今、多くのトレーニングの中で「身体の使い方」という言葉が使われるようになっています。
身体の使い方。
僕はこの「身体の使い方」という表現そのものにもちょっと違和感をもっています。
だから身体操作という言葉を使っています。
(理由はまた今度書きます)
また、まるでトレーニングの1つの分野のように扱われていることにはもっと強い違和感をもっています。
どんなトレーニングでも全部、身体操作です。
→理由。
それぐらい身体操作は全アスリートに必ず関与するものですが、今回はその「身体の使い方トレーニング」のリスクについて書きたいと思います。
いやいや、JARTAでも身体操作トレーニング推してるじゃないの!
って思われるかもしれません。
だからこそです。
だからこそ、そのリスクを踏まえてやる必要があるのです。
逆にいうとそのリスクを踏まえてない身体の使い方トレーニングはパフォーマンスを落とすこともあり得ます。
いや、かなりの確率で落とします。
俗にいう身体の使い方トレーニング。
トップ選手は試合でこのように動いている。
試合でこのような動きが出ている。
だからこのように動こう、このように身体を動かそう。
一般的に基本方針としてそんなスタイルです。
結論から言うと、トップ選手が試合で出している動きは、「結果」です。
重力下でハイスピード・ハイパワーで動く中であらゆるフォースを受けた結果、出ている「現象」です。
そしてそこの基盤には、ボールや相手や重力や自身の体性感覚などの認知機能があります。
だから、腕がこう動いている、体幹がこう動いている、脚が、股関節が、こう動いている。
だから、身体の使い方トレーニングはそういう動きをやりましょう。。
これをやってしまうと、外見は整うかもしれません。
同じような動きに見えるかもしれません。
でもこれらは所詮、「作った動き」です。
擬似的な動きです。
例えばピッチャーの腕の動きや、サッカーのシュートの脚の動き。
これらはそれぞれ回旋が起こりますが、捻ろうとして捻っているのではありません。
腕の重みや脚の重み、ボールの質量、反射、複数の力の方向などによる合力によってそのような現象が起こっています。
これらは無意識に、自動的にです。
だから、意図的に捻ろうとしてもその内容はずいぶん違ったものになってしまいます。
その動きを構成する力の数があまりにも違うものになってしまいます。
(当然、その結果発生するパワーも)
身体の使い方、を指導するのであれば、ここは絶対に外してはいけないところです。
じゃあ本当にその動きを出したいのであれば、ボールを使った競技練習ばっかりやるのが一番効率いいんじゃない?
ですよね。
身体の使い方トレーニングなんかより、その競技そのものを練習した方がいいかも。
ある意味、これは本質を突いています。
本当に試合で使える動きを習得していくには、極限まで試合に近い状態の環境設定を行うのがベストです。
では、なぜ身体操作トレーニングが重要なのか。
それは、試合に近い環境ではまだ出せない動きを「誘発」するためです。
人間の動きには「パターン」というものがあります。
スポーツにおけるパターンは、速く動こう・大きな力を出そう・正確にボールをコントロールしよう・プレッシャーがかかったなど、主にゆとりのない意図的にコントロールできない場面で顕著に出現するものです。
動きのクセ、と言ってもいいかもしれません。
このパターンが固定化していくと、パフォーマンスは上がらなかったり(通用しなかったり)、スキルの習得を阻害したり、ともすれば怪我の要因になったりするのです。
身体操作トレーニングによって、我々が何を変えようとしているかと問われれば、パターンを変える・使えるパターンをよりその競技で有効なものにしていく、と答えるのが的確かもしれません。
我々JARTAのロジックとしてどのようにこれを改善していくかというと、例えば刺激を使います。
その動き、つまりトップ選手が使っているような、競技で有効に作用する動きを構成する要素・運動・認知を分析して導き出し、それらが自動的に出現するようにします。
言い換えると、それらが出現する条件を整えていくとも言えるかも知れません。
だから時には強調した動きを使うことも。
だから外見的にはその競技の動きとは遠いことも多々あります。
選手から、「サッカーでそんな動きないんですが、、」と言われることもあります。
例えばこんな感じ。
ですが、脳を変え、筋肉の作用を変え、パターンを変えていくためには、必ず必要となる部分です。
長くなりましたので少しまとめます。
「身体の使い方」という名目でフォームを作ったり関節の動きを真似させたり単に外見上の運動方向の負荷をかけたりという方法論では形骸化のリスクがある。→パフォーマンスを落とすことも。
身体の使い方トレーニングは、動きを作るものではなく、動きを誘発するトレーニングであるべき。
見た目が同じような動きができても、その動きを構成する力の数や認知が異なる。
意識してやっているトレーニングは、刺激フェーズ。誘発したい動きの構造を構成する要素にそれぞれ刺激を入れて、無意識に出現するように仕向ける。→自動化。
必ず動きと認知との関連を考慮する。
人間の運動に脳が関わる以上、必ずこういった部分は押さえておく必要があります。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
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