ケニー・バロンらバックミュージシャンとの呼吸もぴったりで、
熱の籠もった素晴らしいサックスを聴かせてくれます。
加えて録音もとてもクリアで、ライブ盤ならではの快感を味わえます。
甘美な「I Can"t Get Started」、
思わず息を殺してしまうような深い情感が胸に迫る「Blood Count」など、
繰り返し繰り返し聴きたくなります。
私は、オーディオマニアではなく、
このアルバムも安いコンポでCDを鳴らして楽しんでいますが、
本当はLPで聴きたいところだ、くらいの事は思ったりします。
音質にとことん拘る人々の間でもこのアルバムはなかなかの好評のようです。
素晴らしいオーディオセットで、
LPを聴くとまた違った感慨もあるのだろうな、と想像は出来ます。
先日、渋谷のHMVが閉まってしまうニュースをテレビで観ました。
CDの売り上げが激減したからだそうです。
公平中立の装いのもと、ダウンロードして手軽に音楽を聴くことを奨励し、
CD購入派を時代遅れであると決めつけるようなひどい番組で
(殆どのテレビのニュースは公平ではありませんし、
必要な事実を十分に伝えてもいません)、色々考えさせられました。
ダウンロードして聴く音楽はもはや音楽ではありません。
大いに偏った見解のようで、これは厳然とした事実です。たとえば、
このスタン・ゲッツの傑作を聴きながら、何度も私はそれを確信するのです。



