9/2
十五夜を描く最新作は阿南市在住作家・羽尻利門による「観月祭」。
なんて美しい風景。
大衆の一人一人、木の一本一本をみつめ包み込む作家の眼差し。
この眼が物語に命を吹き込んでいます。
胸を打たれました。
楽しい遊びも各所に(そぉっと)仕掛けられていますよ♪
☆『つきみのまつり』
(羽尻利門/世界文化社)
9/10
東洋思想を学んだ作者による「禅の心」にもとづいた話が、パンダから3兄弟に向けて語られる絵本。
(とはいえお説教くさいものではないので安心あれ)
盗人にとり残されし窓の月(良寛)
新潟生まれの私としては、良寛さんの逸話をオマージュしたお話が語られているのも嬉しい。
◇『パンダのシズカくん』
(ジョン・J・ミュース 作、絵/三木卓 訳/フレーベル館)
***
9/11 【平和を祈る日に】
イラクの子どもたちの描いた絵に、谷川俊太郎が詩を添えています。
誰が誰の敵なのですか
2003年3月からはじまったイラク戦争。
子どもの目が心が見た「戦争」、家族への愛。
言葉にできない感情を、絵は雄弁に語ります。
わたしたちのかなしみを あなどらないでください
人の命は大事だとくり返さなければならない
命はくり返せないとくり返さねばならない
傷つけられ奪われたイラクの子どもたち。
かれらの絵を前にした詩人・谷川俊太郎の言葉は、氏のほかのどの言葉よりもまっすぐに感じられました。
◇『おにいちゃん、死んじゃった :イラクの子どもたちとせんそう』
(谷川俊太郎 詩/イラクの子どもたち 絵/日本国際ボランティアセンター 協力/2004年 教育画劇)
***
9/13
◇『魔笛』
(ミヒャエル・ゾーヴァ画/那須田淳文/講談社)
パミーナ姫を救うため、王子とパパゲーノ(嘘つき鳥男)は旅に出る。
太陽の神殿には、「理性」「叡智」「自然」の3つのドア。
《試練を乗り越え、真実の心をみつめることができたなら》――
難解なオペラだけど、これ……
今夏のジブリ映画『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)は、このモーツァルトのオペラ『魔笛』を下地にしているのではないかな。
*
ドイツの風刺画家ミヒャエル・ゾーヴァのファンは多い。(かくいう私も一枚のポストカードからゾーヴァの大ファンになった)
日常をチクリと刺す。小気味よい皮肉とユーモア、対象への愛―。
ゾーヴァがオペラ「魔笛」('98)の舞台美術と衣装草案を手掛けた際に描き下ろした原画を使い、物語化した絵本。
***
9/14 【コスモスの日】
こちらの絵本のテーマは「お月見」ですが、表紙に描かれるのは一面のコスモス畑です。
花の上を飛び回る“かぜっこ”がキーマンとなり、十五夜の演出に一役買うのです。
子どもにとってはドキドキの冒険・疑似体験。
おとなには懐かしさで胸がいっぱいになる秋の絵本。
☆『おつきみ』
(あまんきみこ作/黒井健絵/ひさかたチャイルド)
女の子と猫が動きます!
十五夜は、秋の収穫を喜び感謝する日。由来を親子で話すもよし、もし本当に悪天候だったら……せめて絵本でお月見しましょ🎑
読みきかせにもぴったりですよ。
***
9/15 【敬老の日】
人生いろいろ。おばあちゃんもいろいろ。
ここにはパワフルな主人公の他、20数名のおばあちゃんの姿が描かれています。
みんな素敵!
歳を取るのはたいへん。
でもそれはしっかり生きた証拠。
孫との会話が胸にしみ入ります。
☆『おばあちゃんがおばあちゃんになった日』
(長野ヒデ子/童心社)
長野ヒデ子 さんにお話を伺った際のブログを貼ります。もう十年近くも前のことになります。
いつも元気はつらつオーラで周りを照らす長野さん。
かっこいい✨
この時「私、おばあちゃんがおばあちゃんになった日の絵本を作りたいのよ」と仰っていました。
***
残暑が長すぎる
今日この頃ですが、みなさまお変わりありませんか?
わたしは、変わったところもあれば
変わらないところもあり(当たり前のことですね……)
相変わらず愚直に、何があろうと楽しむぞという心意気で生きております。
山で子鹿に出会いました。かわいかった。
秋。
読書の秋ですね。
バリバリ読んで、バリバリおすすめしていきますよー😊📚
絵本コーディネーター東條知美