前回の記事をまだ読んでいない方は、先にこちらを。
今回の内容の前提条件になります。
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僕は普段はJARTAという組織(会社)の代表として振る舞いますし、パーソナルトレーナーとしての仕事の場合は個人として振る舞います。
しかし仕事柄、組織の一員になることもあります。
例えばフィジカルコーチとしてチームに所属した場合は組織の一員としての振る舞いが求められます。
そんな時に、ある意味では仕事の役割を超えた部分で大事にしていることがあります。
それは「組織のカラーに対する自分の役割分担」です。
書きながら表現を思いついたので、そもそも「組織のカラーに対する役割分担」という言葉なんてありませんが笑
チームのトップつまり監督が、とにかく厳しい人だった場合を例にとると、組織としてのカラーは「厳しい雰囲気」が基本カラーになりがちです。
逆に監督がそれとは真逆のスタイル、例えば怒りをあまり表現しないパターンだと、組織のカラーは優しい、言い方を変えれば「ぬるい雰囲気」になりがちです。
どちらが良い、悪いということではありません。
要はそういう基本カラーが強ければ強いほど、または強くなっていくことで、チームの思考・行動・反応パターンは固定化していくのが問題なのです。
それはチームの殻の膠着化を意味し、その集団の成長(つまり破壊と再構築)の妨げになりかねないということを意味します。
また、試合という視点から考えると、思考・行動・反応パターンの固定化は、固定化しているが故に予測されやすいという特徴があります。
僕が相手チームであれば、必ずそこを突いて相手の得意なパターンから逸脱させていきます。
*例えば審判の理不尽な判定や相手の挑発に対してトップが激昂すればチーム全体が苛立つ、または消沈もしくは浮き足立つチームってありますよね?
本筋と少しずれたので話を戻して。
これはトップが良い悪いという意味ではなく、組織でありトップという役割が存在する以上、必ずこの傾向は内包します。
トップが優秀であればあるほど、そうなるのかもしれません。
だからその基本カラーに対しての役割分担が重要なのです。
基本カラー(チームの方針)に属しつつ、そこで違うカラー(価値観)を提示する。
和して同ぜずです。
トップが怒る人であれば、フォロー役を。
トップがフォローの人であれば、自分が怒る役を。
いやいや、「自分はこういう人間だから」そんなにコロコロと変えられないよ、と思う人もいるでしょう。
厳しく育てる、褒めて育てる、という基本スタンスは誰にでもありますし、自分を貫く、自分らしく、という言葉も確かに大切です。
しかし組織の一員として振る舞う以上、組織がどれだけ良い状態を保ちどれだけ成長していくかが最優先事項です。
だから僕の場合はその組織においては組織に合わせて自分が役割を変えることを徹底します。
本質を変えるのではなく、組織がうまく動くためのアウトプットを選択するイメージです。
自分らしく、だけをやりたい人は、トップをやるか個人でやるしかありません。
または自分らしくと組織内の役割が完全に合致する組織を選ぶのもアリかもしれません。
*僕の場合は複数の組織を掛け持つのでこのような考え方になるのだと思います。
しかし組織内でどんな役割を担うにせよ、「自分はこうだから」ではなく、「組織のカラーがこうだから」が前提にこないと、単なる「トップとスタッフの方針の違い」というレベルに成り下がるリスクは生じます。
この辺りはそれこそ各々の価値観かもしれませんし、どう考えて組織を構成するのか次第ではあります。
ただ、業務としての役割や能力だけを見て人を集めるのが組織づくりではないことは確かです。
組織は個の集まりであると同時に個が関係しあってミッションを遂行する一つの運動体でもあるからです。
いずれにしても、基本カラーにスタッフ全員が染まることはあまり良い傾向ではありません。
これはつまりトップの醸し出す雰囲気に全員が染まる状況のことです。
これって、一体感のように見えて、(極端な表現をすれば)実は思考停止や迎合に近づく、または組織として隙を生み出すベクトルです。
”厳しいトップ”がいる組織を例にとると、例えばこれはトップに「異議あり」を言えない雰囲気であり、意見を言えないスタッフばかりになるケースが生まれます。
→両者に原因あり(下記参照)
どんなに優秀な人が生み出した発想や戦略だって、初めから完全に完璧、どんな状況にも対応できるということはありえません。
その人とは違う立場の視点や価値観から盲点や弱点を指摘されてより良いものになっていきますし、そうすることによってあらゆるケースに対応できるものになっていくのです。
意見が出ない、議論できない組織は、短期または長期的な変化に対する適応力・成長力は脆弱なものになっていきます。(家族という最小単位の組織も同じことが言えます)
ごちゃごちゃ書いてきましたが、要するに組織の多様性を常に担保・容認し続けなければ、適応能力や成長を阻害してしまうということです。
自然界と同じ摂理です。
トップの人格は素晴らしい、だからトップの意見も素晴らしい、と思ってしまうときほど要注意です。
誰もが納得し、誰もが素晴らしいと思うような雰囲気があるときほど、「あえて違うスタンス」に立てるスタッフは組織にとってものすごく重要な存在になっていきます。必ず。
*トップにとってはめんどくさい存在でもあるけれど。
組織が単一カラーに染まっていくこと、トップの考えに対する議論が起きなくなっていくこと。
もちろんそうなるにはトップとスタッフ両者に原因があると思います。
最後に簡単にまとめておきます。
トップ側の原因>
心理的安全性を保証・実感させられていない。
心理的安全性を保証できていないとは、トップに意見した時にその場で論破または叱責されること。またはその後の扱いにネガティブな変化が生じる状態です。
逆に何を言っても反応(変化)が薄い場合も当てはまります。
「意見言っても無駄やん」となる心理には過剰反応・無反応のどちらも理由となります。
どんな意見であっても立場が違う存在からの意見は聞く価値あるはず。
トップであれば「一言目」はとにかく肯定表現から。
意見に対する結論は、採用・不採用に関わらず明確に提示する。
スタッフ側の原因>
意見を言えるぐらい論理性を持てていない。
数字や統計、または論理性で表現できていない。
またはプロ意識よりも恐怖心が優っていることを自分に許している。
または仮に自分が否定されてもチームが良くなるのなら、という覚悟が足りない。
誰かが言うだろう、いつか変わるだろうという群集心理。
自分が言うべき立場にない、という過剰な自己否定。(または意見をしないことの正当化?)
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組織の基本カラーを読み取り、全体としては染まりつつ、全体が染まらないように振る舞う。
行動・思考・反応パターンが固定化するのを防ぐ。
和して同ぜず。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
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