8月の読書メーター
読んだ本の数:27
読んだページ数:7321
ナイス数:531

サイレントシンガーサイレントシンガー感想
内気な人の会が集まっているアカシアの野辺で、雑用の仕事を担うリリカと祖母。リリカはいろいろな歌の仕事を受けるが、リリカという存在を消した歌声を求められる。小川さんならではの静けさを感じられる作品。存在感をアピールしない人や生物があること、でもそこには確実に息づかいがあることが伝わってくる。
読了日:08月01日 著者:小川 洋子


泣きたい午後のご褒美 (ポプラ文庫 ん 1-19)泣きたい午後のご褒美 (ポプラ文庫 ん 1-19)感想
喫茶店をテーマにたアンソロジー。6編収録。喫茶店で聞いた話からの謎解き、というのが被っていた。朱野帰子「痛い人生を作る、ルノワールで」が全然違う方向性で面白くて好み。
読了日:08月03日 著者:青山 美智子,朱野 帰子,斎藤 千輪,竹岡 葉月,織守 きょうや


温泉小説温泉小説感想
温泉旅行をテーマにした短編集。6編収録。ストーリーとしては「女友達の作り方」が好きだった。「おやつはいつだって」に登場するトラピストクッキーを食べたくなった。
読了日:08月05日 著者:朝比奈あすか


給水塔から見た虹は給水塔から見た虹は感想
中学生の桐乃と、クラスメートでベトナム人のヒュウ。桐乃は外国人の支援に奔走する母を疎ましく思っているが、ヒュウを通じて日本で暮らす外国人のことを少しずつ理解していく。国籍だけではなくいろいろな差別はあるかと思うが、それをなくすためには実際にその人たちと触れ合って理解することが1番なんだろうと思う。中学生という設定も含めて、読んでよかった作品。
読了日:08月07日 著者:窪 美澄


携帯遺産携帯遺産感想
芥川賞受賞作『ゲーテはすべてを言った』は難しかったが、もう1作読んでみようと手にした。結果的にはこちらの方が面白いと感じた。作家の按と編集者、家族らと言葉についてのやりとりを続けるのがメイン。携帯遺産=鍵付き手帖からきていて、按にとっては、持ち運び可能な財産であり、小説である。
読了日:08月08日 著者:鈴木 結生


中山七里 短いお話ほぼ全部 短編&掌編&エッセイほぼ全仕事! (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)中山七里 短いお話ほぼ全部 短編&掌編&エッセイほぼ全仕事! (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
たくさんの作品を生み出している著者の短編や掌編、エッセイを集めたもの。ボリュームたっぷり。事実をストレートに、皮肉たっぷりに書くところが好き。「論理的な考えというのは人間のマイナス面をデータに取り入れるから、どうしても悲観的な結論を導きやすい。もっとはっきり言ってしまえば、楽観的な見方というのはどこかの為政者が口にする〈百年安心年金〉と同じで、正確なデータもクソもない、ただの希望的観測にしか過ぎない」。

読了日:08月08日 著者:中山 七里


老人初心者のたくらみ (中公文庫 あ 60-6)老人初心者のたくらみ (中公文庫 あ 60-6)感想
『ないものねだるな』改題文庫化。『婦人公論』の連載で、2019年9月から2021年7月に掲載されたもので、コロナ禍の前と後の様子が思い出される。でも、悲観的にならないのが阿川さんのエッセイの良いところ。阿川さんのお母様が亡くなられた時期でもあり、ご実家の片付けが大変そうだなと思った。
読了日:08月09日 著者:阿川 佐和子


立ち読みの歴史 (ハヤカワ新書)立ち読みの歴史 (ハヤカワ新書)感想
立ち読み文化がいつどのように生まれたのかを追った研究。本屋の店員が立ち読みの客をハタキで追い払う…という図も、今の若い人にはピンとこないのだろうな。参考文献の追い方として、なかなか出てこない時に、セットで使われやすい言葉を探すという方法(今回なら、立ち読みに関する文献が見つからないので、万引きに関する文献もあわせて探す)が参考になった。
読了日:08月10日 著者:小林 昌樹


