こんにちは。

スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。

 

 

 

動きの質とは、どういうことですか?

先日、学生の方から質問をいただきました。

 

 

 

質ですから、質より量のように一般的には量と対比して使われます。

でも、「だから運動の量よりも質が大切」と言いたいわけではありません。

 

 

 

量はもちろん重要ですし、自動化の観点から考えても反復練習で量をこなさなければなければ自動化は起こりません。

 

 

 

しかし、ことトレーニングに限っては、トレーニング動作の質が低い状態で量をこなすと、質がさらに下がる可能性があります。

 

 

 

質が下がる、つまりやればやるほど下手になる。

下手な動きを覚えてしまうリスクがあるってことです。

 

 

 

もちろん、量をこなせば質が高まっていくという観点もありますが(馴化)、それであっても「量をこなしながら動きの質を高めるというスタンス、目的意識」がないとそう都合よく質は高まりません。

量をこなすことが目的になっては本末転倒。

 

 

 

手段の目的化です。

 

 

 

だから、そもそも「動きの質が高い状態とは」を理解していなければ、ゴールまでの距離と方向を知らないまま走り出すようなものです。

 

 

 

では動きの質が高い状態とは。

 

 

 

①それぞれの局面において働くべきところが働いているかつ必要最小限、それを阻害するところは働いていない状態

 

②パワー・バランス・スピード・正確性・内外認識力が同時に発揮できる状態

 

③スピード・パワーが高い状態

*スキルの要因についてはここでは省略しています。

 

僕はこのように定義しています。

この①~③を同時に満たせば満たすほど、さらに動きの質は高いと言えます。

 

 

 

かなり抽象的ですね。。

 

 

 

これはスポーツの動きがかなり多種多様であるため、致し方ないところだとは思っていますが、一例を挙げてもう少し具体的に説明しますね。

 

 

 

特に質の問題になりやすいのが①なので、①を少し掘り下げます。

 

 

 

わかりやすくするために、とてもシンプルな動きであるフォワードランジを取り上げます。

 

 

こんな動き。

西武ライオンズ武隈投手

 

 

 

あ、間違えた笑

 

 

 

こちら。

上半身はちょっと別のことやってるので、無視してください。

 

 

 

一般的にはフォームの良さが質の高さと思われがちですが、僕の考えは少し違います。

 

 

 

フォームが全てではありません。

 

 

 

僕が考える動きの質は、①に書いたように、どこが働いていてどこが脱力できているかが重要です。

 

 

 

外見であるフォームよりもこっち。

 

 

 

それぞれの関節の角度が全く同じでも、踏み出した側の脚のモモ裏(上半分)が働いているのか、モモ前が働いているのかによって、ここから生まれる動きの質はかなり違います。

 

 

 

スポーツのパフォーマンスアップという目的のもとでは、前者が質が高く、後者が質としては落ちます。

 

 

 

あくまでスポーツのトレーニングにおけるフォワードランジという種目においてですが。

なぜモモ前がNGでモモ裏が働くべきなのかはこちらをご参照。

 

 

 

「動きの質」を考えていく上では、外見的には全く同じように見えても、どこを働かせてその外見を生み出しているのかが重要です。

 

 

 

だから極論を言うと、フォワードランジでいう「悪いフォーム」と言われる前側の膝が前に出るような踏み出しであっても、モモ裏(上半分)が十分に働いてモモ前が抑制されていれば「動きの質」は高いと言えます。

 

 

 

スポーツの実際の場面では、そんな動きが要求されることも多々ありますしね。

詳しくはこちら。

「”正しい動き”ばかりトレーニングすると怪我をする」

 

 

 

逆に、どんなに「正しいフォーム」でも、モモ前に入っていれば動きの質は低い。

 

 

 

色々書いてきましたが、要するにスポーツのパフォーマンスアップのためのトレーニングの目的は、「パフォーマンスが上がること」です。

 

 

 

だから、パフォーマンスアップにつながらない動きを誘発しているトレーニング動作は質が低いと言えます。

 

 

 

外見的には同じでも、質によってパフォーマンスアップにつながっている場合と、パフォーマンスダウンにつながっている場合がある。

 

 

 

ここを見極めるのが、トレーナーやセラピスト、インストラクターなどのトレーニングを指導する側における非常に重要な仕事です。

 

 

 

努力は選手の責任。努力の方向性はトレーナーの責任。

 

 

 

ってことは、トレーニングを指導する、トレーニングを実行するには、パフォーマンスが高い状態ってどんな状態のことを言うの?

そもそもパフォーマンスってどういう構造をしているの?

 

 

 

っていう疑問に論理的に答えられる必要があります。

 

 

 

論理的にですよ。

 

 

 

だってトレーナーや指導者は「他者に努力をさせる側」だから。

 

 

 

インナーマッスルを鍛える理由が、「全身が繋がるから」「関節の動的安定性が高まるから」「怪我が減るから」ぐらいで止まっているのは、論理的とは言えません。

 

 

 

多分この方向にゴールがあるから、走って。

 

 

 

そんなロジックで本当に走らせて大丈夫か?

 

 

 

全身が繋がるとなぜパフォーマンスが上がるの?

 

関節の動的安定性が高まるとなぜパフォーマンスが上がるの?

 

なぜ怪我が減るの?

 

 

 

選手にそこまで詳しく説明するかどうかは別問題として、自分が指導する内容にそれぐらいの論理性があるのは当然にしていきましょ。

 

 

 

 

JARTAベーシックセミナーはそのあたりにものすごく重点を置いた内容です。

ぜひ聴きに来てみてください。

http://jarta.jp/apply/basic/

 

 

 

 

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

 

追伸

インナーマッスルは僕も鍛える、働きやすくするべきだと思います。

ただ、同じインナーマッスルのトレーニングでも、「なぜ」を突き詰めてやるのか、なんとなくやるのかの差は実はとても大きいです。

また、動きの質を左右する要因は他にももちろんたくさんあります。

例えば重心位置と荷重位置(足のどこに体重がかかっているか)も、質を左右する要因です。

ベーシックセミナー以外にも、僕の個人的なセミナーでもこのあたりはかなり詳しく解説しています。

選手がいたら選手にもわかるように説明します。

 

投手用トレーニングセミナー

サッカー上半身トレーニングセミナー

 

 

 

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