トコジラミに気を取られすぎていた。
気をつけようとは思っていたのに。
まんまと「ヤツら」に住みつかれた。
これは、トコジラミ以外にも我が家を根城にした憎き「ヤツら」との戦いの記録。
トコジラミがいた!番外編。
我が家は都心の住宅街にある。
周囲に自然が多い環境ではない。
なのに何故、こうも虫と戦わなければならないのか。
ベランダに出たわたしは、部屋に戻るとドアを閉め、ため息をついた。
アシナガバチに巣を作られてしまった。
アシナガバチに巣を作られたのは、実は三回目だ。
毎回、同じ場所に作られる。
ベランダを覆う、ひさしの下。
我が家にはベランダが二ヶ所ある。
片方は毎日使っているが、もう片方は特に使っていないので、そちら側のベランダに出ることは滅多にない。
で、久しぶりに出てみたところ、アシナガバチに巣を作られていたというわけだ。
(ハチ除けスプレーを撒いておこうと思っていたのに、うっかりまだ撒いていなかった)
まだ巣は大きくない。
だが、すでベビー達がご誕生なさっていた。
アシナガバチの巣はスズメバチの巣と違いオープン形式なので、下からベビーの皆さんの姿が見える。
うにうに、うにうに。
それは、とてつもなく気持ちが悪い光景だ。
しかし、大丈夫。
わたしの中で、ハチとの戦い方は確立している。
選択肢は一つだ。
それはずばり、
経済力で戦う!
トコジラミと違って、お金を出せばアッサリ駆除できるハチっていいな。
トコジラミ被害に遭う前はハチに巣を作られただけで「うわー」となっていたけれど、トコジラミ経験者となった今では、ハチくらいなんてことない。
駆除業者に電話を一本かければ、その日のうちに勝利が確定するのだ。
楽勝だ。
以前も頼んだ業者に連絡をした。
ちなみに、この業者から来る人は皆ものすごい軽装で来る。
わたしは、ハチの駆除は当然防護服でするものだと思っていたのだが、普通のTシャツ姿で来るのだ。
今回の人も、Tシャツで来た。
長袖ではあるものの、色は黒。
黒はハチが攻撃してくる色だと言われているが、良いのだろうか。
そして、顔に防護ネットがある何かを被るでもなく、顔丸出しで駆除作業に入る。
アシナガバチよ、君らは甘く見られているぞ。
こちらの心配をよそに、Tシャツ姿の彼は、虫取り網と殺虫スプレーだけでアッサリと駆除を完了した。
ありがとう!
しかし、支払いのときになり、わたしは一つの疑問に直面した。
前回の請求書にはなかった、謎の加算がされていたのだ。
それが何かと問うと、業者の彼はこう答えた。
「脚立を使ったので、高所加算がつきます」
ああ、そ、そうですか……
もちろん、そのとおりに支払った。
しかし、だよ。
前回来てくれた業者のお兄さんは背が高く、脚立を使わなくても巣に手が届いた。
今回の巣も前回と同じ高さの所にあったのに、来たお兄さんの背が低かったため、脚立を使わないと手が届かなかった。
なのに、脚立を使ったか否かで加算金の有無が変わるのはおかしくない!?
来てくれた人の身長によって金額が変わるという、
まさかの
身長ガチャ!
もし再び蜂が巣を作ったら。
もちろん、わたしは再び業者を呼ぶだろう。
そのときは、やって来た業者さんの背の高さを見た瞬間に
「当たった!」
とか
「ハズレた!」
とか思ってしまうだろうなぁ。
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