「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい」
生きることに疲れ果てたとき、この世から消えたい…死んで楽になりたい…
人間には、そんな抗い難い負の引力に引き寄せられる魔の刻があります。
「自死」→全ての問題解決→苦しみからの解放
追い詰められ逃げ場を失った人々の、絶望と孤独に打ちのめされた末の刹那的な選択。
毎年、2万件以上起きてしまっている自殺の動機を多い順で並べると
健康問題、家庭問題、経済的問題、職場(仕事)問題、男女問題、学校問題、子育て…と
生きていく上で避けては通れない社会的要因に内包されている問題から…とされています。
先進7カ国のうちで死因の1位が「自殺」なのは日本、特に若年層の自殺が深刻化しており
人口10万人あたりの自殺率も突出して高いという統計が出てしまっています。
WHO(世界保健機関)が「自殺は、その多くが防ぐことのできる社会的な問題である」と
明言しているように、人が自殺に追い込まれるプロセス、パターンをシッカリ分析して
それを少しでも防止できる「仕組み・ルール作り」を社会全体で考えていくことが急務です。
【令和に入ってからの自殺者の年次推移】
年次別 | 総数 | 男性 | 女性 |
令和元年 | 20,169 | 14,078 | 6,091 |
令和2年 | 21,081 | 14,055 | 7,026 |
令和3年 | 21,007 | 13,939 | 7,068 |
令和4年 | 21,881 | 14,746 | 7,135 |
令和5年 | 21,818 | 14,854 | 6,964 |
著名人の自殺ニュースが流れるたびに「いのちの電話」の相談窓口がアナウンスされます。
が…死の引力に魅入られた人々のうちの何割が、電話相談をして問題解決を試みるという
冷静な判断が出来るのでしょうか?
自分自身と周囲の人々を「死の淵」へと落とさないための一番大切で有効な方法とは?
困難に出会ったときに、一緒に泣いてくれる人の存在なのです。
人生には一人では立ち向かえない避けては通れない局面が、必ずいくつも起こります。
そんな時に心のままに相談出来て支え合える、知人・友人の人的セーフティーネットを
持っているか否かが大きな分岐点となります。
いつでも誠実に寄り添い、悲しみ・喜びを分かち合える人間関係の構築こそが
「死の引力」に負けない「生の引力」を発揮する大きな力になるのです。
石をもて人を打つなかれ、その悲しみ・苦しみに寄り添い
「喜ぶ者と喜び、泣く者と共に泣きなさい」