今朝投稿した僕のインスタのトレーニング動画。
アスリートにとって結構重要なことを書いたのですが、もう少ししっかり説明する必要があると感じたのでここで解説します。
それは重心移動の「目盛り」について。
内田樹さんのツイートにもあるように、現代は「粗雑な運動」が中心。
生活においても、主流となっているトレーニングについても。
自分の重心移動の目盛りが、自分の動きに影響を与えているのを感じる機会が少ない。。
いま子どもたちに要求されているのはもっぱら「粗雑な動作の反復」です。「粗雑な動作」というのは「随意筋を機械的に動かす動作」のことです。子どもたちは胸鎖関節の操作、重心の移動、骨盤の旋回、臓器の上げ下ろしというようなことを意識的に訓練する機会がないのです。気の毒なり。 https://t.co/luPFXoPp1Q
— 内田樹 (@levinassien) 2018年8月30日
大人がそれを感じることが出来ていなければ、当然子どもたちにも教えることが出来ません。
特に繊細な重心移動は外見的には非常に分かりづらいものですし。
そこで今回は僕が重心移動の繊細さを選手に会得してもらおうとする時に使っているトレーニングの一部をご紹介します。
このトレーニングは、「クレーン」というバランス系身体操作のトレーニングです。
*JARTAのアドバンスコースでアスリート向けの方法を紹介しています。
クレーンの第一の課題としては、腕に膝を乗せたままハンドスタンドすること。
脇にある前鋸筋という筋肉の力をバランスの中で発揮することが要求されます。
それができたら、次は、捻ったままキープしたり、片足を上げたりしてバランスの難易度を高めていきます。
ここまでは、バランスをとる難しさをシンプルに感じられるプロセス。
それと並行して僕が重要視しているのが、上記に書いた重心移動の目盛り。
言い換えると、バランス感覚の繊細さです。
この動画でやっている方法です。
つま先に体重をかけない、かつ、つま先を浮かさないで、バランスをキープする課題です。
重心移動の目盛りの細かさというのは、イメージでいうと1cmごとに重心をコントロールできるのか、5mmや3mmごとに重心をコントロールできるのかの違い。
どちらが、身体の感覚が鋭いでしょうか。
どちらが、パフォーマンスの微調整や修正能力が高いでしょうか。
もちろん後者です。
自分は重心を大きく移動する競技だからあんまり関係ないかな、と思った人もいるかもしれません。
例えばサッカーとか。
しかし、この自分の重心位置を感じる目盛りの細かさは、パワーの発揮や怪我の防止においてものすごく重要な意味を持ちます。
人間の身体は、ちょっとした重心位置の違いで、筋肉の連動性つまり繋がり方が変わります。
(このことは筋肉の連結だけでなく経絡や筋膜の観点からも説明がつくのですが、今回は選手向けの内容なので省略します。)
つまり重心位置や重心の移動の仕方によって発揮するパワーが変わります。
筋力そのものは別に変わらないのに、「発揮できるパワー」が変わるのです。
筋力=発揮できるパワー
ではありません。
筋力をいくらつけても、試合でパワーを発揮できないケースはものすごくたくさんあるのが現実です。
「発揮できるパワー」つまりアスリートであれば試合で発揮できるパワーには、条件がたくさんあります。
バランスを保持したまま発揮できるパワー。
スピードの中で発揮できるパワー。
ボールをコントロールしながら発揮できるパワー。
などなど。
試合では単なる「筋力の大きさ」では成し得ない能力が要求されます。
*JARTAではこれを「同時発揮能力」としてトレーニングの重要対象としています。
だから本当に試合で使えるパワーを身につけるのであれば、あらゆる重心位置や姿勢で力を発揮できるようにしていく必要があります。
参考に。
▶︎良いフォームのスクワットやランジでは膝は守れない
https://jarta.jp/training/8995/
▶︎”正しい動き” ばかりトレーニングすると怪我をする
https://jarta.jp/training/4631/
重心位置によって発揮できるパワーが変わるのであれば、逆に重心の位置によってパワーが発揮できないこともあるということです。
その位置で無理をすると、膝や足首、肘の靭帯、肩の小さい筋肉、腰の椎間板などが悲鳴をあげることになります。
膝だと、ニーイン・トゥーアウトで踏ん張ることで前十字靭帯の損傷が起こる、などがこれに当たります。
重心位置を含め、ほんの少しの身体の位置関係の違いが、パフォーマンスに大きな差を生み、場合によっては怪我に繋がったりしていることは、選手の身体を直接サポートしている立場からすれば実はものすごく頻繁に出会います。
僕が出会ってきた、「怪我をしない選手」「怪我をしなくなった選手」たちは、今回の動画にあるようなものすごく地味な細かい作業をひたすら淡々と続けられる選手たちです。
*地味すぎて、メディアには取り上げられないのです笑
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
僕はこのような地味なトレーニングから大きな負荷を与えるウェイトトレーニングまでその選手に合わせて指導しています。
いずれにせよ、どれも身体操作という位置付けで指導します。
繊細系から高負荷系。
どれも、身体操作。
▶︎すぐに自転車に乗れない理由。
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12393493841.html
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