ルイス・ブニュエルといえば、
スペインを代表するシュールレアリストであり、映画監督でもあります。
この映画、
メキシコスラム街の少年を描いたものです。
タイトルにあるように、まさに世間から”忘れられた人々”に焦点を当てています。
そのスラム街で暮らす少年の生々しい日常、そして背徳すら感じさせる風景を
ときおり挿入されるブニュエル特有の映像でもって効果的に表現している。
彼の映画の特徴は夢でしょうか。
夢の中の白い鳩・・
なぜそこに鳩がいるのか不自然なのだし、違和感を感じるが、妙にすっと入ってくる
そんな印象的な映像を夢の中に持ち込むことで顕在化させている。
猛スピードで突進する鶏
その鶏が、いきなり首を落とされ、滴り落ちる鮮血
その血が飛び散る画像。
アンダルシアの犬もぬぬぬ?
という映像の集積だったように
この映画でも万人が期待するブニュエルの映像がふんだんに盛り込まれている。
彼の映像はそれ自体が生き物のような気がする。
映像自体が、夢想し、空想し、ときには歪み、苦しむ。
クライマックスへとなだれ込む様は、
命の炎が燃え尽きる直前に、一段ときらめきを増した炎を見ているかのようだ。
この映画は理解するものでも解釈するものでもない。
ただ、この映像に、このあまりにもリアルな映像にただただ何かを感じていけばいいのだと思う。
30年代のスペインが残した偉人です。