サム・マイアーズの作品を紹介しましょう。
1936年ミシシッピ生まれ。ドラマーとして出発したことは、
ハーモニカと歌の印象が強すぎて意外と知られていません。
シカゴブルース華やかなりし50年代から活動を始め、
亡くなるぎりぎりまでライブ活動とレコーディングを続けた人でした。
実際には業界全体の不調の中、
一時は過去の人になりつつあった時期もありましたが、
80年代に入って、テキサスのギタリスト、アンソン・ファンダバーと出会い意気投合、
アンソンのバンドザ・ロケッツのヴォーカリストの座に就き、
完全復活を遂げました。今回ご紹介するのはサム加入後最初のアルバムです。
発表は1986年。
ブラックトップというニューオリンズのレーベルからのリリースです。
数々の傑作を世に送り出した名レーベルだったのですが
ブラックトップも今はもうありません。
サムはとても目が悪かったので、どの映像を見てもスーツ姿で
分厚い眼鏡をかけて直立不動で歌っています。
JT30というマイクをベースマン(アンプです)に繋ぐという
王道のセッティングから繰り出される泥臭く、
ブルースの歴史が染み込んだようなハーモニカと、
ソウルフルなヴォーカルは独特な癖になる魅力があります。
レーベルに対する思い入れと共にとてもよく聴いた作品です。
なお、このアルバムのタイトル曲にもなっている
「My Love is Here to Stay」は
サムのデビューシングル(1957年)のセルフカバーです。
エースから出ていたシングルも強烈な出来です。
別なコンピ盤で聴けますのでそちらも是非どうぞ。