自伝小説(Aという登場人物を出すことで客観視している)でありながら、どのように過去・現在、未来に関わっていくのかを説いている作品。


人間は孤独でありながら世界と関わっている。記憶を思い出すときだって、他人と話すときだって、本を読むときだって、言語遊びをするときだって、これらの行為は他からの影響を受けているのである。これらに関わることで、我々は世界に対峙しているのだ。


ただ触れるべき世界は偶然により決まり全てに触れることはできない。だから、自分の触れた世界は大切にしたいと思う。


本だったり、音楽だったり、映画だったり、触れるべき世界は無限にあるけど、全部触れられなかったからって悲観することはない。どんなものでも、世界と対峙し、理解に繋がるのだから。


また、第1部の父親パートはとても良かった。父親を探ることは自分を探ることに繋がる。母親ではなく父親を見ることで自分という人間を深掘りできるのだ。もちろん、母からの影響も強いが父親からの影響は計り知れないどころか模倣している。自分もそう感じるし、父との思い出を振り返るだけでノスタルジックな気分を強く感じる。


何故だろうか?理由はわからないが作中に出てくる『カラマーゾフの兄弟』を読めば何か気づくことがあるのだろうか?読みたい。