くじょらです。サイト名は「blv」。
短くさくっと、コンセプトをしっかり、が非常に苦手なので(全然ダメじゃん)、なんとか克服すべく精進いたします。
「おつかれさまでした」
最後の一枚をチェックしたリザからそう告げられて、ロイは大きく伸びをした。
時計を見たらまだ19時半。
夜はこれからだ。
定時を過ぎてしまったとはいえ今日は仕事も順調に終わった。こんな日に、心密かに想いを寄せる女性とともにするディナーは格別だろう。
「中尉、よかったらこの後一緒に食事に行かないか。私が奢ろう」
言いながら、今からでも入れそうな、雰囲気のいい店を何軒か脳内でピックアップしてみたのだが。
「申し訳ありません。今日は先約がありまして・・・・・・」
「そ、そうか。それなら仕方ないな、ハハハ・・・・・・」
先約。その言葉にロイは内心穏やかではない。けれど心底すまなそうに眉を寄せるリザを見ればそう言うしかない。
しかしいったいどこのどいつだまさか男じゃないだろうな!?
憤りで頭の中が煮えたぎるがさりとてそれを問い詰める立場に自分はないわけで、しょんぼり肩を落としつつも帰り支度をして書類を抱えたリザと一緒に執務室を出ると、司令室にはこちらももう帰る準備万端のハボックとブレダがいた。
上官二人に軽く敬礼してくるが、その表情が妙に引きつっている。
「どうした二人とも。顔が強張っているぞ」
「い、いえ別に・・・・・・なぁ?」
「えぇ!もちろん何もありませんよ。えぇありませんとも」
ますますおかしい。何を隠しているんだと首を傾げたロイだったが、次に出てきたリザの言葉に目を剥いた。
「あら二人はもう出られるのね。私はこの資料を片付けてしまいたいから、先に行っていて。30分くらいでいけると思うから」
なにィ!?先約ってこいつらか!?
それじゃあと部屋をリザが出て行くと、部屋はどす黒い空気に包まれた。
「じゃ、じゃあ大佐、俺らもこれで・・・・・・って、危ない!危ないっすからこんな紙だらけの部屋で発火布なんて!!」
「お前ら、私よりも先に中尉を誘うとはどういう了見だ!おかげで断られたではないか!」
中尉だって誘ってくれたっていいのに!
流石にその言葉は飲み込むが、それでも大の男が叫ぶにはいささかみっともない内容だ。それでも、発火布を構えながらでは言われたほうはたまったものではない。
「落ち着いて・・・・・・落ち着いてくださいよ!なら、大佐も行きますか?ネルソン亭ですけど」
ネルソン亭と聞いて、ロイの口元がひくついた。
ネルソン亭は、ここ東方司令部から歩いて10分ほどのところにあるパブで、場所柄東方司令部所属の軍人の行きつけになっている。けれどロイはパブがどうやら好きではないらしく、たまにハボックやブレダが誘っても大概なんのなんのと理由をつけて断る。
だから二人は今回もそうだろうと思っていたのだが。
「・・・・・・行く」
「ほい・・・・・・えぇ!?」
「誘っておきながら驚くとはどういう了見だブレダ」
「だってアンタ、いっつも断るじゃないですか、『パブなんぞやかましくて好かない』とかいって」
ハボックがそう指摘した今も、口元はおろか目鼻までひくひくと痙攣している。だがロイは行くといったら行くんだとわめき散らした。
「たまにはいいだろうがッ。それにあれだ、時々はこうして部下たちと、なんだ、飲みにでも行って親睦を深めるのも上司たるものの務めだ」
ウソつけ。
単に今回のエサがリザだったからだろうと心の中でだけつっこむ。
だが、自分の知らないところでリザが他の男と飲むのが気に食わないだけで嫌いなパブにも出向こうというその根性だけは見上げたものといえないことも、ないかもしれない。それならとっととモノにしてしまえと思わないでもないが。
20時を回ったばかりの店は活気と人に溢れていたが、うまい具合に四人用のテーブルが一つ空いていた。首尾よくそこに陣取ると、さっそくブレダがウェイターを呼び寄せる。
「とりあえず、ペールエールの大瓶と中ジョッキを・・・・・・」
そこでちらりとハボックに視線を投げると、同意とばかりに軽く手を挙げた。
「大佐は?」
「アイスミルク、氷なしだ」
「へいへい・・・・・・って、それ、単なる牛乳じゃないですか!?」
「ふん、物を知らんやつだな。酒を飲む前に牛乳を飲むと、胃に膜が出来て悪酔いしないんだ」
だから私は一杯目は牛乳と決めているんだ!
