こんばんは。
現在、本当に久々に束の間のオフをいただき、瀬戸内海にある淡路島というところに家族を連れて休暇に来ています。
瀬戸内海は僕がとても好きな海の一つで、大海にはない穏やかさと多島美と言われる景観があります。
もちろん海の幸も最高です。
毎年、何らかの形で瀬戸内には滞在しています。
もし夏の旅先に迷ったときには是非選択肢に加えてみてください。
さて今回は、「常識は変わる」ということについて僕の実体験からお話したいと思います。
まず「常識」とは一体なんなのでしょうか。
辞書には「社会の構成員が有していて当たり前のものとしている、価値観、知識、判断力のこと。」とあります。
多くの人が「当たり前」としているものが「常識」と言われるものの下部構造として存在しているということです。
つまり、裏を返せば多くの人が当たり前と言うようになれば、常識は変わり得るということです。
僕が経験したこと、
それは「投手のトレーニング」、具体的には「インナーマッスル」についての常識が変わったことです。
僕はプレイヤーとしては長らく野球をやってきました。
ポジションは投手です。
中学時代からトレーニングそのものが大好きで、少なくともチーム内では誰にも負けないぐらいトレーニングだけはやってきました。(野球がうまかったかどうかとは残念ながら別問題です…今で言うと完全にマイナスの学習を引き起こすトレーニングでした。。)
それでも、肩と肘を中心に非常に多くの怪我に見舞われ、大学野球で投手というポジションを離れるまで、繰り返し繰り返し怪我をする選手でした。
その間、当時のスポーツ整形や整骨院、整体にはかなり通いました。
当時僕が医師や整骨院の先生から指導されて必死で取り組んでいたのが「筋肉の鎧」。
指導された紙を見ながら両手に5kgのダンベルを持って、アウターマッスルを鍛えまくっていました。
当時の僕についたあだ名は「枝豆」笑。
それぐらい三角筋や上腕・前腕の筋肉が発達したのです(^^;
それでもというか今なら当然ですが、やはり怪我は改善せず、非常に辛い選手生活を送ることになりました。
この経験が今につながるのですが、今回は違う話題なので深堀りはしません。
中学野球生活も終わり、高校で野球を続けるか迷っている時期、僕は偶然書店で手に取った本から「インナーマッスル」という概念に出会います。
聞いたことない言葉でした。
もちろん中学生ですから、読めない専門的な漢字もありましたし、解剖学的な知識もないので、わからないことだらけでした。
それでも、僕には今までのトレーニングにはない期待を抱かせるものでしたし、「ルーズショルダー」と言われる症状はほとんど自分に当てはまるものでした。
だから僕はそのトレーニングに期待する意味も込めて、迷っていた野球の継続を決意します。
その本には、すごく低い負荷でトレーニングしないと肩の内側にあるインナーマッスルと呼ばれる筋肉はうまく鍛えられないとあり、それにはとても薄くて弱いチューブ(今でいうイエローセラバンド)を使う必要があるとされていました。
しかし、当時はどこを探しても一般の中学生がイエローのセラバンドに巡り会えるはずもなく、仕方なく僕は自転車のチューブを縦に細く切って、それを2本使い、牛乳パックを土台にして取っ手を作ってオリジナルの練習道具を作成し、練習を開始しました。
今でいう「ローテーターカフトレーニング」です。
中学を卒業し、春休みの時期から本格的に開始しました。
自分の期待通りというか、ほぼ独学でやったにしては幸運なことに僕の肩は非常に良い反応を見せてくれました。
もちろん根本的に投げ方に問題があったため、十分ではありませんでしたが、少なくとも「枝豆」になるためのトレーニングよりは効果を実感できました。
当時の僕にとっては救世主のようなトレーニングでした。
「もっと早く出会いたかった」
心から思いました。
インナーマッスルは、日常的な鍛錬に加え、投球練習前や投球練習後にトレーニングすることが効果的とありましたので、高校に入ってからは、部活にもオリジナルチューブを持ち込み、人前でもそのトレーニングをやることになります。
そこで僕が受けた扱いが、「変なトレーニングやってる奴」「投手としては意味のないトレーニングやってる奴」。
(インナーマッスルトレーニング以外にも他にもいろいろ独自に考えてやっていたことも含んでますが笑)
先輩や同級生に「何してるん?」と聞かれたら、「インナーマッスルのトレーニングしてます」と答えました。
「インナーマッスルって何?」
「肩の内側にある筋肉です」
「は?」
「ピッチャーにはめっちゃ大事らしいです。一流選手は発達してるらしいです。」
「そんなん知らんけど笑。とりあえず内側やから”中の”って、ことやな。お前にぴったりやな。中野筋肉やな。」
(枝豆の次は中野筋肉かい…)
みたいな調子でした笑
これはいじめられたとかではなく、大阪でいうところの「いじられる」というやつで、大阪人にとってはある意味日常茶飯事のやりとりです笑
そんな訳で当時(今から約20年ほど前)は、インナーマッスルという概念は一般的には存在していませんでした。
通いまくったスポーツ整形や整骨院でも聞いたことがなかったのです。
「常識」ではなかったのです。
でも今はどうでしょうか。
投手のトレーニングとして「常識」になっているどころか、あらゆる競技のトレーニング分野でインナーマッスルについて話題になっています。
専門家レベルでなく、部活などの”一般的なレベル”で。
主婦の健康番組なんかでも当然のように扱われ、運動に興味のない人ですら「聞いたことはあるレベル」にまでなっています。
今、選手がインナーマッスルのトレーニングをしていても誰も”いじらない”でしょう。
当時僕がどんなに探してもなかったイエローのセラバンド。
これも今は結構簡単に見つけられるはずです。
それぐらい、僕の目の前でトレーニングの常識は変わりました。
もちろん僕が経験した、この「常識の変化」以外にも、運動科学分野の常識はどんどん変わっています。
(当然あらゆる分野で同様のことは起こっているでしょう。スマホとかね。当時は好きな相手には家に直接電話をかける時代でした笑)
僕が経験させてもらったトレーニングの常識の変化、今度は自分たちがやっていることでそれを起こす番だと思っています。
なぜなら先に少し話に出ましたが、インナーマッスルトレーニングでも僕の肩・肘は最終的には治りませんでした。マシにはなりましたが。。つまり「根本的な解決」は存在していなかった。
そして練習方法やトレーニングそのものにもまだ大きな改善が起こっていないところが多い。
こういった問題はあれからまだあんまり変わっていないのが現状。。
「もっと早く出会いたかった」
そう選手から言われてしまうことが今だにとても多いのです。
この言葉は僕にとっては、力を与えてくれると同時に、悔しい気持ちになる言葉なのです。
いつか、JARTAのトレーニングやってる選手が「変なトレーニングしてるやつ笑」と言われなくなるように。
いつか、中学生でも皆が当たり前に知っているトレーニングになるように。
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中野 崇