


「一度信頼を裏切られると信頼回復は極めて困難」
と言われるけれど、
本当だなぁとしみじみ思う。

✻✻✻✻✻
これまでのあらすじ∶
トトリの夫(オトト)が浮気をした。
犬の散歩にかこつけて出かけては、近所の女と会っていたのだ。
すったもんだの末、
最終的には夫婦関係再構築の道へ。
幸せを取り戻したトトリ家だったが、
時が経ち、またしてもオトトに不穏な気配が……?
トトリは、オトトがウォーキングにかこつけて出かけてはウォーキング不倫をしているのではないかと疑いはじめる。
✻✻✻✻✻

ある朝のこと。
朝食時に、オトトのスマホが鳴った。
電話がかかってきたようだ。
オトトはスマホに目をやると
「あっ」
と小さく声を上げたあと、スマホを持って部屋から出ていった。
――今の「あっ」って何?
しばらくして戻ってきたオトトは、電話の相手が誰だったか言うでもなく、席につき黙々と食事を再開した。
――いや、誰からの電話よ。

そもそも、オトトにプライベートの電話がかかってくることは滅多にない。
(仕事中に仕事の電話はしているけど、こんな始業前の時間にかかってきたことはない)
電話が来るとしたらたいてい義妹から。
義親のことでの連絡だ。
でもそんなとき、オトトは「妹からだった」と、こちらから聞くまでもなく毎回必ず自ら言っていたのだ。
なのにこの日は、
誰からの電話なのか言わなかった。
――なんでよ。
今の電話、誰からよ。
聞きたかったけど、聞いても無駄だと思った。
もし電話の相手が「都合の悪い相手」だった場合、
聞いたところで正直に話すわけはないのだから。

ところで、オトトは車で遠出をするのが好きだ。
普段の週末でもわりと遠出をするが、三連休ともなればなおさら、絶対に遠出をしようとする人だ。
しかし1月の三連休、
オトトはどこにも行こうと言い出さなかった。
こんなことは初めてだった。
そしてその連休中、
オトトは長時間のウォーキングに毎日3回も出かけていったのだった。
ウォーキング、多すぎない?
長すぎない?
そんな疑問が頭に浮かんだけれど、
やはり聞いても無駄だと思った。
「別に多くないよ。長くないよ」
そう答えるだけだろうから。

一つ一つは、本当に取るに足らない小さなことだ。
だけど、こんな小さな違和感が
日々着々と積み重なってゆく。
そうして積み重なった違和感の山がいよいよ崩れそうになったのは、ある朝のことだった。
その日、出勤すると言って出かけたオトトを玄関で見送り、ドアを閉めたのだけど……
なぜだか胸騒ぎがして。
そっとドアを開けてみたところ、
え!?
わたしの目に入ったのは、
バス停と逆方向に歩いていくオトトの姿だった。
ちょっと!
出勤するなら、バス停は逆方向よ!
どこに行く気よー!
つづく
夫の浮気話を最初から読むなら↓



