き、悩み、笑う絵本です。 ・・・・・・・ 長年「ぜつぼう」にくっついていたため、自分の主に絶望を与えていたのではないか...と考えた濁点くん。 自分を捨ててほしいと主に頼み、捨てられます。 そして、誰でもいいから、濁点の自分を使ってくれないかと他のひらがなに打診してみるのですが、 そんな縁起でもないいわくつきの濁点などお断り〰...と、冷たくされちゃいます。 そこに現れたのが、大きな「おせわ」の三文字。優しくしてもらえると思いきや、沼に放りこまれて・・・ 濁点くんの運命やいかに!? ・・・・・ なんとも清々しい。腹の底から力を与えてくれる一冊です!  絵本コーディネーター東條知美

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  • 01 Sep
    • 【9月の絵本棚】

      【9月の絵本棚】   まんげつのよるが きた さあ しゅっぱつしよう よいこは ぐっすり ねているじかん あわてなくても だいじょうぶ   (軽部武広 作 『まんげつのこどもたち』イーストプレス刊 より抜粋)  絵本コーディネーター東條知美  

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  • 06 Aug
    • ☆手渡していくべき‟史実絵本”~『絵で読む 広島の原爆』(福音館書店)

       ◼『絵で読む 広島の原爆』(那須正幹 文/西村繁男 絵 1995年 福音館書店)  郊外ににげていく負傷者たちは、みんな幽霊のように手を前につき出していました。下におろすと、痛くてしようがないからです。熱線をうけた皮膚が爆風のためむけあがり、手首のところにたれ下がっていました。真夏だというのに、しきりに寒がりました。  ・・・・・・・・(本文より抜粋)   (児童文学者)那須正幹さんについては、『それいけズッコケ三人組』シリーズ等でみなさんもよくご存じかもしれません。3歳だった1945年、広島の爆心地より3キロの自宅で被爆されています。 この絵本は、「市内全体の被爆状況」「原爆の原理」「開発や投下に至る歴史的経緯」「被爆以後1995年まで」を網羅した内容となっているのですが、 被爆当事者である那須正幹さんは今作品で「様々な資料を通して多角的にとらえて文章化」、以来現在に至るまで、文学を通じて戦争の悲惨さをしるし続けています。  画家の西村繁男さん(1947 高知市生れ)はこの仕事のために一年間広島に住んで証言者を訪ね回り、その後も現地や関係者へ何度も足を運び、せいいっぱい肉薄を試みて...那須さんと共に実に6年の歳月をかけ、〈絵本〉の形で「広島の原爆」その全貌を、私たちに伝えてくれました。  西村さんは「制作のあとで」のところでこう記しています。 「風化しているとはいえ、耳をかたむければ、ヒロシマはいろいろなことをまだ語ってくれるはずです。」  1995年刊。◼『絵で読む 広島の原爆』(那須正幹 文/西村繁男 絵 福音館書店) については“手渡して行かなければならない一冊”と考えています。   絵本コーディネーター東條知美

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  • 03 Aug
    • 読書感想文でおいつめられている子どもたちへ~《 緊急用☆さっさと埋める感想文マニュアル》