リボンちゃんリボンちゃん感想
頭にリボンをつけている百花。なんとなく12年働き続けているお店の仕事をもちながら、伯母の加代子が営むテーラーの手伝いを始める。個々の身体も心もそれぞれであるということを肯定してくれる安心感が寺地さんの作品だなと思う。オーダーが基本の下着ショップを営むマリエさんと百花のやりとりが印象に残った。百花が「下着ひとつで(※人生を)魔法のように変えられちゃ困ります。〜ここに傷があるな、とか、ほころびがあるな、とか、いろいろ思いながらも大事にしてきたつもりなんです。わたしは、わたしの人生を。」
読了日:08月11日 著者:寺地 はるな


運命の終い運命の終い感想
20歳でデキ婚した彩香。相手は高校時代の先生で、卒業後から付き合い始めた。その相手は彩香が30代のうちに亡くなる。娘は離れて北海道の大学に通い、ひとりで花屋のパート勤めをするなかで出会った大地。程よい距離感を保つというルールで付き合い始めるが…。かなりイレギュラーとされるであろう彩香の生き方。結 出会ったときは運命のように思っても、実際には最初の期待通りにいくことは少ないだろうなと当たり前のような感想をもって読了。
読了日:08月12日 著者:奥田 亜希子


なみまの わるい食べものなみまの わるい食べもの感想
わるたべ第4弾。岩手の「空飛ぶだんご」、実際に見てみたい!うっとりするくらいの新鮮で美味しい芹(銀座三越地下で販売されている)も気になる。芹三昧できたら楽しそう。
読了日:08月12日 著者:千早 茜


冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選 (海外文庫)冬の子 ジャック・ケッチャム短篇傑作選 (海外文庫)感想
ホラー小説集。19編収録。後半はだれてきて、流し読みになってしまった。ブラム・ストーカー賞受賞作「箱」はかなりぞぞっとした(「行方知れず」も同賞受賞作)。
読了日:08月14日 著者:ジャック・ケッチャム


情熱情熱感想
6編収録。大人の恋愛がテーマとなるが、タイトル作もこのタイトルにもあんまりピンとこない。情熱というよりはもうちょっと温度感が低いような。「ひも」、「らっきょうとクロッカス」が好み。
読了日:08月14日 著者:桜木 紫乃


小泉文夫著作選集(1) 人はなぜ歌をうたうのか (小泉文夫著作選集 1)小泉文夫著作選集(1) 人はなぜ歌をうたうのか (小泉文夫著作選集 1)感想
『脳は耳で感動する』(久石 譲、養老 孟司)で触れられていたことをきっかけに手にした。民族音楽学について研究が興味深い。楽器や歌の使われる場面など文化によっての違いがみえる。社会的な束縛が強い社会は打楽器より弦楽器が主となるというのはなるほど。スリランカのヴェッタ族は皆で気持ちを分かち合う時に歌を歌っても、歌を合わせるということはしないが、人間は音程や拍子を揃える必要はなく、一緒に歌うということに意味があると見出したエピソードもいいなと思った。→
読了日:08月16日 著者:小泉 文夫



青い鳥、飛んだ青い鳥、飛んだ感想
コンビニ店主柳田は万引き犯を捕まえようとし、揉み合った結果その相手に怪我をさせ結果的に死なせてしまい、家族との関係が悪化。コンビニ経営ができなくなり、探偵業に。その柳田に、事件の前に万引きを咎められた施設出身者のミチルは、メンエス店で勤務していたところ客にレイプされ、その客をみつけるために探偵を頼ったところで柳田と再会。柳田が死なせた万引き犯の息子もストーリーに絡んできて、重い気持ちに。犯罪により被害者も加害者も家族に大きな影響が出ることの恐ろしさ。
読了日:06月14日 著者:丸山 正樹


日常のフローチャート Daily Flowchart日常のフローチャート Daily Flowchart感想
久々の森さんエッセイ。以前から宣言されていて、だんだんと書くペースを落としている。その分ご自身の好きなことに時間を割いているというのは理想的な生活。
読了日:06月15日 著者:森博嗣


交番相談員 百目鬼巴交番相談員 百目鬼巴感想
非常勤の交番相談員である百目鬼巴が交番で起こる事件を解決するミステリ短編集。6編収録。百目鬼の観察眼が冴え渡る。長岡さんは警察ものの短編が好みだなと改めて感じた。
読了日:06月15日 著者:長岡 弘樹


駅と旅 (創元文芸文庫)駅と旅 (創元文芸文庫)感想
駅から旅へと向かう作品のアンソロジー。6編収録。好みは、砂村かいり「きみは湖」、君嶋彼方「雪花の下」。次点で、額賀澪「明洞発3時20分、僕は君に撃たれる」、鳥山まこと「辿る街の青い模様」。
読了日:06月16日 著者:砂村 かいり,朝倉 宏景,君嶋 彼方,松崎 有理,額賀 澪,鳥山 まこと


ひとひら怪談 森にしずみ 水にすむひとひら怪談 森にしずみ 水にすむ感想
15人の作家による怪談アンソロジー。見開き2ページの掌編で、インパクトは少ないが、一瞬のひゅっとする感覚を味わえる。一気読みしてしまったけど、少しずつ読んだ方がもっと楽しめたかも。
読了日:06月17日 著者:藍内友紀,浅倉秋成,岩城裕明,織守きょうや,ササクラ,澤村伊智,篠たまき,白井智之,津久井五月,百壁ネロ,堀井拓馬,円居挽,円山まどか,矢部嵩


ディア・オールド・ニュータウンディア・オールド・ニュータウン感想
ニュータウンで父が営んでいた蕎麦屋「笹原」を再開させた鳴樹と、その店を訪れる人たちの物語。大きな出来事があるわけではないけれど、その日常が温かい。
読了日:06月18日 著者:小野寺 史宜


ド・レミの歌 (一般書)ド・レミの歌 (一般書)感想
レミさん初のエッセイ集の復刊。夫の和田さんとの出会い、結婚と妊娠、出産について。レミさんの率直な思いが綴られていて面白い。和田さんがレミさんのラジオを聴いて、結婚したいと思ったのが出会いのきっかけで、会って10日で結婚してしまう。すごい決断力だとびっくり。
読了日:06月19日 著者:平野 レミ


ヨシモトオノヨシモトオノ感想
タイトルの意味は「吉本ばなな版遠野物語」なのだが、藤子・F・不二雄の「SF=すこしふしぎ」の考え方に近いとあとがきに。私からすればサイキック・ホラー(というジャンルがあるのか知らないが)。13編収録中、「光」(これは実話だと冒頭で書かれている)、「花」、「最良の事故物件」が印象に残った。生きていることこそ大事、そして生きているなら好きなことをして、行きたいところに行ってとやっていくようにというメッセージとして受け止めた。
読了日:06月20日 著者:吉本 ばなな


珈琲怪談珈琲怪談感想
シリーズものとは知らずに読んだ。現実の世界と黄泉の国との境目が曖昧なのではないかと感じさせるホラー。喫茶店という舞台とあわせて楽しんだ。

読了日:06月20日 著者:恩田 陸


すばらしき新式食 SFごはんアンソロジー (集英社オレンジ文庫)すばらしき新式食 SFごはんアンソロジー (集英社オレンジ文庫)感想
食をテーマにしたSFアンソロジー。8編収録。好みだったのは、深緑野分「足のスープ」、青木祐子「最後の日には肉を食べたい」、椹野道流「おいしい囚人飯」。
読了日:06月22日 著者:新井 素子,須賀 しのぶ,椹野 道流,竹岡 葉月,青木 祐子,深緑 野分,辻村 七子,人間 六度


回復する人間 (エクス・リブリス)回復する人間 (エクス・リブリス)感想
7編収録。著者が人生に対してもっている感覚が短編には表れやすいとあとがきにあった。私は「左手」、「火とかげ」が好み。(どちらも手が使えなくなるという設定で、物語が繋がっているのかと思いきや、別物。)
読了日:06月24日 著者:ハン・ガン


多動脳:ADHDの真実 (新潮新書 1085)多動脳:ADHDの真実 (新潮新書 1085)感想
ADHDについての解説とADHDのポジティブな捉え方について。あまりこれといって目新しい内容はなかった。ADHDが増えた理由として製薬会社の売り込みが大きいのでは、という指摘は他でも指摘されているが、それに加えて、誰でもある程度はADHDの要素に当てはまるということも大きいのでは(思い当たる人のなかの一部は診断をつけてほしいと受診へ)という指摘には納得。
読了日:06月24日 著者:アンデシュ・ハンセン


