『消費税upの前に買っておきたい〈1,500円以上の絵本〉15選』も、残すところ5冊となりました。
では、どうぞ!
・・・・・・・・・・・・・・・・
⑪『ぼんさいじいさま』
作絵:木葉悦子 出版社:ビリケン出版 税込価格:¥1,680 発行日:2004年
しだれ桜の盆栽と小さなお爺さん。そこに春の光を金色の絵具であらわした表紙絵がたいへん美しいこちらの作品。
作者の故・木葉井悦子さんは1995年に逝去されました。エネルギッシュで強く優しい女性であったと(生前親交の深かった作家さんから)伺ったことがあります。
春の山にあふれる草花や生きものたちの生命力を見開きいっぱいに描きながら、それと対極にある“死”というものが、穏やかにやさしく、静かに描かれています。
「じいさま、きょうのことは、ずーっと前から きまっていました」
「おお、そうだったのかい」
1984年に偕成社より出版されたものを2004年にビリケン出版が復刊。
身近な、あるいはこの果てに在る“死”を思うために…個人的にも大切な一冊です。
(※現在一時的に品切れかもしれません。すぐ入手できない場合はゴメンナサイ。3/17)
⑫『どうぶつえんガイド』
作絵:あべ弘士 出版社:福音館書店 税込価格:¥1,680 発行日:1995年
話題の旭山動物園で「20年間飼育係の仕事をしていた」という前歴を持つ、絵本作家のあべ弘士さん。
一般的にはあまり知られていない動物の実体も含め、ユニークに描かれています。
これから暖かくなる季節。
大人も子どもも動物園に出かけて行って、実際にこの目で確かめたくなる!そんなワクワクした気持ちを呼び起こしてくれますよ♪
「らくだのこぶは、お弁当」
全編に渡り、添えられる“ことば”にも気配りされた「絵本」。
動物を描くタッチが全部違っているところも面白く、たいへん工夫されています。
物語絵本以外のもので、何かいいものないかな?という方にオススメの一冊!(*^_^*)
⑬『オルゴールワールド』
作絵:にしのあきひろ 出版社:幻冬舎 税込価格:¥1,680 発行日:2012年
(あらすじ)
空中帝国に住む少年カンパネラは、ある日、自分の住む場所のはるか下の森に女の子を見つけます。「森には細菌がたくさんいるから人間は暮らすことができない」と学校で教わったその森に、女の子は住んでいました。
30歳になった青年カンパネラは、帝国の極秘任務で、森の地質調査を任されます。大人になった女の子に会いに行ったカンパネラは、この森の住人たちが持たない「好き」という言葉、そして自分の住む空中帝国にはない「アンモナイトのオルゴール」が奏でる音楽について知ります。
それから50年。長い長い年月をかけてカンパネラ爺さんが起こした奇跡とは……
こちらの作品は文章の分量が多いので、小さなお子さんがひとりで読むのはむずかしいと感じられるかもしれません。
けれども各見開きに黒ペンで描き込まれたシーンの数々には、
すみずみにあるモチーフ、描かれる人物ひとりひとりについて…何かしらの“物語”を思わず読み解きたくなる。そういった衝動に駆られる…
そんな魅力にあふれた「絵本」であると思います。
絵本の一番の面白さ(キモ)とは、この“各々で絵を読み解く想像力”にあるのでは。
(そういった意味では、画力のある作者には今後「ことばをぐっと絞った」絵本作品にも期待したいところです。ぜひ!)
実際に作者のにしのあきひろさんも、
「(エキストラ的な)人物を小さく描く際にも「コイツは何歳くらいで、こういうやつで…といちいち設定しながら描いているので余計に時間がかかります」とお話しされていました。
一枚絵がすごい情報量をもつと感じられる所以は、作者自身の制作時におけるこだわりのあらわれなんですね。
ちょっとビアトリクス・ポター(『ピーターラビット』シリーズを描いた100年前の作家)のことを思い出したりもしました。
「異なる世界に住む人間が理解し合うにはどうしたらいいのか」
なかなか答えの出ないこのテーマを読み手に問いかけながら、力強く、たしかな希望をあたえてくれる……
そんな一冊です。
☆にしのあきひろさんの創作秘話については、3名のクリエイターによるトークイベント『僕らの絵本~だからなんだ!』(2013年1月@B&B下北沢書店)の記録をご覧ください♪
東條が企画進行させていただきました。
http://ameblo.jp/bokurano-ehon/entry-11474568806.html
出演:なかえよしを(『ねずみくんのチョッキ』シリーズ作者)、にしのあきひろ(吉本クリエイティブエージェンシー所属)、西浦謙助(ミュージシャン)