サポートしているプロ選手が海外移籍する。
当たり前だけど、国内での移籍とは訳が違います。
何が違うかというと、『変わるもの』の数が圧倒的に違う。
それこそ桁違いに。
環境が大きく変わる時、変わるべきものと変わってはいけないものは確実に存在します。
そこを外してしまうと、その競技”以外”の要因でパフォーマンスが発揮できないという状況を生んでしまいます。
今回はそんなお話。
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※バンクーバーでの講義の様子
変わるものが多い時は、変えるべきでないものに着目しなければなりません。
たくさんのものが変わる時には本来変えなくていいものまで変わってしまう、変えようとしてしまうものです。
※バンクーバーの仏像
だから僕は選手が海外に移籍する時には、変えるものと変わるもの、そして変えないものをしっかり分類するように伝えます。
そのためにはまず移籍によって変わるものと、移籍しても変わらないものを分類しなければなりません。
移籍によって変わるものを簡単にまとめると、
■競技面
チームそのもの
ウェア
言語
チームメイト
監督などスタッフ*
練習環境
移動手段
戦術
チームが受け継ぐ歴史
チームが求める在り方
サポーター(ファン)
メディア
相手
相手のサポーター
レフェリー
その国の競技への位置づけ(社会的位置づけや役割)
などなど軽く挙げるだけでもたくさんあります。
これらの多くの項目は、国内移籍でも当てはまると思います。
次に、競技以外。
海外に移籍することは、つまり海外に住むことを意味します。
だから、全ての環境が変わります。
■移籍によって変わるもの(競技以外)
言語
住居
目にする文字
メディア
周囲の人々の考える常識
気候
食材
調味料
水
通貨
日本にいる友人たちとの物理的距離
移動手段
住んでいる街の地理
外食の選択肢
買い物の選択(何をどこに買いに行けばいいかの知識)
その他、様々な社会的ルールやマナー
細かいですよね。
でも移籍するつまり住む国が変わることで、必ず変わる事柄たちです。
重要なことは、これらの項目の大半が日本にいる間にはノンストレスでやれたものです。
※イタリア警察署での食事場面
海外に移籍した初期は、これら全てにちょっとずつ手間がかかります。
「ちょっと目薬買いたいな」
@日本→ドラッグストアへGo。
@海外→どこで買えるんやろか。その店はどこにあるんやろか。そこへはどうやって行けばええんやろか。どの目薬買えばええんやろか。店員さんに聞いてみよ、あ、目がかゆいってここの言葉で何て言えばええんやろ。。
生活拠点が変わるというのは今までストレスの対象とならなかったものが、急にストレッサーになることを意味します。
食事などの変化、つまり食材や調味料、水の変化は内臓(消化器系)にもこれまでになかったストレスを与えます。
移籍するということは、身体的にも精神的にも、競技内外でも変化が多く、それらの変化がストレスとして競技に影響を与えます。
だから、変えないもの変えなくていいものの重要性が高くなります。
特に移籍初期、チームおよび生活環境に”適応”していない時は重要です。
※イングランド
移籍する時には、「海外用」に身体を大きくしたりなどの準備をしようとする選手もいますが、順番はちょっと考えたほうがいいです。つまり移籍初期にはまだそこは変えるべきではない。
僕はサポートしている選手には、肉体をなるべく変化させずに、環境に慣れるまではコンディショニングにとにかく重点を置くように指導しています。
海外に行く時は変わるものが多すぎます。
些細なこと全てが小さなストレスとなって積み重なります。
とにかく変化が多くて、変化はストレス要因です。
そこに肉体まで変化させてしまうのではなく、むしろ維持に重点を置いた方がいいです。コンディションの維持です。
何かが上手くいかない時、クリアしていくには必ず原因を探らなくては行けません。
食当たりを起こした時、1品だけしか食べてなかったら必ずその品が原因です。
しかし何十品も食べていたら何が原因かがわかりません。
評価(原因を探る)する対象は少なければ少ないほど明確になります。
移籍初期はとにかく新たな環境への適応を最重要に。
つまり変化を起こさなくて良いものは、ちょっと後回しに。
変化する要因を最小限に抑える方が得策です。
そんな話を選手としました。
移籍する機会に出会った時には、”変化させないもの”という視点にも目を向けてみるといいかもしれません。
*ちなみにチームのメディカルも変わるので、セルフケアを自分でどれだけのレベルまでやれるかの重要性は、ものすごーーく高くなります。
チームのトレーナーさんだけに任せっきりだった選手は、今からでもセルフケアを覚えましょうね。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
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