      【☆夏休み応援企画☆】 ~はやくも読書感想文でおいつめられている子どもたちへ~ 《①~⑨の書き出しでOK! 緊急用☆さっさと埋める感想文マニュアル》  ※注意※ こちらで紹介する〈読書感想文のひとつのパターン〉は、 「宿題に出たけれど、何を書いたらよいのかわからず困っている」 とか 「毎年感想文の宿題が苦痛でたまらない」 と悩むお友だちのためのものです。 「ああ、早く書きたい」「感想文の宿題があるから夏休みが楽しいんだよ!」 「賞を獲りにいきます」「そんな風にしてまで書く必要はない」 ・・・と思うみなさんは、ここに書かれていることは無視してください。  では、始めます。 * * * * * * * *  《 各文 ①~⑨の書き出しでOK!  緊急用☆さっさと埋める感想文マニュアル 》   ①この作品を選んだ理由は、 (例:表紙の絵の○○なところが気に入ったから/○○さんの作品で『○○』を読んだことがあり、他のものも読んでみたいと思ったから/本のタイトルが○○○という理由で気になったから/○○さんにすすめられたから/課題図書の中で一番読みやすそうだったから)     ②この物語の主人公○○(※主人公や登場人物の名前)と私(ぼく)の似ているところは、  (例:ちょっと気が強くて意地っ張りなところ/はずかしがりやなところ/食いしんぼうなところ/○○が好きなところ/○○がきらいなところ) ※1~3個くらいにしておこう。     ③気になった場面は、(※物語の最初の印象的なシーンをできるだけ短く紹介)  (例:気になった場面は、○○が~した時の場面です。)     ④ここで、私(ぼく)は、~と思いました。(~と感じました。) なぜなら~だからです。     ⑤次に印象に残ったのは、~の場面です。 (※次にあなたが驚いたり、感動したりした印象的なシーンをできるだけ短く紹介) (例:その次に驚いたのは、○○が~した時の場面です。)    ⑥私(ぼく)だったら、~なのになあと思いました。 (例:私でも同じような気持ちになるし、かなしくて泣いてしまうかもしれません。/ぼくだったら、怒ってもう二度と会いたくないと思うかもしれません。/私や私の仲間がこんな目に合ったら、父や母もきっと心配すると思います。)     ⑦☆ここらへんで、本の主題(伝わってきたメッセージ)と関係のありそうな言葉(※例を参考)を使いながらちょっと熱く語ろう!あなたが実際に感じた10倍くらいの熱さでちょうどよいと思います。 (※例:命 / 生きるよろこび / 友情 / 愛 / あきらめない気持ち / つらい出来事をどう乗り越えるのか / 勇気 / 支え合うこと / 本当の幸せ ・・・これらの言葉から思い浮かぶ、社会のニュースや自分自身の体験について、思うままに語ってください。)      ⑧(最後) これまでの私(ぼく)は~(※伝わってきたメッセージから感じた言葉とは反対の、ちょっとダメな感じの性格や考え方)だったけれど、 これからは~(※伝わってきたメッセージに合う性格や考え方、行動)な人間になろうと思います。     ⑨(最後の最後) 物語に出てくる登場人物のセリフで、すごくいい!と思うものがあったらそのまま書きましょう。 よいんの残る、カッチョイイ文章に見えます。 (例:「○○○○○」この言葉を忘れずに、ぼくも成長していきたいと思います。)     * * * * *  ☆みなさん、とりあえず上に書いた順番で原稿用紙を文字でうめてみてください。 なんとかなりそうでしょう? まずは真似る。慣れましょう。  「読書感想文」はきらいになっても「読書」は嫌いにならないで!とみなさんに伝えたくて、この緊急マニュアルを作りました。 でも実際、 書く機会が多いほど、「あなた自身の言葉」も豊かに増え、どんどんみがかれていきます。 そうして育まれた言葉たちは、これからのみなさんの人生をより豊かにしてくれるのも本当です。「伝えたいこと」を「自分の言葉」で表現できるようになる頃には、書くことが難しいことではなくなっているのかもしれませんね。   とりあえず感想文の宿題を終えて肩の荷が降りたら、好きな本を好きなように読んでください。 すごく面白い本に出会ったら、私にも教えてくださいね。   (学校司書・東條より)

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  • 02 Aug
    • 【8月の絵本棚 ②】

      【8月の絵本棚 ②】   「あっ、ながれぼし!」まどに あたった ながれぼしが、シャリンと ちいさな おとを たてた。 おかあさんと いっしょに きたかったな。きゅうに さみしい きもちに なったとき ガチャッ!とおくで ドアが あく おとが した。  (アンマサコ作 『そらとぶでんしゃ』講談社 より)

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  • 01 Aug
    • 【8月の絵本棚 ①】

      【8月の絵本棚 ①】   8月6日 せとないかいは そのひも おだやかなうみでした。 おかあさんは しまから とおくのそらが ぴかっと ひかったのを みました。 さわがしかった せみがいっしゅん なくのを やめたような きがしました。  (中川ひろたか 文/長谷川義史 絵 『8月6日のこと』河出書房新社 より)

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  • 26 Jul
    • ☆かわいくてたまらん~『おばけのラーバン』

      7/26は"幽霊の日"だそうで。こちらがわたしの推しゆうれい(オバケ)絵本です。🌟『おばけのラーバン』(インゲル・サンドベルイ文/ラッセ・サンドベルイ絵/すずきてつろう訳 )  なんと、現在日本での契約期間が切れた状態と聞いております。書店で見つけしだいレジへ!  恐ろしい声も出せず、(前歯が抜けたばかりだもんで)歯ぎしりの「ギシギシ」音も出せない...ちいさなおばけ、ラーバンが可愛いくてたまりません。 1965年スウェーデン生まれの絵本。文字やや多め。  絵本コーディネーター東條知美

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  • 09 Jul
    • ☆星はあまいかすっぱいか(それとも、せつない?)~『トリッポンとおばけ』(教育画劇)~

