振り下ろされる鉄パイプに対して俺は本能的に頭を両腕で覆う。
すぐ即死級の衝撃に襲われる、はずだった。
ガキィンッ!!
鉄と鉄がぶつかる音がする。
俺はゆっくりと目を開いた。
俺とあまり年齢差もない男の子がスーツの男と鍔迫り合いをしている光景がそこにあった。
?「早く逃げて下さいっ!!」
蒼一「え? あ、え…?」
?「早くっ!!」
俺はハッとなってその場から離れる。
その場を離れた俺は有紀乃に追いく、後ろからはまだ鉄がぶつかる音が鳴り響いている。
俺は有紀乃に隠れるように言って、転がっている折れた物干し竿を掴む。
怖くて体が震えるけど、此処でやらないと有紀乃が襲われる…
それに、助けてくれた人をほっとけない…
俺は物干し竿にいっそう力を込めて、助けてくれた人の所に向かった。
俺が戻ってきた頃、男の子はだいぶ苦戦しているようだった。
鉄筋もグニャグニャになって、もう攻撃を防ぎ切れそうにない。
それでも、男は容赦なく鉄パイプを振り下ろす。
とうとう鉄筋を弾き飛ばされ、蹴り倒されてしまう。
俺はトドメを刺そうと男の子に気を取られている男に一気に殴りかかった。
蒼一「いい加減に…しろぉおっ!!」
全力で物干し竿を叩きつけた。
男は少し怯むが、すぐに反撃してきた。
スーツの男「またお前かっ!!」
ものすごい勢いで何度も何度も鉄パイプが物干し竿に叩きつけられる。
「死ね死ね死ねっ!」
蒼一「ッ!?」
ものすごい衝撃で手が痺れる。何度も物干し竿を離しそうになってその度に力を込めた。
物干し竿はボコボコになっていた。
限界が来ていた。
バキッという音とともに、中央から真っ二つに折れた。
戸惑う俺は土手っ腹を蹴られる。
蒼一「ガハッ…!?」
俺の呻きと同時に、男の呻き声が上がる。
スーツの男「ゲフッ!?」
男の子が鉄筋で再びスーツの男に殴りかかっていた。
俺は痛みがひくのを確認し、折れた短い物干し竿で殴りかかる。
スーツの男「ウラァッ!!」
男は鉄パイプを振り回し、俺達の反撃を弾き飛ばした。
また地面に叩きつけられる。
男はこっちに向かって鉄パイプを引きずりながら歩いて来た。
また鉄パイプを振りかざす。
今度こそ逃げられない。
………。
目を閉じた俺に落ちてきたのは鉄パイプじゃなく、スーツの男だった。