ヤクザの子 (新潮文庫 い 99-12)ヤクザの子 (新潮文庫 い 99-12)感想

『ヤクザ・チルドレン』改題文庫化。暴力団構成員の子として生まれた14人のインタビュー。皆壮絶な人生を歩んでいる。普通の家族関係、家族の団欒というものを知らないので、傍からみれば信じられないようなことが本人たちにとっては普通のことなので、嫌であっても自身が親と同じような道を歩んでしまうことも多い(中には親を反面教師としていく人もいるが)。暴力団構成員は高齢化、貧困化で年々減少しているが、半グレ(暴力団に属さない不良集団)は増加していて、その子どもたちも同じような道を辿るのだろなと暗澹たる気持ちに。
読了日:06月26日 著者:石井 光太


私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか (実業之日本社文庫)私はなぜにしてカンヅメに大失敗したか (実業之日本社文庫)感想
3作収録。「私はなぜにしてカンヅメに失敗したか」が私小説とあり、筆が思うように進まない著者の様子が面白い。あとの2作はさほど。解説の坪内祐三氏は「デンヤ」を愚作とばっさり。
読了日:06月29日 著者:北 杜夫


幸せおいしいもの便、お届けします (角川文庫)幸せおいしいもの便、お届けします (角川文庫)感想
SNSでつながった人たちが、地元のおすすめの食べ物を送り合うという連作短編集。今はインターネットで各地の食品を買おうと思えば買える時代。それでも、相手のことを思って勧めたいものを考えて選んで送るという行為が素敵。送られた方もとてもうれしいと思う。ゆるゆるとした繋がりが、相手を思う気持ちでもう少ししっかりした関係になっていうようでいいなと思った。
読了日:06月29日 著者:十三 湊

読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:29
読んだページ数:7820
ナイス数:712

【Amazon.co.jp 限定】おいでよ!ラッコ沼への招待状(ダウンロード特典:オリジナル壁紙画像データ)【Amazon.co.jp 限定】おいでよ!ラッコ沼への招待状(ダウンロード特典:オリジナル壁紙画像データ)感想
鳥羽水族館のメイとキラが好きなので詳しく紹介されているのがうれしい。ラッコの生態について知らないことだらけで勉強になった(体脂肪率は1%以下で毛で冷たさから身体を守る、毛づくろいに1日5〜8時間かける、脇の下がポケット状になっていてエサや貝を割るための石を入れておく等)。北海道で野生のラッコが生息しているというのも初めて知った。
読了日:06月01日 著者:


遊園地ぐるぐるめ (一般書)遊園地ぐるぐるめ (一般書)感想
「ぐるぐるめ」と呼ばれている山中青田遊園地を舞台にした連作短編集。8編収録。お客さんや働く人たちそれぞれの日常、非日常。ミニチュアアートの田中達也さんの作品がみていて楽しい。
読了日:06月01日 著者:青山 美智子,田中 達也


アサイラムアサイラム感想
性加害に遭った(「性被害」ではなく敢えて本書内に挙げられている表現で)スミレは、同じような境遇の人たちが暮らすコミュニティで、公的な支援を受けながら暮らしている。そのスミレや周りの人たちの心の回復の過程が描かれる作品。同じ出来事も、加害者と被害者で捉え方が全く違い、加害者の方がそのこと自体を軽く捉えがちなのは現実でもそうだと思う。被害に遭ったときから時間は止まったようになり、第三者からはいつまで止まっているのかと言われ、そのことに傷つくところも。回復過程の途中まで描いて結末を迎えるところに好感がもてた。
読了日:06月01日 著者:畑野 智美


おいしい季節がやってくる。 (集英社文庫)おいしい季節がやってくる。 (集英社文庫)感想
ごはんシリーズ第3弾。4作の間に挟まれている「おむすび・結」のストーリーとおむすび、豚汁が美味しそう。海の家を舞台にした「夏の鉄板前は地獄」が好み。「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」は早くに夫に先立たれ、家族のいない冬美が子ども食堂を運営し、そこで育った子どもが立派に成長を遂げるストーリーは、内容としては良いけれど、そもそも子ども食堂自体を賛同できないので、あまり子ども食堂を感動ストーリーのモチーフとして使ってほしくないなという気持ちに。
読了日:06月04日 著者:行成 薫


目には目を目には目を感想
少女を死亡させた事により逮捕された少年A。その少年Aは少年院を退院して職にも就いていたが、少女の母から報復として殺されてしまう。その事件の真相を追い、ルポにまとめようとする刈谷。事件の真相がラストまで見えず、また刈谷と事件のつながりも後の方でわかって、事件の展開がある度にひやりとした気持ちになった。「目には目を」は認められるのか、否か。読み応えのある作品。
読了日:06月05日 著者:新川 帆立