      星の瞬く夜、窓の外から 優しいおばけに誘われたらやっぱり(わたしも)窓から抜け出して、こっそりあそびに出かけてしまうのだと思います。  この幻想世界にいつまでも浸っていたくなる..そんな絵本を紹介します。絵、文章、そして装丁の美しさに、思わずため息がもれる一冊です。   ☆『トリッポンとおばけ』 萩尾望都 作 / こみねゆら 絵(2007年 教育画劇) (※2017.7.9現在 品切れの可能性) ・ ・ ・ ・ ・   「星つりにいこうよ」 .おばけがトリッポン(少年)の部屋の窓を、とんとんたたきます。 夜の池のほとり、釣りざおの先に花をつけて“星つり”をする 少年(トリッポン)とおばけ。  ・ ・ ・ ・ ・  「きみはなかなかすじがいい」と、おばけはトリッポンをほめた。 「用心しないと、ねこが星をたべるよ」  「ねこは星をたべるのかな」 「池でつれるものならなんだって、ねこの好物だよ」おばけはこたえた。  ・ ・ ・ ・ ・  なんでもない会話が、ただ繰り広げられるだけ。 なのに、じんわりと胸にしみてきます。  ・ ・ ・ ・ ・  「あじはいいよ」 「これ、たべられるの」 「うん」 「どうやってたべるの」 「なまもなかなかおつなもんだし、すこしかたけりゃ、さっと火にとおせばふくらむからね」  ・ ・ ・ ・ ・     なんでもない夜なんでもないふたりの静かな 美しい夜。   あんまり美しいのでするりと指の間から逃げてしまいそうで、瞬きしてる間に消えてしまいそうで......  これは「儚さ」を知る人間が読むと、ちょっとせつなくなってしまう絵本なのかもしれません。   ところで「星つりにいこうよ」なんて言葉で誘われたら、あなたもきっと 窓から抜け出しますよね?   ◆過去の<こみねゆらさんインタビュー>記事もあわせてどうぞ◆  絵本コーディネーター東條知美       

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  • 08 Jul
    • ◆『Le panier à pique-nique』(邦題『ランチバスケット』)を読みました。

      【イタリア ボローニャ国際絵本原画展】  イタリア ボローニャ国際絵本原画展の関連イベント友人のイタリア人作家・ガブリエレさんの講演会の中で、2015年にフランスで出版された絵本『Le panier à pique-nique』(邦題『ランチバスケット』)朗読のお手伝いをしてきました。de Gabriele Rebagliati (Auteur), Susumu Fujimoto (Illustrations)  “家族”をテーマにしたガブリエレさんのストーリーに、藤本すすむさんが描いた、ちょっと不思議な雰囲気を持つ作品です。 大判の絵本。(※現在、板橋区立美術館でも購入する事ができます。) 『Le panier à pique-nique』(邦題『ランチバスケット』) をガブリエレさんがイタリア語で読んで、わたしが日本語訳を読む、という方法で朗読しました。   「イタリア人と日本人、絵本をどう料理する?—フュージョン絵本の制作過程」と題されたガブリエレさんの今講演、とても興味深いものでした。  物語を紡ぐようになったバックボーン、幼い頃の思い出、日本との出会い、イタリアでのおもちゃ会社時代の仕事、そして来日後の「絵本」のお仕事のこと......  ガブリエレさんにはもう少し聞いてみたいことがあるので、あらためて今度インタビューしたいと思っております。   途中、涙をみせる一幕もあったガブリエレさん。きっと、いろいろな思いがあふれてきたのでしょう。    終了後、サインをいただいて両作家と記念撮影🌠  (左)イラストレーター 藤本すすむさん (右)作家 ガブリエレ・レバリアーティさん   貴重な体験をありがとうございました。   絵本コーディネーター東條知美

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  • 05 Jul
    • ☆ふるさとの夏がここにある。~『夏がきた』(あすなろ書房)

      ☆『夏がきた』(羽尻利門/作  2017年 あすなろ書房)  隅々まで こんなにも 描きこんである...思わず三度読み返す。    蝉が鳴いている。 風鈴が揺れている。  扇風機が回る。 子どもたちは、灼けつく暑さに顔を真っ赤にしながら駆けていく。 昼寝の傍らに、祖父母がいる。    あの夏の日が甦る・・・・・・   そうだ、これが 私たちの夏だ。   絵本コーディネーター東條知美

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  • 01 Jul
    • ◆「生きていること、年を重ねることの素晴らしさを」~アンマサコさんインタビュー~