その目に妙に必死の色が見え隠れするのは気のせいだろうか・・・・・・。
じきにビールと牛乳、あわせて注文していたフィッシュ&チップスが運ばれてきた。ロイの不可解?な言動など、ジョッキに注がれるビールの泡と一緒にハボックとブレダの脳内から瞬く間に弾け飛んでいった。
「んじゃとりあえず、かんぱーーい!」
二つのジョッキと一つのグラスがかちんと合わされるや、ハボックとブレダは一気に三分の二を飲み干した。
「ぶはー、うめぇ!」
「仕事の後のビールは最高だな!」
お約束な台詞を吐きつつ、クロスカウンターのごとく互いのジョッキにビールを注ぎあう。
だが、ロイのグラスの牛乳は、まだ半分ほどしか減っておらず、ロイはそれをじっと睨みつけたまま微動だにしない。
「ちょっと大佐ぁ。空けるの遅いっすよ」
「ばかもん。一気に飲んだら腹を下すだろうが。お前らと違って私の身体は繊細に出来ているんだ」
「かーーっ!何いってんすかもうお子様の時間は終わり!」「か、返せ!まだ飲み終わって・・・・・・」
「そんだけ飲めばもうりーーっぱな膜が出来てますって!はい次はビールビール」
ハボックは無理やりグラスを奪い取るとまだ残っていた牛乳を床にぶちまけた(あちゃー)。そしてそのグラスになみなみとビールを注ぐ。
「はいどーぞ!」
「お、おい!牛乳と混ざったじゃないか!」
「細かいことは気にしないで、ささぐっと、ぐーーっと!」
「いけるか!」
「まったくワガママっすねぇ。おーーい、こっちに中ジョッキ一つ!」
その途端、ロイは大慌てでハボックの手からグラスを奪い取った。
「いやいい!これでいい!」
「おぉー!そんじゃ一つ、ぐいっとどうぞ!」
だがロイは、両手でグラスをしっかと握り締めたまま、やっぱり微動だにしない。
やがて、ロイの身体がゆっくり揺れ始めた。
さすがにこれは様子がおかしくないか?
「あ、あの、大佐・・・・・・?」
恐る恐るブレダがロイの身体に手を伸ばす。
が、それが触れるか触れないかのところで、ロイの身体はグラスを握り締めたままテーブルに崩れ落ちた。
「「!!??」」
突っ伏したきりぐったりして動かないロイに、ほどよくアルコールの回った二人はパニックに陥る。
そこへ、ようやくリザがやってきた。
「お待たせしてごめんなさい・・・・・・大佐!?なんでこんなところに!?」
「そ、それが大佐を誘ったら来るっていったんで・・・・・・けど一杯も飲まないうちにいきなり倒れちまったんですよ」
どどど、どうしましょう!?と慌てふためくハボックとブレダだが、リザは落ち着き払った態度であっさりと告げた。
「もしかしてあなたたち知らなかったの? 大佐、アルコールがまったくダメなの。一滴も飲めないのよ」
「えぇ!?」
完璧が尊大という名の服を着て歩いているようなこの男に、そんな弱点があったとは知らなんだ。
「で、でも今日はまだ全然飲んでないんですけど・・・・・・」
「たぶん、この匂いにやられたのね」
「そ、それだけで!?」
「昔一度だけヒューズ中佐に連れられて行ったときにもうビールの匂いだけで気分が悪くなったらしくて、だからパブは二度と行かないって言ってたんだけど、今日はどうしたのかしら」
アンタが来るっていうからですよ。
ハボックとブレダは心の中でだけ呟いた。
牛乳で胃を守る前に、鼻栓でも詰めてきたほうが良かったんじゃないだろうか。
だが、今はそんなことは置いておいて、するべきことがある。
「おいブレダ」
「あぁ、持ってるぜ。中尉、これを」
ブレダはジャケットのポケットを漁ってカメラを取り出すとリザに手渡した。
「すんません中尉、お願いします」
「え?」
「だって、こんなヘタってる大佐なんか滅多にお目にかかれるもんじゃないじゃないですか!せっかくだから記念に一枚!」
「はぁ・・・・・・」
リザは、すっかりつぶれたロイのバックで肩を組み高々とジョッキを掲げるハボックとブレダと、握らされたカメラとを交互に見つめた。
「中尉、早く~!」
二人はすっかりノリノリだ。その勢いに押されて、リザはシャッターを切った。
後日。
その写真が東方司令部中に出回り、ロイが下戸であることは全員の知るところとなったという。そしてさらにその後、写真の出所である二人の少尉が髪の毛アフロの刑に処された特大写真が東方司令部のロビーにでかでかと張り出されることで、その話は一応の収束をみたともいう。
以後、その話に堂々と触れるものは誰もいない。
12月号表紙の左上の写真と先日のチャットからこんなん出ました~。
たゆたさん、いばらさん、シノワズさん、勝手にネタを使ってしまってごめんなさい・・・・・・。
しかし右下のリザさん!超笑顔!!
隠し撮りっぽいんだけど、あれ撮ったのは誰?ロイか?だとしたらけっこう暗いやつだなぁ(笑)
それと、オールバックロイの隣にいるのは誰なんでしょうね!?
