『パーフェクトワールド』(米) | 極私的映画と音楽のススメ

極私的映画と音楽のススメ

印象に残る映画には印象に残る音楽がある。
思い出の名場面に流れていた音楽、言葉などをご紹介


ラストシーンがとても印象に残る映画ってありますよね。


第3の男もそうでしたし

ニューシネマパラダイスもそうでした。



この表題作も、ラストシーンが忘れられない名作です。


草原に横たわるケビンコスナー

彼の周りを紙幣が風に乗って舞い上がる

どこまでもどこまでも


まるで彼の魂を天へ誘うかのように・・・




刑務所を脱走した囚人を演じるのがケビンコスナー。

彼を追う警官役にクリント・イーストウッド。

名優達の競演です。



逃亡中に子供を誘拐するケビン。

逃避行を続けるうちに

いつしか不思議な感情が芽生え、実の親子のような

心のつながりを感じるようになっていく。



心のつながり

それは信頼とも結びつく



人間の最小単位である2人=少年と脱走犯

彼らの心につながりができ、信頼感が沸き起こったとき

それこそ血のつながりを超越した真の意味での家族の

誕生といえるのかもしれない。



もしかするとそれはとても完璧な世界なのかもしれません。



心の共有

気持ちの共有

から、夢の共有、空想の共有まで



心と心の間に壁がなくなることで

多くのことが可能になる。



そこに子供の空想力が加わることで

それは何重にも大きくなる。




しかしその結末は・・・


タイトルのパーフェクトワールド。

完璧な世界は、心のつながりによってもたらさせるが

それは実はひどくもろいもの


そんなことを示唆しているような気がした。



ラスト


草原に横たわるケビン。

彼の頭上で旋回するヘリコプター

舞い上がった紙幣が何十にも彼の周りを覆い、

調子はずれのダンスを踊っている。



実際の映画では音があったとおもうのですが

僕の記憶の中では音のない世界として

記憶されています。




心のつながりが希薄になっている今

再評価されてもよい映画ではないでしょうか?



監督はクリント・イーストウッド。

ぜひご覧になってください。