      一般的に「絵本」は、絵と文章とで、その内容が示されるメディアです。 ですからお話が素晴らしくても、(絵が好きじゃないんだよな~)とか、 その逆で(絵はとても素晴らしいのに、文章がやけに長々しい)といった声の聞こえてくることが、よくあります。 (もちろんこれについては、読み手の嗜好にゆだねられるところが大きいでしょう。でも、よいものは、やっぱりよいのです)  お店の絵本コーナーには古今東西たくさんの本が溢れています。 その中で(絵も文章もすごくいい!)と心を動かされる絵本は、「手元に置きたい」し、「あの人に贈りたい」となりますよね。  すごい絵本、すごいクリエイターをみつけました。  ☆『おたんじょうびケーキ』(アン マサコ/作 2017年5月 ブロンズ新社)きょうはあいちゃんの5さいのおたんじょうび。「おともだちがくるまでたべちゃだめよ」とママにちゅういされたけど、がまんできずに食べちゃった!気づくとそこはケーキのおしろ。5さいになるためのろうそくを探して、おかしの世界で大冒険がはじまった!(※出版社ホームページより転載)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  最近私がひとめぼれした絵本、それが『おたんじょうびケーキ』です。  作者のアンマサコさんってどんな人?ぜひぜひお目にかかりたいといてもたっても居られず、開催2日目の『おたんじょうびケーキ』絵本原画展へおじゃましました。     作者のアンマサコさん。可愛くて力強い作品『おたんじょうびケーキ』(ブロンズ新社)の創作秘話を、原画の前でお聞かせくださいました。  少女がろうそくとお話をする絵(※上の原画展看板の絵)が当初の表紙案だったとのことですが・・・ 「最終的に表紙になったこちらの絵は、装丁家からの提案で描き下ろしたもの。」「“私を見て!”、“私をつれて帰って!”・・・とうったえかける表情を意識しました。とくに目は、何度も何度もギリギリまで描き直しました」(アンマサコさん)    「激しいシーンではボレロ、ケーキのシーンではくるみわり人形のようなバレエ音楽、せつないシーンでは別れの曲...など、それぞれのシーンを描くときは、同じ曲が何度も何度もループで流れているんです」(アンマサコさん)  「1枚を1日で描き上げます。凄絶。ものすごい集中状態で、時計も3回くらいしかみません。だから創作にあたる期間はいつもフラフラです(笑)」「わたしにとって、「絵本」に大人向けも子ども向けもありません。描けるところまで全力で描きこむ。細部までこだわる。細かいところ、登場人物にも物語を読み取ってもらいたい...」(アンマサコさん)     (『おたんじょうびケーキ』を作った動機は?)「生きていることのすばらしさ、年を重ねることの素晴らしさを描きたかった」(今作品で画材はガッシュ、ペン、一部リキテックスを使用とのことですが...)「本当は、いつか油絵で絵本を描いてみたい」(会場には人形アニメーションのDVDも流れていますが...)「物語をつくるのが好き。アニメーションも立体も、これまでの創作はすべて表現したい“物語”」 2014 11.「タップ君」 ストップアニメーション 上映 東京都写真美術館(監督/人形制作/美術デザイン/アン マサコ) 「せっかく生まれてきたのだから、人生をやりきりたい」(アンマサコさん)  ・・・・・アン マサコさん、すごく情熱的でエネルギッシュな女性。なによりも創作を愛する素敵な方でした!最後に「ぜひいつか面白いことをご一緒させてください」と、熱いラブコールをおくらせていただきました。  アンマサコさん、貴重なお話をありがとうございました。次の作品も、心よりたのしみにしております!                                 絵本コーディネーター東條知美   ◆『おたんじょうびケーキ』絵本原画展   会場:原宿・青銅RoomJ   期間:2017年6月23日(金)~7月2日(日)*6月26日(月)休廊   時間:13~18時 *著者在廊日:6月24日(土)、7月2日(日)  ◆また、さいたま新都心駅からすぐの「るるるるおかしさん」で、『おたんじょうびケーキ』のおいしくて、わくわくする世界が展開中とのこと。可愛いくて美味しい・・・ここでもまた元気がもらえそうですね♪ #絵本#ブロンズ新社#絵本原画展

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    • 【7月の絵本棚】

      【7月の絵本棚】      「きみたち しんまいの川って、ほんとに ばかだな。海をみつけることばかり いっしょうけんめいで、かんじんなことを わすれているんだから。川は、太陽や空気みたいなもの、おなじときに、どこにでも、いることができるのさ。あっちにも、こっちにも、とおくにも、ちかくにも。」 アン・ランド 文/ロジャンコフスキー 絵/掛川恭子 訳『川はながれる』 より(1978年 岩波書店  ※オリジナル1959年アメリカ)

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  • 29 Jun
    • ☆あっと驚く謎解きがウィーズナー作品の魅力!~『1999年6月29日』(BL出版)

      やはり今日(6/29)はこれを外せないな・・・ ☆『1999年6月29日』(デイビッド・ウィーズナー/作 江國香織/訳 1993年 BL出版)  「電離層における野菜の発育と成長について」調べる少女ホリーがカッコいい。(部屋にヘリウムガスタンクとかあるし、壁にはアインシュタインの写真貼ってるし) あっと驚く謎解きは、ウィーズナー作品の痛快な魅力のひとつ!独自の視点に出会える作品です。  6月29日、地球のあちこちに巨大な野菜が舞い降りたんですけど、ホリーの実験には含まれていない野菜もあったのは、はてさて、どうしたことでしょう・・・?推理してから読むも、またたのし。   絵本コーディネーター東條知美     

