子どもの頃からピアノを習っていた。

 

一番好きな曲は、ショパンの「革命のエチュード」。

 

 

この曲は、ポーランド人のショパンが、ロシア帝国への革命失敗に対する「絶望と怒り」から作ったと言われている。

 

「特に革命を意識して作ったわけではない」という説もあるが、あの激しい旋律は確かに「絶望と怒り」を表しているようにわたしには思える。

 

だから、トコジラミと対峙するとき、この曲がわたしの中で鳴り響くのだ。

 

 

 

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これまでのいきさつ:

 

トコジラミと戦うトトリ。

 

寝室にハエ取り粘着テープを貼りまくった。

 

が、トコジラミ捕獲ならず。

 

*****

 

 

 

 

ネットを見ていて、気になる記載を見つけた。

 

トコジラミ経験者が、役に立ったものと意味がなかったと思うものを書いていたのだが……

 

意味がなかったものとして、「寝具回りに貼った粘着テープ」を挙げていたのだ。

 

えっ、これ意味ないの?

 

 

 

 

その人は粘着テープで1匹だけは捕獲できたそうなのだが、「そいつがたまたま特にマヌケで不注意なヤツだったのだろう」みたいなことを書いていた。

 

基本的には、意味がないと。

 

 

えーー!?

 

でも、実際にハエ取り粘着テープで何匹も捕獲している人たちをネットで見かけたんだけど……

 

 

 

 

どういうことだろう。

 

まさか、珪藻土を撒かれたら珪藻土に強い「外骨格を硬くしたタイプ」が誕生してきたように、多くの人が粘着シートを使ったから粘着シートに強い「足腰強化タイプ」が誕生してきているのだろうか。

 

まさかね……

 

 

しかしこれ、本当に意味ないわけ?

 

寝室に貼りまくった粘着シートを前に、わたしはしばし呆然としてしまった。

 

 

 

 

 

だが、しかし。

 

 

 

ある日、シーツを替えようとマットレス側面の粘着シートをはがしていたときのこと。

 

ベッドの頭側につけていた粘着シートに、何か小さな物がついていることに気がついた。

 

ほこりか何かだと思って一瞬スルーしかけたけれど、ふと思い立ち、そのシートに顔を近づけてみた。

 

よーく見てみると、それは……

 

 

 

「これ、幼虫じゃないのーっ!?」

 

 

 

 

 

わずか2~3ミリのそれは、間違いなく、トコジラミの幼虫だった。

 

 

ついに捕まえた。

 

ついに。

 

ついに。

 

ついに捕まえたのだ、わたしは!!

 

 

粘着シートの罠にはまった、

 

 

特にマヌケで不注意なトコジラミを!

 

 

頭の中で、「革命のエチュード」が鳴り響いた。

 

 

 

トコジラミとの戦いの模様を最初から読むなら↓