一期一会コンでジュンスが歌った日本語曲のひとつ、中島みゆきの『空と君のあいだに』。有名な話ですが、この歌は大ヒットドラマ「家なき子」の主題歌でしたよね。


当時聞いた話で、なるほどな、と思ったのは、この歌、一見、自分に振り向かない女性をずっと見守る男性の気持ちを歌っているように聞こえるんですが、実は、犬の目線で書かれたものだという話です。

当時、みゆきさんが話す記事を読んだんだと思いますが、それは意図的にというよりむしろ、しかたなくというニュアンスだったと記憶しています。

主題歌を作る時点で、ドラマの内容はまだ固まっておらず、ただ子役の安達祐実と、その子が飼っている犬が出る予定だということだけが分かっていて、みゆきさんは、犬が好きだから引き受けたって話していた気もします。それで、内容の詳細は分からないけど、犬の目線でだったら書けるかな、と思って書いたんだって、さらっと言ってました。

もちろん、擬人化して、意味や解釈を多様化させる意図はあって書いてると思うけど、にしても、犬の目線で、こんな詞が書けるものなんだなぁ~って、感動したのは忘れません。

とくに、みゆきさんが歌うと、余計に、犬の目線ってことが浮かばなくて、それも狙いで、そうすることで歌が、聞く人によっていろんな風に膨らむのを楽しんでいたんじゃないかなぁと思います。


歌詞にある『ポプラ』は並木道、防風林として利用されるもの。北海道に多いみたいです。
ポプラの枝になって、彼女を守るというイメージは、北海道出身のみゆきさんには、すんなり浮かんだものなのかもしれません。


犬の目線だと、世界は全く違ってくる。小さい犬の目線からは、確かにポプラの枝は、頼り甲斐があるようにみえるのかもね。

この歌で、小さいもの、弱いものの目線で、歌を作ろうと思ったみゆきさんは、他の曲でもよく、踏みにじられる痛みや悔しさみたいなものを歌ってきたように思います。そして、どん底まで落ちた後に見える微かな希望を、いつも歌ってきたと、私は思っています。

中島みゆきの歌は、昔、暗い暗いと言われていたけど、人間駄目なときは、明るい歌がしんどかったりします。簡単に明るくなれない時に、彼女の世界は、癒しだったなあと、今思います。

厳しい現実、楽観できない未来を十分分かった上で、それで、生きるか死ぬか…でも、生きてみるかっていうような。


今回、一期一会コンでは、ジュンスの『空と君のあいだに』と、ジェジュンの『化粧』の2曲も、みゆきさんの歌がありました。不思議な気もしたけれど…、なんかね、いろいろ考えてると、JYJが、中島みゆきの歌に辿り着いてしまうのは、頷ける気がしてきました。

犬の目線の話も含めて、彼らが、どこまで、どんな風に、みゆきさんを知ってるのか分からないけど、あの年で、あんな風に、中島みゆきが歌える"JYJ"って、凄いし、素晴らしい、と思います。あらためて、私が、彼らを好きになるはずだなあと思いました。


さて、そんなことを知ってか知らずか、ジュンスはこの曲と出会い、きっと…、ファンのみんなを守りたいのに、無力で悔しくて、それでも命がけでステージに立って、全力で歌うことで、君たちを守りたいと思ってるって、伝えたかったんじゃないかと、私は思いながら、聴いていました。

ほんとに、ジュンスが、白くて無垢で小さい犬のように見えてくるんです。

自分の方がたくさん傷ついているのに、それに気づくこともしないで、ただ歌うしか武器を持たないかのように、常に必死で歌う彼を思うと、彼の歌う、ステージに立つ、生きる姿勢を疑う気にはなれません。きっと彼は、ステージに立ち、みんなの前で歌うのに、恥じるようなことは絶対したくないんだろうと思うし、してないと信じています。今回のことも、一ミリも疑う余地はなかったです。


私たちこそ、ジュンスが、どんなに苦しく、傷ついているときにも、そばにいてあげることも、助けてあげることもできなくて、悔しいですよね。

でも、心では…、空とジュンスのあいだに、冷たい雨が降るときは、いつでも、彼の、彼らの傘でいたいと思う気持ち、同じじゃないかと思います。


負けるな、JYJ!



中島みゆき

空と君のあいだに

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

君が涙のときには 僕はポプラの枝になる
孤独な人につけこむようなことは言えなくて
君を泣かせたあいつの正体を僕は知ってた
ひきとめた僕を君は振りはらった遠い夜

ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ いつまでも

空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる

君の心がわかる、とたやすく誓える男に
なぜ女はついてゆくのだろう 
そして泣くのだろう
君がすさんだ瞳で強がるのがとても痛い
憎むことでいつまでもあいつに縛られないで

ここにいるよ 愛はまだ
ここにいるよ うつむかないで

空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる

空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる