《絵本作家》レナート・ヘルシング(Lennart Hellsing)を偲んで@前編 | 北欧スウェーデン語の絵本屋さん《Bokhandeln Blog》

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スウェーデン絵本界における巨匠、
レナート・ヘルシング(Lennart Hellsing)が
2015年11月25日に亡くなりました。

といっても、日本で彼のことが紹介されるのはかなり稀。
レナート・ヘルシングって誰?な方も多いかと思います。

そんなわけで、ここで少しだけ
スウェーデン絵本界における
偉大なレナート・ヘルシングについて
簡単に紹介させていただきたいと思います。

こんな感じの方です。



ちょっと悪そうですが、立派な児童文学作家です。
晩年まで精力的に作家活動を続けていました。

日本でレナート・ヘルシングが紹介されない理由
お世辞ではなく、世界を牽引する絵本大国の
スウェーデンで大きな支持を得ていながらも
日本にその存在があまり知られていないヘルシング。

それは、スウェーデン語独特の言い回しを
楽しむことを得意とした作風のためかと思います。
専門家ではないから断言できないけど。

レナート・ヘルシングの文章は自由自在。
言葉遊びとか、言葉のリズムを大事にしていて、
本来の文法や正しい単語の綴りから
逸脱することをためらわないのです。

辞書を片手に彼の絵本を読んでも
辞書に載っていない言葉のオンパレードだったり。


たとえばこの「Summa Summarum」という絵本は
詩集に近い作風の絵本なのですが、
もうタイトルからして辞書を引いても
自分にはどう訳せばいいかわかりません。

彼の作品の持つ微妙な言葉のニュアンスを
そのまま日本語に翻訳しようとしてもうまくいかないので、
日本語翻訳版がなかなか出てこなかったわけです。

日本におけるレナート・ヘルシング
とはいえ、日本語に翻訳された作品もゼロではありません。
ストーリーがわかりやすいものが日本語訳されていますので、
いくつか紹介してみたいと思います。


日本でも人気の高いグスタフスベリ社の陶器作家、
スティーグ・リンドベリ(Stig Lindberg)が
イラストを担当した絵本「Krakel Spektakel köper en klubba」。

直訳すると、「クラーケル・スペクターケル君、
ペロペロキャンディを買う」といった感じですが、
日本語だと「ちゃっかりクラケールのおたんじょうび」。

日本語版も出ていたり、
黒いカバー表紙が映えたりするので、
日本国内のオシャレな古本屋でも
時折見かけることがありますね。

たいていの場合は「スティーグ・リンドベリ」に
フォーカスが当たってしまうかと思いますが。


そしてこちらもスティーグ・リンドベリとのコンビ作品、
Musikbussenで、直訳すれば「音楽バス」。

日本語だと「にぎやかな音楽バス」で、
ほぼそのままのタイトルですね。

ほかに日本語版が出ているのは、
スベン・オットーという方がイラストを担当した
「かぼちゃひこうせんぷっくらこ」という作品で、
これはとってもわかりやすいストーリー。
(もし興味があれば検索してみてください)

ここまで読んでみると、
スティーグ・リンドベリとのコンビ作品が2作品。

スティーグ・リンドベリとヘルシングが
名コンビかと思われるかもしれませんが、
ヘルシングの真の相棒は彼ではない!

では一体それは誰なんだ?ということで
ヘルシングにとっての真の相棒については後編にて。

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mvh ビョルネン・ソベル