こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
「名選手=名コーチではない」
この言葉、聞いたことある方は多いと思います。
なぜ名選手=名コーチではないと言われてしまうのでしょうか?
もちろんいろんな考え方があると思いますが、
「実際に自分が動くための能力」
「選手のコーチングに必要な能力」
この両者が同じ能力ではない、ということが多くを占めるのではないでしょうか。
今回はそんなところに繋がるお話です。
もちろん上記の原因をここで突き止めたって別に選手のためになるわけではないので、あくまで選手や彼らを支える指導者の方々に少しでも役立てていただけるかどうかという観点で書きたいと思います。
今回、僕が言いたいことをひとことで表現すると、
「動かしている感覚と、実際の動きは異なる」ということです。
特に高速になった時の腕の振りでは顕著になります。
(もちろん足の振りも)
例えば野球のピッチングであれば、本人はまっすぐ腕を振っているつもりでも、実際は、こんな感じになります。
出典|http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/p-bb-tp2-20090322-473961.html
もうよくご存知の方も多いと思いますが、これは変化球を投げているわけではなく、RSSCという筋肉の反射運動が起こっているのです。
本人は腕をまっすぐ振っているつもりでも、高速時に起こる反射ですから勝手に起こります。
よく指導であるように、リラックスしてしなるように投げると、この動きに必然的に近づきます。
*スポーツにおける高速運動においては、このRSSCという筋肉の反射を強烈に使える選手が活躍しています。
いろんなところで筋トレやウェートトレーニングが提唱されたり議論されたりしているけれど、トレーニングによってRSSCを阻害しないことが最低条件じゃないかな。(むしろ強化せねばです)
ここでの最大のポイントは、高速になればなるほど、筋肉の反射や重力や遠心力などのフォースの影響を受けた運動になるということ。
速く動くと勝手に伸ばされたり、勝手に捻れたりしちゃいます。
ピッチングで腕を高速で振ることで、肘は勝手に伸びるし勝手に捻れます。
こういう理由で、本人の感覚と実際の動きはちょっとギャップが生まれます。
だから高速で動かす時には、なるべくコンパクトに動かそうとする意識が必要です。
場合によっては窮屈なぐらいでちょうど良かったりします。
連続写真で腕や足がまっすぐ伸びているのを真似して伸ばしたらうまくいきません。
末端(手足)はコンパクトに、中枢(体幹・肩甲骨・骨盤)は鋭く動かす。
これがポイントです。
自分の動きの感覚と実際の動きがマッチしているかというチェックをする場合も、手足など末端よりもまず体幹や肩甲骨など中枢部分がイメージ通りに動いているかをチェックすべし。
野球だったら、下半身。特に背骨と骨盤の動き。
サッカーだったら上半身。特に背骨と肩甲骨の動き。
話を戻しまして、
末端の動きをあまり意識させると「力み」に繋がって、結局求めている動きが出にくかったりするので、指導する側も、あんまり末端の動きは介入しない方がいいかもしれません。
名選手=名コーチ。
名コーチの条件として心理的な導きなどいろいろあると思いますが、動きの指導に関しては、この辺りが分岐点になるのではないでしょうか。
補足>
サッカー、分かりにくいかもしれませんが、サッカーはシュートやドリブル、そしてスプリントの時、足を高速で動かす必要があります。
四肢を高速で動かす場合は、RSSCという反射の性質から考えてこれを使うのが最も高いパフォーマンスを発揮できます。(省エネ・再現性・ハイパワー)
ピッチャーが腕でRSSCを起こすために下半身を重視するのと逆ルート。
足でRSSCを起こすためには、上半身がキーになります。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
野球だったら、下半身。
投手用トレーニングセミナー>
サッカーだったら上半身。
サッカー用上半身トレーニングセミナー>
http://ameblo.jp/bodysync/entry-12294552111.html
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