妥当なところではヒューズさんだけど、リザさんだったりしたらとっても嬉しいかもしれない。
もしくはアームストロング少佐とか。その場合、ロイさんりんごの木箱に乗っていると思われます。
切ない一枚は、やっぱりハボブレの写真だなー。あれ、士官学校卒業のときのかな。
あと、ハヤテ号を餌付けしてるあの手は誰の?これまたロイだったら笑えるんですが。
朝、更衣室で着替えてから司令室に向かう途中で、ハボックはリザと行き会った。
おぉ、朝からラッキー。
昨日飲んだ酒のせいかずいぶん早くに目が覚めてしまい、仕方なくいつもよりもかなり早い時間に登庁したのだが、早起きは三文の徳とは本当なんだなと、ハボックは先達の遺した言葉をささやかな喜びとともに噛み締めた。
「おはようっす、中尉。早いっすね」
「おはよう、ハボック少尉。あなたこ、そ・・・・・・くしっ」
「あれぇ中尉、風邪すか?」
「ちょっとむずっとしただけよ。大丈夫」
そういうが、よくよく見てみれば心なしか顔が赤いし目も潤んでいるような。
けれど、それは今くしゃみをしたばかりだからと言えないこともないし、本人がそうというならこれ以上踏み込める立場に、残念ながらハボックはない。
「ま、気をつけてくださいよ。季節の変わり目ですから」
「えぇ。あぁハボック少尉、私ここへ寄ってから行きますから」
「うぃーっす」
至福の時は、それをもたらした相手によってあっさりと幕引きになった。
メールルームに入っていくリザを恨めしく見送って時計に目をやると、始業まではまだ時間がある。休憩室で一服してから行くかなーと頭の後ろで腕を組んだところで、後ろから肩を叩かれた。
振り返ると、大多数の女性からは爽やかと称される、ハボックにしてみれば胡散臭いことこの上ない笑顔を浮かべた黒髪の上官が立っていた。
「やあおはようハボック少尉。今日も気持ちのいい朝だな」
「おはようございます大佐。っていうか、そんな気持ちのいい朝からどうして発火布なんか構えてるんですかッ!早くしまってくださいよそんな物騒なもの!ついでにその構えた先が俺ってどういうことっすかぁ!?」
「いや。朝から油断ならない輩がいたもんでな。まあ少し懲らしめてやろうと思ったんだよ」
「さっきそこでたまたま会っただけですって別に二人で朝から一緒に来たとかそういうんじゃ・・・・・・!!」
「当たり前だ。万が一にもそんなことはないし、億が一あったとしたらお前はとっくに消し炭になっている」
「わかってんならそんくらいのことにいちいち目くじら立てんでくださいよ!」
まったく、嫉妬深いにも程がある。今ので三年は寿命が縮まったような気分だ。
このままだと、俺の寿命はこの人に吸い尽くされるんじゃないだろうか・・・・・・。
そのバカげた考えは、案外洒落にならないような気がしてハボックは溜息をついた。あぁ、俺の幸せがまた逃げてゆくぅぅ・・・・・・吸い取られるのは寿命だけじゃないようだ。
そこへ、メールルームで郵便を受け取ったリザが追いついてきた。「あら少尉、まだここにいたの。大佐も、おはようございます・・・・・・ッくしっ」
「おや中尉、風邪かね?」
「いえ、そういうわけでは・・・・・・」
「だが、顔が赤い。熱があるんじゃないのか?」
「自分ではそんな気はしないのですが」
「どれ・・・・・・うん、やはり熱があるようだぞ」
ロイは極々自然な動作ですっとリザの額に手を当てると、顔を顰めた。リザも、咎めるように眉を寄せたもののその手を振り払おうとはせず、むしろ身を任せているようにも見える。
その一連のやり取りの陰で、ハボックはまた溜息をついた。
あーあ、幸せがどんどん逃げてくよ・・・・・・。
わかっている。
自分は、踏み込めない。彼は、踏み込める。
その差が、向こうのほうが顔も地位も財力も上という程度の低いことに起因するわけではないことも、わかっている。
(けど、こうもまあまざまざと見せつけられちゃあなぁ・・・・・・)
溜息の一つや二つや三つ、つきたくなるというものだ。医務室に付き添おうとするのをあっさりばっさりと断られたのには多少溜飲が下がったけれど。
「ん?どうしたハボック」
「いえ・・・・・・世の中の不条理について考えてるとこっす」
「ほぉ、お前でもそんな高尚なことに頭を使うことがあるのか、いや感心感心」
くッ・・・・・・そぉぉぉ!!
はっはっはと高笑いしながら歩いていく上官の背中を見送りながら、ハボックは地団太を踏んだ。さっきまでの幸せ気分なんてとうに吹き飛んでいる。
あーもうこんな日は思い切り身体を動かすに限る!今日の演習、メニューをもう少しきつくしよう。
彼の小隊に所属する人々には甚だ迷惑な決意をすると、ハボックは大きく息を吐き出した。
もういい今ある幸せなんて飛んでけチクショーー!
それ以上の幸せを絶対に掴まえてやるからな!!
ロイアイ←ハボ風味でお届けしました。
けどハボック、リザさんに対して本気なわけではありません。
美人さんだしボインだし(←彼的に超重要)仕事は出来るしやさしいし、憧れてはいるけれど。
ちょいとばかり怖いマドンナってところでしょうか。
どっちかっつーと、マドンナが尊敬は出来るが人間性は微妙に疑う上司に掻っ攫われて口惜しい感じ?
タイトルは、楠瀬誠志朗の曲から。
「ぽっかぽか」っていうドラマの主題歌だったんだけど、これってもしかしてハボのテーマ曲っぽい??
歌詞はサビしか覚えてないんですが・・・・・・。
ロイリザで十二国記パロ。
ロイ→大店の三男坊あたりで学者
リザ→麒麟
ロイが親友のヒューズと一緒に昇山して、リザは彼に王気を感じて拝跪する。
けどロイは「許す」といった途端に、
「いやぁ、麟と聞いて昇山してみたがこれほどの美女とは思わなかった。命掛けでやってきた甲斐もあったというものだ」
なーんてにやけ面でリザの手を取って、リザが恐る恐る
「まさか、麒ならば昇山なさらないおつもりだったのですか」
と問えば、
「なぜわざわざ男に会いにこんなところまで来なければならないんだ」
と臆面もなく言い放ってリザは(ま、間違えた・・・・・・!?)と眩暈を起こしそうだ。
王になったらなったでもちろんしょっちゅう政務どころか王宮を抜け出してはリザに怒られるんだよ。
ロイは、尚隆のイ メージが強くってリザは景麒だな。
いずれにせよ、リザは相当苦労するに違いない。
ちょびっと思いついてみたら楽しかったので書いてみた(笑)
久しぶりに戻ってきたベースキャンプで、ロイは意外な場所に意外な人物の姿を見出した。
その人物に声を掛けようとした矢先、相手もまたロイに気づき、ぴしっと音が聞こえてきそうなほどにきっちりと敬礼のポーズを取った。
「ホークアイ准尉。なんで君がそんなところに?」
辺りにあるものといえば、食材の入った箱や袋、水を入れたタンク、簡易とはいえなかなかな造りのかまど。
そこは、このベースキャンプの炊き出し所だった。
前線とは違って、ここでは後方支援部隊が食事の支度を担当する。従って、前線部隊に属する彼女は夕飯時でもなければ用事はないはずだ。
だがリザはその疑問には答えず、
「マスタング少佐。いいところにいらっしゃいました」
というと、ロイの袖をぐいっと引っ張り、そして耳元で低く囁いた。
「――――火を、つけていただけませんか」
「・・・・・・火?」
いぶかしげに見つめ返すと、鳶色の瞳が頷きかまどを指差した。
そのリザの陰で赤毛の男が一人、がたがたと震えている。
事情はこうだった。
彼が真っ青な顔で何かを探し回っているところにたまたまリザが行き会った。その様子を見過ごすことが出来ずに話を聞いてみれば、彼は後方支援部隊で炊き出しを主に担当しているが、マッチをなくしてしまったために準備が滞っているのだという。
また、戦場において備品として支給されたものを紛失したとなれば懲罰に値する。これで食事も時間通りに配給されなければ、規律を重んじるという大義名分の元、上官たちからどんな目に遭わされるか――――。
そこで、「お昼までは確かにあったんです」という彼の言葉を信じ、リザも手を貸すことにしたのだが未だに見つからず、そこへロイが通りがったのだ。
「・・・・・・なるほどな」
確かに、ロイは焔の錬金術師であるから、マッチなどなくてもかまどに火をつける程度は朝飯前のことだ。
しかしこの戦場でロイがその焔を使って何をしてきたか、知らない彼女でもない。おまけに、士官学校出たての尉官が佐官をアゴで使うような真似をするなど。
「・・・・・・いい度胸だ」
くぐもった笑いを漏らすと、リザが胡乱な眼差しを向けてきた。それも、おおよそ下官が上官に向けるものではない。
気に入った。
ロイは発火布を取り出すとぱちっと指を擦った。
「――――と、いうことを思い出したんだがね」
「そういえば、そんなこともありましたね」
冷蔵庫から肉を取り出しながら、リザが応えた。
「まさか、マッチ代わりに使われるとは思わなかったよ」
ていうか君、もしかして今もそう思ってやしないか?
家に到着するなりそれは嬉しそうに微笑まれて、あぁなんて幸せなんだろうなーんて思っていたらあれよあれよという間にキッチンに連れてこられて、「ガスは来てるんですけど火がつかないんです。マッチも切らしているしお願いします」ときたもんだ。
うーん愛ってなんだろうなーと思わないでも、ない。
このまま君のハートにも火をつけられたらいいんだけどねぇ。
無事火が入ったコンロを前に、声には出さずにぼやいてみるが、リザが知ることはもちろんない。
無用となった発火布をポケットにしまいながら、その後のことも思い出した。
かまどに火をつけた後、ロイも一緒にマッチを探したらじゃがいもの入った箱の奥に落ちているのをリザが発見した。何度も何度も頭を下げる赤毛の男に見送られながら、リザと並んで戻る途中に交わした会話は。
「しかし、咄嗟とはいえ私の焔をあのように使おうとするとはね」
ロイとしては、その度胸を讃える気持ち半分自重半分で言ったのだが、それに対してリザはなんと答えたんだったか・・・・・・あぁそうだ思い出した。
「なんだって使いよう、ですよ」
そのときとまったく同じ台詞を口にして、リザは手にしていた肉をキッチンバサミで鮮やかに捌いた。
「恋人たちの7つの言葉(文房具編)
」より、「4. はさみ」です。
しかし、これじゃ文房具じゃなくってキッチン用品じゃないかー・・・・・・。
毎度毎度お題に沿ってませんな。
そしてこの頃からリザさんの手のひらで転がされるロイロイ。
たまには優位に立たせてあげたいものです。
『ロイ、お前は世界で二番目に幸せな男だ!』
交換手からヒューズ中佐からの電話と告げられると、いつだってある程度気持ちの準備はするのだ。
だがこのマース・ヒューズという男は、いつだってその一歩先を行く。
ロイの眉間に深い深い皺が刻まれた。
「・・・・・・私は今この瞬間ならば、自分を世界で一番不幸な男に認定することもやぶさかではない」
『おいおい、世界一幸せな男から世界一可愛い天使の話をたっぷり聞けるんだぜぇ?そんなに己を卑下するんじゃない!自信を持て!』
「それが私の不幸の源だといつも言ってるだろうが!!」
今日は本当に忙しいんだ時間がないんだ頼むから邪魔をしてくれるな!!
そう一息に言い切ると、さすがに受話器の向こうが沈黙した。
『・・・・・・オーケィ。お前の事情はよっくわかった。手短に済ませよう』
「そうしてもらえると助かる。で、用件はなんだ」
『・・・・・・エリシアって白のおくるみもすげー似合うんだぜ!!』
ガチャーーン!!
「大佐!電話を切るときはお静かに願います」
受話器を叩きつけて置いたロイに、リザの鋭い叱咤が飛ぶ。
だがロイはそれ以上に鋭い眼差しを返す。
「・・・・・・この三ヶ月、毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日幸せの押し売りをされる私の身にもなってみろ!なんだったら君も一度同じ目に遭ってみたまえ。私の気持ちがよぉぉぉくわかるぞ」
次回までに必ず電話越しに相手を消し炭にする錬金術を編み出す!!
そう鼻息を荒げる上司の気持ちもわからないでもない。
もともと妻自慢っぷりが尋常の域を軽く飛び越していたヒューズだ。三ヶ月前に待望の愛娘を授かったばかりの今、その症状は日々垂直落下で悪化しており、そしてその被害はほぼロイに一点集中。毎日のようにオフィスや自宅に電話をかけてきては1,2時間は平気で家族自慢を続けるのだから、ロイでなくとももうおなかいっぱい胸いっぱい。本当にいい加減勘弁してくださいというところだろう。
あんな状態でヒューズもちゃんと仕事出来ているのかどうかは気になるところだが、そろっそろなんとかしなくては、こちらの業務にも支障をきたす。
実際、この三ヶ月でロイはもう三台も電話を壊している。
「わかりました」
リザは頷いた。
先ほどのあの調子では今日中にもう一回くらい掛かってくるだろう。
「今後電話は私が全部受けますから、大佐は書類の処理に専念してくださ・・・い・・・・・・」
言い終わるか終わらないかのタイミングで、また電話が鳴った。ロイがギロリと鋭い視線を向けるのを目で宥めてリザは受話器を取った。
案の定、電話はヒューズからだという。まわすように告げてから、リザは一度浅く深呼吸した。
『なんだよロイ!いきなり切んじゃねぇよ!』
「ご無沙汰しておりますヒューズ中佐」
『おぉ!リザちゃんか!久しぶりだなぁ』
「生憎大佐はただいま手が離せず・・・・・・」
『どーせロイの野郎がさぼりまくってそのツケが回ってきてんだろ』
「えぇ、その通りです」
そこは事実なので苦笑交じりに返す。
その原因を突き詰めれば電話の相手に行き着くような気もしないでもないが、それはまあ置いておこう。
『しかし・・・・・・』
突然ヒューズの声が低く沈んだ。自然リザの表情も改まる。
「どうかなさいましたか?」
『いや・・・・・・リザちゃんは世界で三番目に幸せな女性だなぁと思ったんだ』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
予期せぬタイミングでジャブを食らったボクサーはこんな気分になるんだろうか。
『一番は、同率でグレイシアとエリシア!んでもってその次がリザちゃんだからだ!』
「は、はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その判断基準はいったいなんだ。
なんて考える暇もなく、あっさり答えを告げられた。
『なんたってリザちゃんは、世界一幸せな男から、世界一幸せな女性二人の話をたっぷり聞けるんだからな!!』
ガチャン
一瞬間を置いた後で、気が付いたらリザは電話を切っていた。
「あ、あら・・・・・・手が勝手に・・・・・・」
相手は仮にも上官だ。その電話を一方的に切るなど、相手によっては軍法会議に掛けられかねないのだが、困惑の眼差しを己の上司に向ければ、相手はにやりと笑っている。
「な、わかっただろう。あれを毎日やられてみろ」
「・・・・・・えぇ。とりあえず、通信室には向こう一ヶ月はヒューズ中佐からの電話を取り次がないよう連絡しておきます」
「頼む。なるべく家にも帰らんほうがいいな・・・・・・そうか、中尉の家ならば安全か。よし、しばらくの間中尉の家に避難するとしよう」
「どさくさに紛れて何馬鹿なことを言っているのですか。入れませんよ」
「困っている上司を見捨てる気か!?」
「それとこれとは話が別です!それだったらハボック少尉のところにでも転がり込めばいいではありませんか!」
とにもかくにもこれで一月は安寧を確保したと安心したロイが、やだやだやだやだと足をバタつかせているその頃中央では。
「なんだよ。ロイもリザちゃんもいきなり電話を切りやがって。ひょっとして手でも滑らせたか?」
自称世界一幸せな男は、同時に世界一ポジティブ思考な男でもあった。
「おっちょこちょいだなぁ。そんなんで東方は大丈夫かね。まあいっか。どうせ明日から二泊三日で東方出張だ。そんときにたっぷり幸せを分けてやらねぇとなぁ!」
そういえば出張の話をし忘れた。家に泊めてくれと言うのも忘れた。
まあそれもこれも告げる前に向こうが手を滑らせてしまったせいだ。いきなり行って驚かせるのも悪くないだろう。
待ってろよ、グレイシアとエリシアの写真、たっぷり持っていってやるからな~。
ヒューズの叫び声が軍法会議所中に木霊したのを、当面の安寧は確保したと思い込んでいるロイとリザは、知らない。
親馬鹿中佐に振り回されるロイとリザ。
翌日からの三日間、ロイはげっそりやつれるんでしょうな。
その前に、ヒューズさんが三日間も家族と離れっぱなしでいられるかどうかが問題でしょうが。
「君のなにもかもが、ほしい――――」
薄暗いバーのカウンターに並んで座って、お互い前を向いたままで。身を寄せるでもなく、少し掠れた声でそう囁かれて、リザは瞠目した。
ついで、少しばかり腹が立ててみる。
今更何を言うのだこのひとは、と。
リザは、その身も心もすべてロイに捧げているつもりだ。ロイを守るためならば身体を投げ出しもするし忠誠を誓うのはすべて彼唯一人。 それを知らない彼でもあるまい。
だが、彼の台詞が真実何を意味するのか。
わからないほどリザも初心(うぶ)ではない。
そっと隣に座るロイを盗み見る。
アルコールのためかそれとも何がしかの感情のためか、切れ長の目元が赤く染まっていた。手をカウンターの上で組み、その眼は少し不貞腐れたように前を見つめる。
確か、スコッチのダブルをロックで頼んでいたはずが、前に置かれたグラスの中はいつの間にかすっかり空で氷がただ静かに溶けるのみ。
リザは、声には出さずに口許だけでくすりと笑った。
いつだって傲岸不遜、自信たっぷりに振舞うロイ・マスタングが、部下――いや、女性を前に緊張している。女性の扱いにだって長けているのに、あんな陳腐な口説き文句をようよう搾り出す体たらくとは。
あぁ、なんて莫迦なひとなんだろう。
本当に、何を今更。
器用に見えて実は不器用。人の心の内を簡単に読んでしまうかと思えば肝心なところで眼が曇る。
「・・・・・・私は」
部下として。「この身も心も、すべてはあなただけに」
そして、女として。
「そう思っています・・・・・・」
すべてはロイ・マスタングその人だけに。
こちらを向いた黒の瞳をひたと見据える。
「これで、答えになっていますか?」
それともまだ足りないですか?
真っ直ぐに彼を見やれば、その眼が大きく見開かれ、そして、破顔一笑。
「・・・・・・いや、十分だ」
まるで子供のような無邪気な笑顔は、すぐにいつもどおり不敵に変わる。実に彼らしい表情で、つい安心を覚えてしまう。
「今夜は、覚悟したまえよ」
自信を取り戻した途端に調子に乗るところは悪い癖だと思うけれども。
へたれっ子ロイ。
私が書くとアホかヘタレのどちらかですね。
えぇそれしか書けません。
ロイ→アイのようでロイ←アイ?
しかし・・・・・・ぬおぉぉぉ背中がッ!背中がかゆいッ!!!(なら書かないで掻け)
をお遊びでやってみたら、あまりにもしっくり来すぎて紅茶吹いちゃった(←マジ)のでご紹介。
ロイ「ねぇねぇリザ君!『ピザ』って10回言って!」
リザ「やだ」
ロイ「……」
二人を包む何とも言えない嫌な空気。
次の瞬間、とんでもない出来事が!!
※次週の『サッカー大好きハボック君』には、ハボック君が出てこない場合が有ります。ご注意下さい。
いいねいいね!
ロイの言葉をゼロコンマ一秒の速さで斬って捨てるリザちゃんカッコいい。
中でも私が一番ツボにはまったのは、最後一行。
「ハボック君が出てこない場合が有ります」って、予告じゃメインのような扱いなのに出てこないの!?しかも場合があるって、まだ決まってないのかよ!!
きっと、ロイがハボックの出番全部削ってリザにピザを10回言わせるべく空回るんだろうな~。
その頃ハボックは校庭の隅っこで一人寂しくリフティングなんかやってるんだ。
調子に乗ってもう一回。
「きゃー!!!」
不気味に響くロイの叫び声…。
それに気付いたリザは走り出す!!
しかし目の前に現れたのはふんどし姿のハボックハボック!!!
恐怖で震えるリザ…。
ロイは無事なのか?!
何コレ、ロイってば貞操の危機!?
出番削られたハボックの復讐かしら??
しかしハボック、あのガタイだからふんどし似合いそうだよなー・・・・・・。
誰かさん、今度ふんどしハボック描いてくれないかしら(ニヤリ)
誰かさんへ
ここ見てたら今度ヨロシクね!
やっぱり気になりませんか皆さんの身長。
ロイリザ好きとしては、特に二人の身長差はさ!
鋼は、ファンブックの類がいろいろ出てるわりにはありがちなキャラの設定(身長/体重/血液型/誕生日 etc)が全然ないですよね。
なけりゃないで妄想してみよう!
というわけで、ロイ以下5名の身長について妄想して考えてみます。
一番わかりやすい資料が、マスタング組が全員横並びになっている「第38話 反撃ののろし」の回の表紙ですのである程度それを元ネタにしてますが、大半はおふざけや私の願望ですのでその点はご了承くださいまし。
まずはみんなの背比べ。
ちまき食べながら司令部の柱にでも傷をつけるといいですね!
まあそれは置いておいて、一番背が高いのは、ハボックかファルマン?
ハボックとファルマンがほとんどおんなじなんですね。
特技が肉体労働のハボックはわかるのですが、ファルマンも意外とノッポでしかも肩幅広めな感じ?
けどあまり鍛えてる印象がないので、体重はハボックのほうが10kgは差をつけてそうですね。
この二人にずいぶんと水をあけられて、その次がロイですね。
ブレダはロイより少し低いんだー。あの横幅だからもう少し大きいかと思ってた。
そしてリザ、フュリー、ハヤテ号と続くわけですね。
続いて具体的な数字について。
当たり前の話ですが、鋼世界の平均身長なんぞわかりっこないので現代日本の尺度でいきます。
ここからは全部私の願望です。
まずはこのお二人から。
ロイ・・・173cm
リザ・・・164cm
男性陣の中では、ロイが一番平均的な身長っぽく見えるので、高くも低くもない173cm。
リザさんは、女性にしてはそこそこ高く見える164cm。
ロイとリザの身長差は、本当は10cmは欲しい。
それくらいの差が、並んだときに一番キレイに見えるようです、宝塚では。
この数字だとギリギリ1cm足りないんですが、そこがロイの詰めの甘さっぽくて私的にヨシ!
それにやつが174cmというのは数字の並び具合が私の中でどうにもしっくり行かないんですよね~。
ロイは、リザに靴をプレゼントするときはヒールの高さは5cmまでと決めてますよ、私の中では(←水戸黄門の印籠のようだ)。
絵で見る限りはリザのほうが引いてるから、実際の差は5cm程度しかなさそうなんですが(笑)
ハボック・・・183cm
ブレダ・・・169cm
ファルマン・・・181cm
フュリー・・・158cm
ハボックとファルマンは、やっぱりハボックのほうに軍配ということで。
この二人は180越えでしょう。
ブレダは、実は170ないんじゃないのかなーというのがあの絵での印象。
こちらもギリギリのところで涙を飲んでます。
フュリーの158cmは、実はちょっとした意地悪です(笑)
158より159のほうが、160cmに近くてジタバタしたりさば読んでみたりしそうだけど、158ならいっそ諦めがつくかなーなんてね、エヘヘ。
フュリーには、涙より諦めのほうが似合いそうなどと勝手なことを思ったり・・・ごめんよフュリー(^^;
番外:ブラックハヤテ号・・・30cm(地面から肩までの高さが)
彼には、あんまり大きくなりすぎないでほしいと思います。
ちっちゃい身体ですばしっこく動くほうが疾風の名にピッタリ。
ハチクロのリーダーみたいに大きな身体で「リザさんリザさん!(はふはふ)」ってなるのも可愛いんだけどね。
以上、勝手に身長考察してみました。
このネタに関する皆様のご意見考察などお待ちしております(笑)
「・・・・・・以上が、明日の軍議で予定されているアジェンダです。こちらが資料になりますので事前に目を通しておいてください。それと、これは先日取り押さえたテロリストの一覧とその調書です。武器調達担当もこの中におりますので、ここから闇市場への武器の供給元を割り出すことが出来るかと・・・・・・」
「中尉は額が広いんだな」
真面目な仕事の話を遮って、何をいきなり言い出すのだこの上官は。
はぁとため息をつきそうになるのを、リザは寸でのところで堪えた。
彼が突然、何の脈絡もないことを言い出すのは特別珍しいことではない。こちらが下手にリアクションを取れば、調子に乗ってますます仕事から逸脱していってしまうことは、経験上よくわかっている。
慣れてしまうのもなんだか空しさを感じるが、無視を決め込むのが一番と、長い付き合いの中でリザは悟っていた。
「・・・・・・出来るかと思います。現在イーストシティで怪しいと思われる武器商のリストは先週ブレダ少尉が・・・・・・」
「さわってみてもいいかね?」
けれど、時としてそんな彼女の努力を簡単に踏みつけてくるのが、このロイ・マスタングなのである。
うまくいくときはここであきらめてくれるのだが、どうやら今日はそうは事が運ばない日らしい。
机に両肘をついて組んだ手の上に顎を乗せて、邪気のなさを装う笑顔。
「その瞬間、私にはあなたをセクハラで訴える権利が生じることになりますが」
そうなれば、あとリザに出来ることといえば、表情と口調は崩さずに、冷たい視線を投げかけることくらい。
「さわりたいのならばご自分のをさわればよろしいでしょう。もしくは他のご婦人に頼んでみては?額くらいいくらでもさわらせてくれるでしょう」
「自分のなんかさわったって楽しくもなんともない。他の女性は今ここにはいないし、何より、私がさわりたいのはリザ・ホークアイの額なんだ」
というわけで、さわってもよいかね?
いったいどういう理屈だ。まるっきり子供のそれではないか。
だがそれを指摘したところで、それがどうしたと開き直るのは目に見えている。
本当に、今日はうまくいかない。
「・・・・・・どうぞ」
こうなったら、とりあえず付き合うのが実は一番短時間で済む方法なのだとわかったときには、全身から力が抜けたっけ。
不本意ながら、少し腰を屈め机に両手をついて額を差し出すと、子供のような上官はにっこり笑って腕を伸ばしてきた。
右手――紅蓮の焔を生み出す手が、リザの額をすっぽり包み込む。
「ふむ、さすがに私の手のほうが大きいか」
「当たり前です」
「少し冷たいな」
「大佐の手が熱いのではありませんか」
じんわりじんわりと。額を覆う掌から熱が染み込んできて思わず目を閉じる。
「んっ・・・・・・」
親指で鼻筋をなぞられた。鼻の頭から眉間まで、何度も何度もゆっくりと、撫で上げてゆく。
これではまるで、犬のようではないか。
目は閉じたままに、リザの眉間に軽く皺が寄る。――その扱いが嫌だからではない。心地よいくすぐったさに身を捩りそうになったからだ。
鼻梁をなでていた指が、今度はその皺を伸ばすように、円を描くようにほぐしてくる。
その動きに合わせ、身体に入った余計な力を抜くようにゆるく息を吐くと、それは驚くほど熱かった。
ああ、やっぱり自分はこの人の狗なのだ。もしも私に尻尾があれば、無意識のうちにぱたりぱたりと振れていることだろう。犬の耳があればぱたりと伏せて、床に転げておなかを見せて。
額に当てられた手が、その圧をほんの少し弱めた。
それを合図にそっと瞼を開ければ、黒の瞳が満足そうに笑っている。
「――――もういいでしょう」
盛大に眉を顰めてぐいっと右腕を押しやると、「寂しいなぁ」などとぶつぶつ言いながらもおとなしく書類に目を通し始めた。
寂しい?
それはこちらの台詞だと、ついさっきまで自分にふれていた手がページをめくるのを見つめながらリザは心の中で呟く。
これ以上触れられていたら自分の方が離しがたく思いそうだった、なんて、決して告げはしない。
――どうせ、ばれている。
わんこリザたん。ご主人に撫で撫でしてもらえれば問答無用で嬉しい。
リザさんの額はすべすべしててさわり心地が良さそうです。