花粉はつらいよ花粉はつらいよ感想
花粉症エッセイアンソロジー。花粉症の辛さはある程度症状と辛さが似通っているためか、独自の色があまり見えず、あまり面白さを感じられなかった。面白いなと思ったのが、宮田珠己氏「花粉症、それは恋」。(花粉症であることを)「認めたが最後、敵に主導権を握られてしまうのが恋と花粉症なのである」。牟田都子「サイン」や吉田菜央「告白の兆し」は自身の花粉症との付き合い方が描かれているのが良かった。
読了日:06月06日 著者:


にげてさがして (一般書)にげてさがして (一般書)感想
危険から逃げるため、大事な人や何かに出会うために、動くこと。それが生きること。同じタイミングで出版された『もしものせかい』よりこちらの方がわかりやすい内容。
読了日:06月07日 著者:ヨシタケ シンスケ


救われてんじゃねえよ救われてんじゃねえよ感想
第21回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作。家庭の経済状況にゆとりがなく、難病の母の介護と家事を担う沙智。今でいうヤングケアラー。家庭環境を疎ましく思いながらも、なかなか親を断ち切れないのが、子なのだろう。親に何度も引きずられそうになりながらも、だんだん強くなっていく沙智の姿が頼もしい。折れないでね。
読了日:06月07日 著者:上村裕香


Jミステリー2025 SPRING (光文社文庫 こ 1-31)Jミステリー2025 SPRING (光文社文庫 こ 1-31)感想
6人の作家によるミステリー短編集。長岡弘樹「名もない男」と紺野天龍「死を招く蝶」が好み。
読了日:06月09日 著者:


汽水域汽水域感想
死傷者7名の被害が発生した事件の加害者・深瀬は死刑になることを望んでいる。その事件を追うフリー記者の安田。安田は被害者側の声、深瀬と関わりのあった人物の声を聞きながら、果たして死刑となるのが良いのか、安田自身の生い立ちとも重ねながら考える。タイトルの汽水域の意味が最後に活きる。読み応えがあった。
読了日:06月10日 著者:岩井圭也


団地メシ!団地メシ!感想
ゆりおばあちゃんと、高校に行けなくなった孫の花のふたりが団地のなかにある食べ物屋さんに出かけていく物語。最終的にはゆりおばあちゃんの目標までできてめでたしめでたし。ふたりのやりとりを楽しんだ。
読了日:06月11日 著者:藤野 千夜


逃亡者は北へ向かう逃亡者は北へ向かう感想
東北の大地震直後に殺人を犯して逃走する真柴亮。幼少期に見捨てられた父に会いに行こうとする。その亮の行方を震災後の混乱のなか追う警察。ページを繰る手が止まらず一気読み。展開にハラハラした。頼れる人がいなくて、生きていても何も良いことがないと思うと、自暴自棄になって犯罪を犯すハードルがぐっと低くなってしまうんだろうなということを改めて感じた。
読了日:06月14日 著者:柚月 裕子


生きる言葉 (新潮新書 1083)生きる言葉 (新潮新書 1083)感想
言葉にまつわるエッセイ。途中まで読んで、数週間空けてしまい前半部の内容はほぼ忘れてしまった。SNSが日常にある現在、書き言葉と話し言葉がどんどん近づいているなかで、言葉の使い方を考えるきっかけになる1冊。短歌は使える文字数に限りがあるからこそ、端的に表現しようと削ぎ落とす努力が必要(どのように受け止めるかは読み手の心情も反映されやすいが)。ネット、SNSは文字数に制限がないから、書き手が思いの丈を表現できると思いがちだが、冗長なだけでかえって伝えたいことが伝わらないこともあるだろうなと思った。
読了日:06月14日 著者:俵 万智


酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話感想
松本先生、横道さんの往復書簡。おふたりの著作をそれぞれ読んだことがあり、読むのが楽しみだった作品。知的好奇心を刺激され、私自身の勉強になるところも多かった。松本先生から、回復の鍵を握るものとして、支援者や仲間とのつながり=「回復のコミュニティ」を維持することが重要だとあり、依存先(酒や薬)をやめているかどうかは二の次だとのこと。そのために依存症の治療には自助グループへの参加が有効だとされるけれど、実際にはつなげるまでが大変だと思う。個人的に興味深かったのは、依存からの回復の12ステップは→
読了日:06月14日 著者:松本俊彦,横道誠


