こんにちは。

スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。

 

 

 

「それを説明できる言葉を、まだ持ち合わせていない。」

 

この表現、僕が好きな作家さんの小説でときどき使われる言葉なのですが、ものすごく好きなんです。

 

 

 

 

 

なぜかって、今、自分が理解できない現象や伝えることができない現象を否定せずに、「ただそれを適切に表現する言葉がない」っていう言い方だからです。

 

めっちゃ謙虚。

そしてめっちゃ科学的。

 

 

 

 

 

例えば目に見えないもの。

目には見えないけど、何かある。

 

 

 

 

 

例えば空気という言葉がまだなかった時代なら、

空気という物質の存在が科学的に立証されていなかった時代なら、

 

 

 

 

「それ(空気)を説明できる言葉を、まだ持ち合わせていない」が使われます。

 

 

 

 

 

「目に見えないんだから、何もないに決まってるだろ」というスタンスとは対極にある表現です。

 

 

 

 

 

ちょっと最近なら、電波(電磁波)。

テレビとかスマホとか。

時間という概念もそうかもしれませんね。

 

 

 

 

 

目には見えないけど、何かある。

 

 

 

 

 

今ならそれを表現するのに適した言葉があるし、それを実証・利用する方法論も確立されているから、もはや目に見えなくても誰も否定しない。

 

 

 

 

 

その時の通じてる常識(=みんなが理解できる・何らかの方法で観察できる)なんて、

 

 

 

 

 

技術の進歩によって覆されまくりです。

 

 

 

 

 

これは各分野の歴史を見れば明らかです。

 

 

 

 

 

インナーマッスルだってそう。

20年弱で、筋の常識は完全に変わった。

 

 

 

 

 

こういう構図は、これからも必ず続いていきます。

 

 

 

 

 

今、目に見えないもの・機械でも見えないものは、「目に見えないんだから、確実に存在しない」とは証明できないかもしれません。

 

 

 

 

 

目に見えないもの=人間が認識できていない

機械でも見えないもの=測定技術が追いついていない

 

だけである可能性は十分にあります。

 

 

 

 

 

「人間の目の機能・今の測定技術では観察できません」というのが科学的な姿勢じゃないかな。

 

 

 

 

 

実際に僕が最近経験した例だと、

 

最新の脳科学研究所で測定を提案したときに「それはまだ測定できる技術が存在しない。でもいずれ可視化できるようになるはず」と言われた現象が2つほどあります。

 

 

*一般的には非常識でも、量子力学の分野ではもう普通に証明されてる現象も多々あったりします。

 

 

 

 

 

話は変わって、トレーナーやセラピストには、「科学的根拠があるものしか提供できない」という考え方が存在します。

もちろん、方向性としては欠かすことのできないものですし、トレーニングと科学は切っても切り離せません。

 

 

 

 

 

トレーナーやセラピストは、常に科学的であるべきです。

 

 

 

 

 

しかし一方で、この「科学的根拠」という前提をもう少し考察する必要があるのではと感じる場面も多い。

科学的であることと、科学的根拠に縛られて思考停止することは全く別物のはずです。

 

 

 

 

 

科学的とは、論文などのデータだけでなく、思考様式も対象です。

 

科学的とは、論文などのデータの有無だけに視点がいって思考停止することでは決してありません。

 

 

 

 

 

複数の事象から論理的に解を導き出す姿勢は、特に指導現場レベルでは重要な能力です。

その場で仮説を立て、その場で検証するのです。

 

 

 

 

 

選手を目の前にした時、その場で判断しなければならないことは多々あります。

そんなときに、いちいち論文調べる余裕は1ミリもありません。(しかもそのデータに目の前の選手も含まれてない)

 

 

 

 

 

そういうとき、何を根拠に判断するかって、論理的な思考様式しかありません。

 

 

 

 

 

仮に頭に入っているデータをもとに判断するときも、目の前の選手にそれが適応になるのかを論理的に判断しなければなりません。

 

仮に直感をベースに判断するときも、その理由づけとしてやっぱり論理的な思考プロセスで理由を考察します。

 

 

 

 

 

もちろん、直感はただの思いつきではなく、日頃からの観察・分析・考察の蓄積とトライアンドエラーの繰り返しが土台になって的確な直感が形成されるのだと思います。

 

 

 

 

 

冒頭の話に戻りますが、

今、証明できないからって、「そんなことあるはずない」っていう否定的な姿勢をとることは、決して科学的とは言えません。

 

 

 

 

 

そもそも、本当に何もないのか、目に見えないだけなのか、測定技術が追いついていないだけなのか。

そういうことは、その人の知識量に思いっきり依存します。

 

 

 

 

 

そう考えると、筋肉や骨格や栄養だけでなく、いろんな分野の勉強って大事です。

 

 

 

 

 

プロレベルのスポーツの試合で起こることなんて、「それを説明できる言葉を、まだ持ち合わせていない」現象だらけです。

 

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

全てはパフォーマンスアップのために。

 

 

 

 

 

中野 崇

 

 

 

 

 

追伸1

冒頭のセリフ、普段使ってみたら「めっちゃウザい」のひとことで片付けられました笑

好きな作家さんとは、森博嗣さんです。

論理的で哲学的な小説が好きな方にはオススメです。

このシリーズ好きって人とは気が合うかも笑

 

 

 

追伸2

投手トレーニングセミナー、残席それぞれあと4名ほどです。

自分の課題が明確に見つけられない選手、課題をクリアする方法が見えていない選手、試す価値あるはずです。

*シーズン中のプロ野球選手のサポートの中でいくつか発見があったので、何とかして内容に追加したいなと思ってます。

なので再受講枠を設けようかと思っています。

再受講枠が決まったら、お知らせします。

 

 

 

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