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  • 25 Jun
    • ☆五感にはたらきかけ失った記憶を呼び起こす‟雨の絵本”~『空の絵本』(講談社)~

      いよいよ本格的な梅雨ですね。 私は、周りを山々に囲まれた風景の中で育ちました。まだそこかしこに未舗装のデコボコ道が残っていた時代。学校帰りは、草笛を吹いてみたり、そのへんの木切れで土に絵を描いたり、アマガエルをつかまえたりして遊びました。耳にはいつも、なにかしらの音...風の音や虫の声が鳴っていました。雨が降れば、木々を揺さぶる風に恐怖を感じ、黒くなる空に不安を覚えました。 のんびりとした子ども時代。  今は都会のマンションに住み、アスファルトの道を歩きます。駅からは電車に乗って会社へ...その営みを果てしなくくり返しているうちに、いつしか手放してしまった子ども時代のあの感覚...それを、この絵本が思い出させてくれました。  * * * * *  ☆『空の絵本』(長田弘/作 荒井良二/絵 2011年 講談社)   あっ 雨 たった一言、小さなつぶやきから物語は始まります。  だんだんと強くなる雨、 だんだんと灰色になる空、 だんだん!と叩きつける、雷をよぶ、 圧倒的な雨の支配する世界。 そして やがてくる 静寂......    青空が印象的な表紙の絵本は、開いてみると実は、そんな“雨”の一日を描いた絵本だったのです。   じっと読んでおりますと、雨にさんざん打たれた草花の青い匂いが、あたり一面に匂ってくるようでした。生きものたちが物陰で息を潜める気配を感じました。雨上がりの場面では、生温い空気に満たされているのを感じました。  ・・・うーんすごい絵本だなあ。 すごい絵本ですね。  * * * * *  詩人の長田弘さんからテキストを受け取った画家の荒井良二さんが、当時(2011年)、制作にあたって考えたことが、絵本ナビのインタビューの中で紹介されています。   この作品で荒井さんが「選ばなかったもうひとつの方法」↓ 「例えば、主人公を登場させて、物語として見せる方法もあるな…とは思った。長田さんの文章には出てこないけど、ここで生活を営んでいるはずの動物や人を入れるってことも可能だったかなと。人のいる煙が上がっていたり、動物がいたり…。営まれているはずなんだよね。見えないだけで。」   表紙に雨が描かれていない点について↓「表紙は別物って考えているから出てくるんだね。嘘をつくわけではないけど、説明に走らなくてもいいのかなって思うんだよ、表紙って。」  (※2012年1月 絵本ナビ 荒井 良二さん『空の絵本』インタビューより抜粋※)   * * * * *   「絵本」は、 あらゆる五感にはたらきかけ、失ったあの日の記憶を呼び起こす。  本編以外の部分もまた「絵本」。 書かれていない(描かれていない)たくさんのアレコレを おのおののやりかたで、わたしたちに読ませてくれる。  ・・・・・・   やっぱりすごいメディアだなと、つくづく思うのです。  絵本コーディネーター 東條知美   

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  • 18 Jun
    • ■6/16 JBBY賞の授賞式&懇親会レポート(東條)