受け手のいない祈り受け手のいない祈り感想
総合病院で勤務する医師の公河。同期で、別の病院で勤務する医師が勤務先で過労が原因と思われる突然死した。公河の勤務先の病院は、近隣の救急受入れ停止する病院の影響で救急要請が頻繁となり、医師の退職が続く。残った医師は仮眠もとれずに70時間超の連続勤務ということもある日常。「誰の命も見捨てない」を院是とする病院だが、医師の命は見捨てられるのか。壮絶な病院ルポを読んでいるような気持ちになった。現実にもこちらに書かれているのと近いことが起こっているのでは。
読了日:05月19日 著者:朝比奈 秋


いただきますは、ふたりで。:恋と食のある10の風景 (新潮文庫 し 21-112)いただきますは、ふたりで。:恋と食のある10の風景 (新潮文庫 し 21-112)感想
食と恋愛をテーマにしたアンソロジー。好きだったのは一穂ミチ「わたしたちは平穏」、奥田亜希子「白と悪党」、原田ひ香「夏のカレー」(既読)。
読了日:05月21日 著者:一穂 ミチ,古内 一絵,田辺 智加,君嶋 彼方,錦見 映理子


裸足でかけてくおかしな妻さん裸足でかけてくおかしな妻さん感想
タイトルが好みではないなと思いながら吉川さんの新作なので手にした。作家の太陽の子を宿した楓は、太陽の妻・野ゆりと共同生活を始める。だらしない太陽を楓も野ゆりも冷めた目で見ている。エンディングはそうなるだろうと思うところにちいきついたが、そもそも太陽にあまり魅力を感じられない。女性との縁はあるように描かれているが。
読了日:05月22日 著者:吉川 トリコ


湯気を食べる湯気を食べる感想
食べ物エッセイ。食べることについて考えることは好きな著者。自炊でも買ったものでも自分のために食事を用意することをまかないだと考えているのが面白い。「料理は愛だけれど、料理だけが愛ではない」。たらきく(鱈の白子)の麻婆、たらきくの味噌汁が美味しそうで気になるし、日本酒愛について語られているのも良い。著者の住まう東北の酒が好きだということを蔵元さんに話をしたら、「日本酒は空気と水なので」と言われたというエピソード。わかるなぁ。
読了日:05月23日 著者:くどうれいん


森のカフェと緑のレストラン 京都・滋賀 (ぴあMOOK)森のカフェと緑のレストラン 京都・滋賀 (ぴあMOOK)感想
京都、滋賀にあるカフェ・レストラン紹介。醍醐寺のフレンチカフェと青岸寺(米原市)のカフェが気になる。
読了日:05月24日 著者:


路面電車で楽しむレトロな小旅行 (TOKYO NEWS BOOKS)路面電車で楽しむレトロな小旅行 (TOKYO NEWS BOOKS)感想
19の路面電車の紹介。関西、四国、中国地方のはわりと乗っている。北海道はどうだったか。路面電車では2023年に75年ぶりに新規開業したという宇都宮ライトレールが興味深い。富山の鉄道市内電車と万葉線には乗ってみたい。
読了日:05月24日 著者:杉﨑 行恭


おんな鉄道ひとり旅 (2) (フラワーコミックスアルファスペシャル)おんな鉄道ひとり旅 (2) (フラワーコミックスアルファスペシャル)感想
列車大好きな著者の列車紹介マンガ。観光列車やグランクラスには憧れる。駅弁やお酒を楽しんだり、駅スタンプの収集をしたりといろいろな楽しみがあっていいなぁと思う。
読了日:05月24日 著者:YASCORN


もしものせかい (一般書)もしものせかい (一般書)感想
大人向け絵本。哲学的。今のこの現実とは違う、もしもあのときああしていたら、という「もしもの世界」のことについて考える。
読了日:05月24日 著者:ヨシタケ シンスケ


