これって、きっとアルモドバルが自分の趣味を優先させて作った映画なんだろうなあ
と見終わった後に感じました。
過去の名作に見られるような大きなテーマなどなく
たんたんと禁断の愛の姿がつむぎだされていく。
謎の青年があらわれるが、その正体が発覚したからといって
とりわけ何かが起こるわけでもない。
神父さんも、なんだか存在感がない。
この映画はいったいなんなのか?
70年代後半。
ジェンダーの名の下に、男達は化粧を始めた。
音楽のフィールドではグラムロックなるものが隆盛を極める。
アメリカでもグリニッジビレッジは性の解放区として
同性愛者が闊歩し、風俗店などが街を埋め尽くしていた。
同性愛という言葉が、独り歩きし、
同性も愛せることが、トレンドであった時代。
ミック・ジャガー、デイヴィッド・ボウイ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、
アンディ・ウォーホール・・
この時代に活躍したスター達は、軒並みこのトレンドに
自らのりだしていく。
しかし
この輪の中からおきたとある病気によって、
このトレンドは急速に下火になっていく。
それはエイズ。
この映画で描かれる背景。
それはきっとエイズによってメインストリートから
消えていった開放的な性の名残。
そう、この映画はきっと
70年代末から80年代初頭にかけての
性文化へのオマージュなのだ。
●ペドロ・アルモドバル監督作品
http://ameblo.jp/bluenote7777/entry-10009815500.html『マタドール』
http://ameblo.jp/bluenote7777/entry-10010243337.html
『オールアバウトマイマザー』
http://ameblo.jp/bluenote7777/entry-10003855050.html
『トークトゥハー』
http://ameblo.jp/bluenote7777/entry-10004501498.html