すべてが興味深く、笑ったり泣いたり感心したり憤ったりしながら、135分があっという間に過ぎていきました。
内容は、瀬戸内海の祝島で原発の建設計画に反対し続けている島民たちと、
スウェーデンで自然エネルギーへの切り替えを成功させた街を、たんねんに追ったドキュメンタリー。
祝島ではカメラはいろいろな場面に入り込み、島民たちの感情をリアルに映しだします。
島で採れるもので生計をたてようとしている若い夫婦、
先祖代々、ここで農作物を作り続けてきたお年寄りたち、
週に1回恒例になっている原発反対デモ、
そして海の上で繰り広げられる中国電力と島民の攻防。
埋め立てを強行しようとやってきた電力会社の船と、
海岸沿いに漁船をずらりと並べて阻止しようとする島民たちの衝突のシーンには、涙が出ました。
「お年寄りしかいない島を活性化できるのは、原発なのです!」
「大丈夫です、絶対安全です!」
拡声器を通して、むなしく響き渡る電力会社社員の言葉 (映画館では失笑が…‥)。
おいおいおい……。
それに応戦する島民。
「漁ができなくなって、どうやって生きてけっちゅーんだ!」
「おまえらにこの気持ちがわかるかー!」
「原発が安全なんてことあるか。もっと勉強して出直してこい!」
彼らの言葉のひとつひとつは魂の叫びです。
場面変わって、スウェーデンのある田舎町では、不可能と思われていた自然エネルギーへの移行が成功し、人々は豊かな暮らしをしています。
風力発電で充電した車に乗る人々、合理的ながらも生き物にやさしい構造をとった牛舎、
そしてそこで出る牛の糞尿でつくったエタノール(だったかな?)、
広大な土地に設置された太陽光パネル、環境やエネルギーに配慮している企業には投資家が集まる、等々。
この女性は自然エネルギーのために議員になって、無給で働いています。
彼女の夫は100%彼女をサポートしているんだとか。
ある男性の言葉には、目からウロコが落ちました。
「どうして日本は使える自然エネルギーが豊富なのに、
それを利用しないんだ?
波力はわが国の3倍くらいあるし、
温泉がたくさんあるんだから、地熱だって豊富だ」
そ、そうなんだ。言われてみれば……。
その男性に撮影クルーが
「日本はエネルギー事業が独占されているから、それはムリ」
と説明すると、その男性は心底信じられないという顔で、
「ホントかい?でもやらなきゃダメだ、日本は。今すぐだよ!」と言い放ちます。
まったくその通り。今変えずに、いつ変えていくんだ。
この映画は、こんな感じでユーモアと真剣さを交えながら、多面的な視点で、
環境を破壊せずにハッピーに生きるにはどうしたらいいか、見せてくれます。
深刻になりがちな原発反対運動も、
祝島の島民たちののほほんとしたキャラクターのせいか、笑える場面も多く、
それでいて27年間もあきらめないという腹のくくり具合に、圧倒されました。
(自然に根ざして生きている人は強いね!)
そして農民のオバちゃんたちの強いこと強いこと。
前述のスウェーデン人の女性といい。
この映画の監督、鎌仲ひとみさんも強烈に芯の通った女性です。
(↓エネルギーのいろいろなしくみがわかる、このインタビューは必読!予告編も見られます)
映画芸術:「ミツバチの羽音と地球の回転」鎌仲ひとみ(監督)インタビュー
気が滅入るような情報やニュースばかりだったところに、希望を見せてくれる映画でした。
と同時に、今までホントに無知だったなぁとも思い、
また自分たちも環境破壊の加害者なのであると思い知りました。
4/27でいったん東京での上映は終わったものの、6月にまた再開するようです。
私が観た日は平日の昼間にもかかわらず、満員でした。
「ミツバチの羽音と地球の回転」オフィシャルサイト
![鏡の国のタロット](https://stat.ameba.jp/user_images/20110426/20/bluelibra/0c/a8/g/o0155009011189168083.gif?caw=800)