      子どもの本の国際賞に対し、推薦活動を行うJBBY(日本国際児童図書評議会)という組織があります。 国内選考会を経て、海外へ紹介された作品、作家、出版社へ贈られる「JBBY賞」。その授賞式&懇親会に参加しました。  授賞式に出席された作家のみなさんと、出版社の方々。   角野栄子さん(国際アンデルセン賞候補)  角野栄子さんは「作家なんて、みん~なうそつきなんですよ」と会場を和ませてくださいました。そして「ちいさなどうわたち」の中から、『おかしなうそつきやさん』を読んでくださいました。  20年以上も前になりますが、私(東條)は大学時代、角野栄子先生の創作の講義を受けておりました。この日は20年ぶりの対面となりました。「先生の終わらない“ダメ出し”は、私を「作り手」ではなく「手渡す人」へと向かわせてくれました」とお礼を申し上げると、「ひっどいわねえ、当時の私ったら!」と笑ってくださいました。 そういえば当時から、指導の合間に『魔女の宅急便』の創作秘話など、作家の裏話を伺えるのが毎回の楽しみでした。 新刊「キキとジジ」魔女の宅急便 特別編その2 (作・角野栄子 画・佐竹美保 福音館書店)   創作について、もっと真面目にくらいついて学べばよかったなと思います。まだまだ勉強、です。 角野栄子先生、おめでとうございます。  * * * * *  ぐるーぷ・もこもこさん(バリアフリー図書部門) (写真:2017年度 IBBY障害児図書資料センター推薦図書)  受賞作となった布絵本を、私もこのあと会場で手にとって見せていただきました。 童謡を題材とした(布)絵本はとてもやわらかく、1ページ1ページがとても丁寧に作られています。  「最初、赤十字マークを入れていたがこれに著作権があるということで、その部分を急遽作り直しました。歌を掲載するなら、作詞家も作曲家も記載、ジャスラックに使用料を払っています。たとえボランティアの仕事でも、それはしっかり...とメンバーにもいつも言っています」と、野口光世さん。(写真左。右はJBBY賞審査員のおひとり、広松由希子さん。)手仕事の高いクオリティ、その志にたいへん感動しました。 (JBBYの理事・撹上さんによる)歌いながらの読み聞かせもあり、とてもステキでした! 懇親会で、布絵本・バリアフリー絵本について私もこれからぜひ学んでいきたいということをお伝えし、ご挨拶させていただきました。ぐるーぷ・もこもこの皆さま、おめでとうございます。  * * * * *  原田勝さん(翻訳部門『ハーレムの闘う本屋』)   『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』(ヴォーンダ・ミショー・ネルソン著/R・グレゴリー・クリスティ イラスト/原田勝 訳 あすなろ書房) ニューヨークのハーレムに、一風変わった書店がありました。ナショナル・メモリアル・アフリカン・ブックストア。黒人に関する本ばかりを扱う書店、通称「ミショーの店」。本書は、この店の店主、ルイス・ミショーに光をあてたドキュメンタリー・ノベルです。1939年、「黒人は本を読まない」と言われていた時代に、店をオープン。「知識こそ力」と信じていたミショーは、まずは人々の意識を目覚めさせることからと、型破りなプロモーションを展開します。そのうち、本のおもしろさ、知識の大切さを知った人が、ミショーを慕って集うようになり、ついには、全米一の黒人専門書店に!開店当初5冊だった在庫は、古書にも目をくばったミショーの情熱により、1974年の閉店時には、22万5千冊にもなっていたそうです...(出版社ホームページより)  ・ ・ ・ ・ ・ 今回、壇上ではさくまゆみこさんによるインタビューも行われました。  (さくまゆみこ氏)『ハーレムの戦う本屋』翻訳のお仕事について伺います。この作品の面白さは?(原田勝氏)登場人物それぞれが語る面白さ、どうしようもないやつが変わっていく、本の力がテーマになっています。表に出ないような人がモデル、など。そこが面白いと感じました。 (さくまゆみこ氏)翻訳したいと思う作品の基準は?(原田勝氏)基準というのはないんです。理詰めで考えてはいない。よく、訳す作品が暗いと言われますが...(さくまゆみこ氏)「暗い」というよりは、きっと「深い」のだと思いますよ。 ・ ・ ・ ・ ・ 原田勝さん、おめでとうございます。『弟の戦争』は、「ずっと手渡していきたい一冊」とよく現場で話をさせていただいております。『ハーレムの闘う本屋』もすぐに読みたいと思います!  *  *  *  *  *     岩瀬成子さん(文学部門『あたらしい子が来て』)  (岩瀬成子氏)「年を取り、こだわる力が減退したんです(笑)」 『あたらしい子がきて』(岩瀬成子 作/上路ナオ子 絵 岩崎書店)一つちがいの姉妹の下に、歳のはなれた弟が生まれたことで、微妙に変化していく心境を、ときにコミカルに、ときにせつなく描き出します。やっぱりきょうだいっていいな。(出版社ホームページより)  ・ ・ ・ ・ ・ 壇上では、ニコニコと微笑まれながら多くの言葉を語らない岩瀬さん。以前より岩瀬文学の大ファンである私(東條)は、作品の魅力のひみつ...その手がかりをどうしても知りたいと思い、懇親会会場で突撃インタビューを試みました。  (東條)岩瀬さんの作品は、1978年の『朝はだんだん見えてくる』(岩瀬成子 作/長新太 絵 理論社)から始まり、これまでに全部読ませていただきました。以来、表現や題材がやわらかくなってきてはいるものの、岩瀬さんの文章は、ずっと児童文学の中では異彩を放つものと感じています。とくに昔の作品からは...時代の空気もあったのでしょうが、ちょっと不良性...たばこの匂いのようなものを感じました。今回の受賞作品も、一見子どものほのぼのした情景や「おねえちゃんになる心情」を描いたと思わせつつ、実は、そんな大人の固定概念を冒頭から打ち砕きます。ちょっと反逆的な、なにかを感じさせます。 どうか質問をお許しください。作家・岩瀬成子を作ったものとは、いったい何なのでしょうか?たとえば「座右の一冊」などは、ありますか?  (岩瀬成子氏)そんな風に読んでくださってありがとうございます(笑)1冊は・・・う~ん、あまりに難しすぎる!すぐに決められません。  (東條)今回の受賞作品もそうですが、岩瀬作品は非常に映像的であると感じます。俯瞰から寄っていき、個々の内面へ。かと思うとポンと場面転換するシーンなど。映画や音楽が、作品に与えた影響というのはありますか?  (岩瀬成子氏)音楽は...大好きで夢中になったのはビートルズです。もうビートルズばかり。1964年に初めて日本でレコードが発売されたとき、周りの友だちでビートルズのファンはひとりもいなかった。でも私は、ビートルズの音楽にすごい衝撃を受けました。ガーン!と。こんなものがあったのか、と。 ・ ・ ・ ・ ・  山口県玖珂郡玖珂町出身。山口県岩国市在住の岩瀬成子さん。 ビートルズがのちの表現者に与えたものがあるとすれば......興味を覚え調べてみると、当時14歳だった岩瀬さんが聴いたビートルズを、当時すぐ近くで、同じ衝撃で感じたアーティストたちがいるとわかりました。  【ビートルズを聴いて素直に反応した全国の少年少女たち~イルカ、きたやまおさむ、そして吉田拓郎の場合】「...北山修とは同学年の吉田拓郎がビートルズを知ったのは、1964年の初め頃だったという。当時は高校2年で広島に住んでいたのだが、学校から帰ってくると夕方5時から始まるラジオ番組を聞くのが日課になっていた。アメリカの音楽誌「ビルボード」のランキングを紹介する「ビルボードTOP40」が、岩国の米軍キャンプ向けのFENから流れていたのである。そしてある日、ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」が、何かの幕開けを思わせるような感じで、高らかに吉田拓郎の耳に飛び込んできた。それまで聴いてきたアメリカンポップスと違って、なにか騒々しい音楽だというのが第一印象だった。最初は「何じゃこれ」という、とまどいに近い驚きだった。ところが何度か耳にするうちに、騒々しさが開放感に変わっていった。そのうちに4人のハーモニーが「お前も早くやれよ」と、誘っているようにさえ聞こえてきたという...」(「エンタメステーション」佐藤剛執筆記事より抜粋)   ・ ・ ・ ・ ・ ビートルズの熱狂を、私は知りません。 でもそれが、「大人にはなんだか理解できなかったもの」 であったのだとしたら..... “大人にはわからない”ビートルズの音楽の本質にある、人間らしい感情。汚れなき魂。それを受けとめる子ども(若者)の脆さ、非力さ、そして本来の強さと優しさを岩瀬さんだけは、大人になった今も決して忘れていないということなのかもしれません。  これまでの作品の登場人物(子ども)を思いながら、私はそう考えました。 岩瀬さんにはまた、カラカラと笑われるのかもしれませんが・・・  まだまだたくさん書いてほしい。いつも次が楽しみな作家さんです。 岩瀬成子さん、おめでとうございます。  * * * * *  吉田尚令さん(イラストレーション部門『希望の牧場』)    『希望の牧場』(森絵都 作/吉田尚令 絵 岩崎書店)原発事故後、警戒区域になった牧場にとどまり、そこに取り残された牛たちの声なき命を守りつづけようと決めた牛飼いの姿を描く。(出版社ホームページより)  ・ ・ ・ ・ ・ (さくまゆみこ氏)これまでのお仕事を拝見すると、いろいろな作風という印象があります。(吉田尚令氏)それがいいとは思っていなくて...テキストにかなり影響を受けているんです。『希望の牧場』の参考にしたのは、ベン・シャーンです。この作品の主人公であり、実際のモデルである吉沢さんという人のいろいろな面は、ひとつの画材やタッチで表せるものではなかったんです。森絵都さんのテキストがほんとうに素晴らしかったということ。今回授賞は森さんの力だと思っています。 ・ ・ ・ ・ ・  吉田尚令さんには以前、私もインタビューをさせていただいたことがあります。 2015年3月11日☆吉田尚令さんインタビュー ☆『希望の牧場』(森絵都作 岩崎書店)原画展にてを ぜひご覧ください。  今回2年ぶりにお会いした吉田さんは、相変わらずもの静かで終始ちょっと照れくさそうにされていましたが、「『希望の牧場』をこれからもよろしくお願いします」と力強く仰る姿に、(この作品を描く際に強く意識したという)ベン・シャーンの骨太な作風、雰囲気は、すでに吉田さんの中に根付いている!と感じました。 これからどんなふうに私たちを驚かせてくれるのか、目が離せない絵本作家さんです。吉田尚令さん、おめでとうございます。  * * * * *  JBBYの皆さま、さくまゆみこさん、この度はお世話になりました。すばらしい時間をありがとうございました。   絵本コーディネーター東條知美