おいしそうな文学。おいしそうな文学。感想
文学作品に登場する美味しそうな料理をテーマにしたエッセイ集。何をもって美味しそうとするのかは人それぞれ。印象的だったのは江國香織氏の紹介する庄野潤三作品の普通の食べ物、木村衣有子氏の武田百合子『富士日記』の食事(くどうれいん氏、野村由芽氏も別の武田作品を挙げている)。江國香織氏の『きらきらひかる』に登場するお酒を挙げていた方もおふたり。想像のなかの食べ物ってとてもとても魅力的。
読了日:05月26日 著者:


熊はどこにいるの熊はどこにいるの感想
さまざまな事情を抱えた人たちの登場する物語。不穏な空気が終始漂う。リツ、ヒロ、アイ、サキという名前が自分の中でごっちゃになってしまったのと、文章の相性があまり良くなく読み進めるのに時間がかかった。
読了日:05月28日 著者:木村 紅美


ブレイクショットの軌跡ブレイクショットの軌跡感想
ページ数の多さと導入部のとっつきにくさに怯んだが、途中から面白くなってきて無事に読了。ブレイクショットがキーとなっているが、経済格差、貧困、詐欺、性的マイノリティといったさまざまな社会問題が絡んでくる。些細なことがきっかけで人生は大きく変わるけれど、自分の人生は誰かのために生きるのではなく自分のために生きていくものだということを強く感じさせられた。
読了日:05月29日 著者:逢坂 冬馬


氏家京太郎、奔る氏家京太郎、奔る感想
鑑定人・氏家シリーズ第2弾。ゴミ屋敷のなかから発見された死体。死後かなりの時間が経過していたが、住人のゲームクリエイターであった九十九だと判断される。その死の真相は意外なところに。安定の中山作品。
読了日:05月31日 著者:中山七里


ありかありか感想
シングルマザーの美空と娘のひかりの物語。ひかりの叔父の颯斗も含めて、母娘のなんてことないやりとりがたくさん描かれていて、それらがどれも温かい。ひかりの「すごいね。この家、幸せ多すぎだね」の言葉もいい。美空は自身が子育てすることで、母との関係を捉え直すことができ、強くなっていく。瀬尾さんの作品のなかでもかなり好きな作品。
読了日:05月31日 著者:瀬尾まいこ


嘘と隣人嘘と隣人感想
元刑事の平良正太郎の周りで起こる事件を描いた連作短編集。5編収録。まさかと思うような悪意をもった人が周りにいたらと思うと怖い。
読了日:05月31日 著者:芦沢 央

読書メーター

5月の読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:7052
ナイス数:561

最近最近感想
コロナ禍にある時期の日常を描いた連作短編集。実際に書かれたのはコロナ禍真っ只中の時期ではなく、それが少し落ち着いてからのタイミング。少し時間をおいてその時期を振り返ってみたからこそ、そのときの様子を俯瞰してみられるという良さを感じる。奇妙なおかしさが感じられて好き。特に「カレーの日」、「おおばあちゃん」。
読了日:05月02日 著者:小山田 浩子


風の向こうへ駆け抜けろ3 灼熱のメイダン風の向こうへ駆け抜けろ3 灼熱のメイダン感想
シリーズ3作目。地方競馬場の騎手である瑞穂とフィッシュアイズがドバイワールドカップに招待され、世界に挑む物語。競馬には疎いが、どんどん読み進めてしまうストーリー。
読了日:05月03日 著者:古内 一絵


ノー・アニマルズノー・アニマルズ感想
取り壊しがきまっているマンションで暮らす人たちの物語。今回の連作短編集はこれまでの鈴木さんの作品と比べて、重さは通じるけど明るさもあって面白かった。カバーイラストの雰囲気も好き。
読了日:05月04日 著者:鈴木 涼美


アイドルだった君へ (新潮文庫 こ 78-1)アイドルだった君へ (新潮文庫 こ 78-1)感想
『くたばれ地下アイドル』改題、文庫化。アイドルにまつわる5作品収録。「寄る辺なくはない私たちの〜」が1番好み。アイドル(推し)とはなんぞやということを考えせられる。「くたばれ地下アイドル」、「アイドルの子どもたち」も面白かった。「アイドルはさー、娯楽として即効性があるんだよね。小説も映画も、労働ですり減った頭にはまわりくどいんだよ。良い作品でも、気が滅入ることも多いしさ」、「無責任に他人の人生を消費したいから私たちはアイドルが好きなんじゃないですか?」。
読了日:05月06日 著者:小林 早代子


ひとつの小さな楽園を作る つれづれノート46 (角川文庫)ひとつの小さな楽園を作る つれづれノート46 (角川文庫)感想
つれづれノート46巻。今回は大きなハマりごともなく、他者とのやりとりもほぼなく、日々の身の回りのことの記録。タイトルにある通りの家の中が「小さな楽園」。「なんでもちょうどよくなっている。ちょうどよくできている。」
読了日:05月07日 著者:銀色 夏生


二十四五二十四五感想
第172回芥川賞候補作。家族との関係性を描いているが、あまりよくわからないまま読了。
読了日:05月08日 著者:乗代 雄介


好きになってしまいました。 (だいわ文庫)好きになってしまいました。 (だいわ文庫)感想
単行本は既読。再度読んでも面白く、文庫追記、文庫版あとがきもあって楽しめた。取材や旅行でいろいろな土地を訪れた様子を読んで、旅行に出かけたくなった。山形、宮島、尾鷲もいいし、クラシックホテルもいいな。ひとり暮らし女性の防犯対策として矢沢永吉グッズのタオルを干すという方法、興味のある方はお試しを…笑。
読了日:05月10日 著者:三浦しをん


月収 (単行本)月収 (単行本)感想
6人の女性が登場する連作短編集。各章のタイトルには名前と月収が明記。生活をどのように回していくか、収入をいかに増やすかといったことが描かれている。お金がなければ収入を増やすのと支出を削る手段を考えるのが最優先だけど、収入が多くてなにもせずとも暮らしていけても、人との関わりなしで生活するのは張り合いがなくなるし、なにかしたくなるんだろうなと感じた。
読了日:05月10日 著者:原田 ひ香


小説小説感想
本屋大賞ノミネート作品ということで手にしたけれど、時代の行き来があり、SFっぽい印象で私の好みからは外れていた。残念。
読了日:05月11日 著者:野崎 まど


おいしい推理で謎解きを たべもの×ミステリ アンソロジー (双葉文庫 ほ 07-07)おいしい推理で謎解きを たべもの×ミステリ アンソロジー (双葉文庫 ほ 07-07)感想
食べ物をテーマにしたミステリーアンソロジー。4編収録中、友井羊「嘘つきなボン・ファム」(「スープ屋しずく」シリーズ)、近藤史恵「割り切れないチョコレート」(「ビストロ・パ・マル」シリーズ)が好み。
読了日:05月13日 著者:近藤史恵,友井 羊,深緑野分,矢崎存美


ブリス・モンタージュ (エクス・リブリス)ブリス・モンタージュ (エクス・リブリス)感想
「全米批評家協会賞」受賞作品。8編収録の短編集。「G」、「北京ダック」が好み。さらりと読んでしまったけど、もうちょっと時間をかけてゆっくり味わった方が良かったかなと思う。
読了日:05月15日 著者:リン・マー


まいにち酒ごはん日記まいにち酒ごはん日記感想
2018〜2021年までの酒とごはんの日記。2022年に発売されてすぐに買っていたのに途中で読むのが止まっていて、やっと読切り。写真からも文章からも美味しそうなことが伝わってくるのがいい。おつまみのヒントにもなるし、いろいろな土地での記録はそこに行ってみたいという気持ちにさせられる。食べ飲みが好きな人の文章はいいな。
読了日:05月17日 著者:ツレヅレハナコ


運命が変わる手相入門 手に秘められた才能を知って幸運を導く運命が変わる手相入門 手に秘められた才能を知って幸運を導く感想
たまに気になって手相の解説をみたりするけれど、それをみても自分で判断するのは難しいなというのが実感。
読了日:05月18日 著者:手相鑑定士トッチー


YABUNONAKA―ヤブノナカ―YABUNONAKA―ヤブノナカ―感想
1週間近くかけて少しずつ読んだ。 性加害やその他の事柄でも間違ったことを許さず、社会を変えていくべきという考えの作家長岡友梨奈と周囲の人たちの物語。元担当編集者の木戸とその部下で長岡の担当を引き継いだ五松はSNSで性被害を告発される。長岡は既婚でありながら年下の恋人一哉がいて、離婚と別居中の娘・伽耶との生活を望んでいる。長岡と関係する人物がいろいろなところでリンクしていく。長岡の理想とする正義をどれだけ他者にも求められるのか。ゾワゾワして、途中吐き気のするようなところもある。重い。
読了日:05月18日 著者:金原 ひとみ