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  • 14 Jun
    • ☆雨が降ります。くまちゃんはたしかめます。~『あめのひのくまちゃん』(アリス館)

      行動範囲の狭い子どもにとって“いつもあそぶ場所”は、自分のお家と同様、「全世界」といっても大げさではありません。 「この雨で、ぼくの世界が変わってしまうのでは・・・」 まだ言葉にならないけれど、ちょっぴり不安になったくまちゃんが“この目でこの足でたしかめに行く”..... 小さなくまちゃんの、大きな冒険の物語。可愛らしい絵本でみつけました。  ☆『あめのひのくまちゃん』(高橋和枝/作 2013年 アリス館)    ある日の夕方、くまちゃんは、おうちの窓から雨の降るのを見てつぶやきます。 さっきまで あそんでいた のはらは いまごろ どうなっているのかしら  心配なくまちゃんは、おかあさんの許しをもらって夕方の散歩に出かけます。 (いったん帰宅してからの、夕方のお散歩です。小さなくまちゃんにとってはまさに冒険!)    くまちゃんは見ます。  野原で雨にはしゃぐカエルを、池の底から「あめのわっか」を見上げるカニの親子を、  林の中で雨のにおいに気づいた子リスを。   ・・・・・ ああ、そうでした!  これまでに何百回もの“雨”を過ごしているうちに、すっかり忘れてしまっていたけれど。「雨で、世界が変わってしまう」というのは、けっして大げさなことではなかったのです。  大人になったわたしは、あの頃の“雨”を体ごと思い出そうと、目を閉じて耳を澄まします。  音を変え、色を変え、温度を、においを変える  暗くて寒くなれば、ちょっぴりさみしい気持ちにもなる  世界をまるごと変えてしまうあのころに感じた、‟雨”を。  ・ ・ ・ ・ ・  しとしとしとしと  しとしとしとしと 雨の日の、小さなくまちゃんの大きな冒険の物語 。  ぜひどうぞ。    絵本コーディネーター東條知美

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  • 08 Jun
    • ☆雨だってさびしいの。~『おんなのことあめ』(ほるぷ出版)

      関東地方が梅雨入りです。 じめじめして洗濯物は乾かないし、駅に着く頃には泥はねだらけ、一日中グシャグシャの髪型、満員電車でびっしゃびしゃのビニール傘に襲われ、もうどうにでもなれ...... そんな日々のはじまりです。 ... 暗い。冒頭から暗すぎてすみません。  きらわないで・・・ あめだって 悲しいのよ・・・  雨音にまぎれて、どこからか物悲しげな声が聞こえてくるような・・・・・・チェコ発の 深い味わいをもつ、美しい絵本をみつけました。   ☆『おんなのことあめ』ミレナ・ルケショバー 文 / ヤン・クドゥラーチェク 絵 / 竹田裕子 訳(ほるぷ出版)  おんなのこがみちであめにであいました。あめはおんなのこと遊びたいのに、家のなかにはいれません。あめはかなしくなって泣きだしました……。チェコの人気作家による情緒豊かなあめの絵本。(※出版社ホームページより) * * * * * * * *  ちょうど40年前、1977年に同出版社から日本語版として出されるも 長らく絶版となっていたこちらの作品が、2013年に復刻版として再登場しました。  チェコの絵本作家といえばミルコ・ハナーク、イジー・トゥルンカなどが絵本好きには知られていますが、こちらのヤン・クドゥラーチェク も本当に素敵です。この絵本にはどんな「雨」が描かれているのでしょうか。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (本編より)だれかに あいたいな・・・・・・だれか いないかな・・・・・・  一人で歩くさみしげな女の子のもとに、雨はやってきます。  雨は女の子に「いらっしゃい」と言われ、ついて行きますが女の子を見失ってしまいます。  泣きだす雨。窓を、屋根をたたく雨。  おじさんには(しずくを)迷惑そうに振り払われ、ちょうちょや鳥も逃げ隠れてしまいます。  あめが さびしそうに ふっています。   ・・・そこへ現れたのは、「れいんこおとを きた」 あの女の子。   「あめさん あめさん このゆび とまれ!」   女の子が雨を連れて行った その先に 待っていたものとは・・・?  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・  そう、雨をあんまり嫌ったら可哀想。この季節にしか味わえない“雨との交歓”を、今年はさぐってみようかな。  6月は、すてきな「雨の絵本」を中心に紹介してまいります。  絵本コーディネーター 東條知美  

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プロフィール

絵本コーディネーター東條知美

性別:
女性
自己紹介:
東條 知美(とうじょう ともみ) 絵本コーディネーター・学校司書・ライター・イベンター ...

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